表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/42

幕間1 陰で囁く者たちの話

 遠く、遠く悲鳴が聞こえる――その、森の中。

 全身を黒のローブで包んだ、顔さえ見えぬ老人が三人。まるで三つ子のように、同じ姿の影が三つ。

 樹上から、惨事を見つめて苦々しく呻いた。


「……どうして失敗した?」

「わからぬ」

「わからぬ」

「どうして、あやつは邪魔をした?」

「此度の姫君は狂っておる」

「此度の贄は狂っておる」

「何をした……ここで狂う運命などではなかったはずだ」

「わかるのは……」

「コムニアの時期が、ズレておる」

「姫君の生まれが、ズレておる」

「あの女、何をした……?」

「あの女、どうやって運命を狂わせた……」

「わからぬ……わからぬ……」


 沈黙。

 誰も――何も答えない。否、答えを持っていない。

 だが、黙り続けられもしない。

 黙り続けるのは――何もしないでいるのは、死よりも恐ろしいのだから。


「――修正がいる」

「運命は正しく回らねばならぬ」

「でなければあの方がお怒りになる」

「死ですら我らの救いにはならぬ」

「生ですら我らの救いにはならぬ」

「であれば正しく、終わらせるしかあるまい……」

「我が神に、姫君を」

「我が神に、贄を」

「我が神に、世界の滅びを――」


 三者三様に呟いて、姿を消す。

 森の中には、誰もいない。

 ただ風だけが吹いて、消える。

「面白かった!」「続きが気になる!」などありましたら、ブクマやいいね、★★★★★などで応援していただけると作者としても励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ