マッチョは缶コーヒーをぶちまけるin体育祭
体育祭の借り物競争に、ひとりのマッチョが現れる。
マッチョは筋力・体力・瞬発力すべてカンストしている筋肉お化けなのだ。
彼が人生で一番輝く日──それが体育祭の借り物競争なのである!
「行けー!マッチョ!」
「ガンバレー!マッチョ!」
最早誰も彼の名を覚えていないほどマッチョなのである。
「位置について!よーい、スタート!」
合図のピストルが鳴らされる。
マッチョはレーンを走り、一枚目の紙をゲットした!
そこには〝缶コーヒ〟と書いてある。
マッチョは筋力で空を舞い上がり、教頭の手から飲みかけの缶コーヒーをかっさらうと──
「ヤーーーーー!!」
なんと缶コーヒーを地面にぶちまけてしまった!
ただの缶になったので失格!!
マッチョは次の紙をめくった!
「えんぴつ」
マッチョは勉強をしたことがないので鉛筆を認識出来ない!
「量子力学」
マッチョは勉強をしたことがないので量子力学を認識出来ない!
「チェックメイト」
チェスのルールが理解出来ず失格!
「ひまわり」
五月開催の体育祭だったので見つからず失格!
「天才」
「俺か……!」
マッチョは天才と認められず失格!
「ランドセル」
マッチョは小学生を狙ったが逮捕されてしまった!
「屋根裏」
マッチョは家を持ち上げたが器物損壊罪で失格!
「星座」
「俺の瞳に……映ってるだろ……あの日の星座が」
審判にロマンを仕掛けたが映ってないので失格!
「おふだ」
そういう系の勧誘に引っかかりそうになったので失格!
「夏祭り」
クラスの女子に出会っちゃうのがなんか恥ずかしくって……行けずに失格!
「ポーカーフェイス」
何を借りても失格になってしまうのでマッチョは真顔になった。
「はい、マッチョくん、今ゴール!」
ダントツのビリでマッチョはゴールした。これが人生。そう、イッツ・マイ・ライフ。
お読みいただきありがとうございました!
私は正気です、多分。