中世ヨーロッパ風ファンタジー 男性の服
ここでは中世ヨーロッパ風ファンタジーの服の元になっている中世ヨーロッパの服を中心にファンタジーに出てくる服を紹介しています。
解説には主観が含まれています。
必ずしも男性用ということはありません。
より詳しい説明や画像をお望みの方は服の名前()がある場合はそちらを検索するか、一話あとがきの参考資料をご覧ください。
AIで服の名前を調べる際の注意点。AIは英語名をカタカナ名に変換するのが苦手なようです。英語圏で使われている服の英語名を存在しない名前や日本で使われてない名前や微妙に違うカタカナ名にして出してくる場合があります。そのまま使わず一度名前検索しておかしくないか確かめることをおすすめします。
※丈 服の縦の長さ
■下着、ブレー
ブレーは中世初期は麻製と皮製のズボンだったが、いつからか白い麻や布製の下着になった。
形状は現代のブリーフやトランクスと変わらない。ゴムがないので紐でずり落ちないようにする。
上半身は白い麻や布製のチュニックを着たり着なかったりする。
ファンタジーでは下着は穿いてないと思われているのかあまり描写がないが、現代と同じものを穿いていることがある。上半身の下着も見かけない。
■ロインクロス
腰布。原始的な衣類で、普段用、儀式用、戦闘用などがある。単に腰に巻きつけるものからブリーフ形をベルトで固定するものまで種類が豊富。
ファンタジーでは前垂れのような形状になっていることが多い。
■寝間着
中世の庶民ははっきりしない。貴族はワイシャツを長くしたような寝間着を着ていた。
ファンタジーでは白いシャツにズボンの寝間着が多いようである。貴族が着ているボタンなし前開きの白いシャツとズボンはインドの寝間着が元になっている。
■ホーズ
中世の靴下兼ズボン。靴下と同じで片足ずつ穿く。股の部分がなく下着が丸見えになる。落ちないようにガーターで腰から吊るす。16世紀頃に股部分がつくとタイツになり、半分に切って膝上部分がブリーチズというズボンになり、膝下が靴下、ストッキング(男女ともに着用)と枝分かれしていった。
中世ゲルマン民族はすでに普通のズボンを穿いていたようである。
ファンタジーでは特別説明がない場合は股部分のあるホーズを穿いている。現代のスーツ用の靴下ロングホーズを穿いていることもある。
■ブリーチズ
膝下丈のズボン。太もも部分が膨らみ膝から下はフィットしていて紐でさらに固定する。貴族は側面でボタン留め。布製、革製、貴族用、庶民用、乗馬用色々ある。
ファンタジーでも色んなキャラが穿いている。
◆ズボンの丈
丈のことはレングスともいう。レングスはフランス語で丈、長さのこと。
■ショートレングス
太もも丈。ショートパンツ。
■ハーフレングス
膝丈。半ズボン、ハーフパンツ。
■クロップドレングス
ふくらはぎの真ん中。クロップドは切り取られたの意味。短めの丈全般に使われる。
■アンクルレングス
足首がみえるか隠れるくらい。
■フルレングス
くるぶし丈か隠れるかたるむかくらい。長ズボン全般。
■チュニック
中世の定番服。頭から被って着る(貫頭衣)。袖無し、半袖、長袖。時には重ね着する。丈は長め。チュニックの上からベルトをして、剣や荷物を提げたりする。
中世では下着、服を問わず丈の長めの服はなんでもかんでもチュニックと呼んでいたため、このチュニックが中世の服に種類が少ない原因でありチュニックの歴史と種類は複雑怪奇になっており恐らく専門家でなければ説明できない。
チュニックは中世の定番服でファンタジーでも定番だが、小説にチュニックと書く上で問題なのが、チュニックといえば現代では女性の服になっているということ。(女性の服になったのは名前が可愛いからかもしれない)チュニックと書くだけでは女性の服と誤解されるかもしれない。検索には中世とつけなければ出ない。
■フード付きチュニック
フードを縫い付けたチュニック。ほぼパーカー。
チュニック
■シャツ
中世のシャツは見た目はチュニックと変わらない。最初は下着だったが中世半ば頃に服になった。
■ホワイトシャツ
ワイシャツのこと。ワイシャツのワイはホワイトのワイ。
中世では綺麗で清潔な白い布が貴重だったため、ホワイトと強調された。主に上流階級が着ていた。軍服の下もホワイトシャツなため軍人、元軍人の庶民なんかも着ていたかもしれない。ファンタジーでは色んなキャラが着ている。ワイシャツと略しても問題ないだろう。
■襟付きシャツ
ホワイトシャツのことがこう表現されることもある。上流階級だとホワイトシャツ、庶民だと襟のあるシャツのことかもしれない。
■レースアップシャツ、編み上げシャツ
胸元で紐を交差させて締めたシャツ。
■ブラウス
ブラウスも中世半ば頃誕生して男性も着ていた。
主に貴族の服でドレスシャツと同じ分類。
■プールポワン(pourpoint)・ダブレット
前開きの服。高価なものはボタン留めで他は紐。主に長袖。丈は腰辺り。中世の定番服のひとつで色々種類がある。
プールポワン出現からチュニックは定番の服ではなくなっていく。そしてプールポワンがベストになり下に着ていた下着のチュニックシャツが服(ワイシャツやブラウスなどの襟付きシャツ)になるので、中世の服はチュニック→プールポワン→シャツと移り変わっていくのだが、ファンタジーではプールポワンの存在が抹消されて(ダサいからと思われる)チュニックとシャツが共存していることが多い。
■ベスト・胴着・チョッキ・ウエストコート・ジレ・ジャーキン
ベストは現代と変わらない。布製、革製、毛糸。
留め具は紐 (レースアップ、編み上げ)、ボタン、ベルト。
胴着は洋服だとベストのこと。
チョッキはベストと同じ。名前のニュアンスが軽い感じで可愛いからかファンタジーでは庶民、子供用ベストがチョッキと表現されることがある。
ウエストコートは正装時に着るベスト。
ジレはフランスのベストで前面と背面で生地の質や色が違うことがある。これは貴族がコートから見える前面だけ高級な生地を使うことがあったため。ファンタジーではジレはオシャレとしても着られている。
ジャーキンはビタッとしたタイトでシンプルなベスト。
■尾錠
ベストの後ろにあるベルトとバックル。ベストのサイズ調整と装飾を兼ねている。ないものもある。
■カマーベスト、カマーバンド
カマーベストは背中が開いているベスト。正装用。
ボーイやバーテンダーなど飲食店の制服にもなる。
カマーバンドはカマーベストの代わりに着用する正装用の帯。
■ダブルベスト
ボタンが二列のダブルブレストベスト。
現代風ファンタジーでみるジッパーが斜めになっているベストはライダースベストが元になっている。ダブルベストをジッパーで留めるとジッパーが斜めになる。
■ワンショルダーベスト、ワンショルダーロングベスト
肩が片方だけのベスト。襟と脇のベルトで装着する。
オシャレの要素が大きくボディバックにも似ており物を携帯するための機能重視かもしれない。
ワンショルダーロングベストは裾が長く服としての要素が大きい。
■ロングベスト・ロングジレ、燕尾ベスト(テールベスト)
丈がももくらいまである長いベスト、ジレ。
燕尾ベストは燕尾服のようなベスト。ファンタジーのロングベストは裾が後ろだけ長い燕尾ベストタイプが主流。バックロングベストともいう。
ロングベスト、バックロングベスト
貴族の令息に人気のベスト。
袖なしのコートにもみえるデザイン。
こちらは肩当てとベルトを装着して冒険向きの作りになっている。ガントレットなど鎧の一部を装着して防御力を強化したりもする。
靴の先が鉄になっているブーツはファンタジーで見かけるが明確な名前はない。鉄部分がブーツについているならスチール(鋼鉄)カバー、トゥガードなど。
鎧の靴サバトンと一体化したブーツなら、簡単に鎧ブーツ、サバトンブーツなどだろう。
■サーコート
戦闘服。丈が長く袖なしか半袖が一般的。
色やデザインや紋章で所属や階級を示すため、鎧が熱くなるのを防ぐため本来は鎧の上に着るが、ファンタジーでは鎧の下に着ていることもある。
鎧からサーコートの腰下から裾を出していることも多い。出している理由はサーコートの紋章やデザインで敵味方を区別するため。単純にオシャレのためかもしれない。
サーコートだけ服として着ていることもある。
■ワンショルダーサーコート
肩が片方だけのサーコート。
■装甲サーコート・アーマーサーコート(armor surcoat)
鎧つきサーコート。ショルダーアーマー(肩当て)+サーコートかチェインメイル+サーコートが多い。
■ヘラルディックサーコート(heraldic surcoat)
紋章入りサーコート。ヘラルディックは紋章のこと。エンブレムの方が伝わりやすいだろうが、ヘラルディックの方が参考画像が出るので載せておく。
■タバード
サーコートと同じだが僧侶や一般人の上着でもある。
■ワンショルダータバード
ワンショルダーサーコートと同じ。
■装甲タバード・アーマータバード
装甲サーコートと同じ。
✳王子、貴族、上流階級、上級職の服
ファンタジーではだいたい下記の服装、またはそれらにサーコートや現代の服を混ぜていたり革製だったり色々ある。服装の説明は一例です。
*軍服
戦闘服だが、ファンタジーでは王子様や貴族の服で戦闘服としてはあまり着ていない。
ファンタジーの軍服は種類が沢山ある。
主にジャケット、ベスト、ホワイトシャツ、ベルトorサスペンダー、ズボン、白いズボンはブリーチズ、靴orブーツ、コートやマントを着用していることもある。コーディネートは着るキャラによって違う。
■ダブルブレスト
胸のボタンが2列になっているジャケット、コート。
まれにボタンがないダブルブレストを見るがファンタジーオリジナルで(チャイナ服の大襟または斜め襟、チャンパオがまじっているかもしれない)のでそちらに名前はない。書く場合は襟から左胸または右胸にかけて合わせ(服の開く部分)があるなど形状を説明するか、ダブルブレストでボタンがない、隠しボタン(比翼仕立て)のダブルブレスト、アシンメトリー、斜め襟など一番イメージに近い表現を書くしかない。服の名前がわかり次第追加します。
※軍服の金色の装飾
●肩章・エポーレット 肩飾り。デザインで階級を示すこともある。
●飾緒または“しょくしょ” 胸飾り。地位、階級、勲章を示すこともある。
●ブレード 紐飾り。襟、袖、胸、ポケットについている。
ファンタジーだと金属でできていることもある。
※簡単に普通の軍服と差別化したい場合は、礼装軍服、正装用の軍服、オーダーメイドの軍服などと表現するといいかもしれない。
*スーツ類
ここから紹介する3種類は軍服とともに現代のスーツの起源なので服装を略したい場合スーツと書いて問題ありません。読者さんが現代のスーツを想像しないか心配な場合は「貴族の」「豪華な」「きらびやかな」などつけるといいかもしれません。
*ブロケードコート・ベスト・ズボン
ブロケードは模様が浮いた織物。中世ではシルクやベルベットなどの生地に金糸や銀糸で模様を刺繍した豪華な服。王侯貴族、聖職者、または特別な時に着られていた。下記のフランセーズなどに見られる。
*アビ・ア・ラ・フランセーズ(habit a la francaise)
装飾されたコート、ウェストコート、シャツ、ジャボ(ヒラヒラした胸飾り)やクラバット(スカーフ状の首飾り)、ブリーチズ、膝丈の白ショース(靴下)、靴やブーツ。
*摂政時代の服装 (regency era coat)
摂政時代あたりから始まった、後にフロックコート、モーニング、イブニング(燕尾服)になる服装。
前丈の短いコート、ベスト(ウエストコート)、シャツ、クラバット、ぴったりしたズボン(ドレスパンツ)、ブーツ、靴。
飾り気がなく、コートの色も色々あるが黒が主流。
ファンタジーでは執事の服は燕尾服をイメージされる可能性が高いので、主人の服は燕尾服と書かない方がいいかもしれない。
✻スーツの色々
●フル・ドレス
正装用の服のセット。
●ドレスシャツ・ドレスパンツ・ドレスシューズ
正装用の服と靴。
●ベストスーツ
シャツとベストとズボンの三セット。
●キャバリエブラウス•ポエトシャツ(ポエットシャツ)
キャバリエは騎士。ポエットは詩人。どちらも襟元が大きく開いていたり、襟や袖にフリルがついていたりする。18世紀〜ロマン時代にもこのようなシャツが着られていた。現代のボタンがきっちりついたワイシャツが大量生産される前でボタンが首元だけや胸に一つなど定まっていない。
●トラウザーズ
貴族のズボン。ドレッシーなズボン。
●スラックス
ズボン。ジャケットやスーツとセットになっていたりする、きれいめなズボン。
●センタープレス、センタークリース
ズボンの中心にある縦の折り目。スーツのズボンなどにみられる。きちっとした印象を与える折り目。
シャツとトラウザーズ
キャバリエブラウス、ポエットシャツ、ホワイトシャツ、ドレスパンツ、スラックス。なんと説明するかは作者さんによって違う。
襟元の開いたシャツとサッシュとトラウザーズ
■古代の服
トガまたはトーガ
一枚布の服で古代ギリシャの定番服。下にチュニカ(チュニックはここから始まった)という下着を着る。
ファンタジーでは神官など偉いキャラが着ている。
■子供服
中世に子供服の概念はなく、大人と同じ作りとデザインの服を着ていた。庶民ははっきりしないが、貴族の子は7才まで女の子の服を着ていた。理由は男の子の死亡率が高いので死神の目を欺くため、ファッション、可愛いからなど。ファンタジーでは特殊設定としてまれに着ている。
少年はだいたい半ズボンを穿いている。ハーフパンツが膝丈、ショートパンツはさらに短い。
■ゴスロリ
ゴシックロリータ。リボンタイ、レース、ブラウス、ハーフパンツ、サスペンダーなど。
中世の貴族少年の服装のようなデザイン。
■ゴス
ゴシックファッション。黒を基調にレース、ブラウス、ベスト、トラウザーズ、ブーツなど。
中世の貴族男性の服装のようなデザイン。
付録
ここまで読んでくださってありがとうございます。
ここからは、男性の服について私が作者読者両視点で思っていることを書いていきます。
ではさっそくですが、紹介した服はほぼ小説で使いにくいですね。
まずファンタジーで一番見かけるチュニック。
ちなみに私はファンタジーキャラがどんな服を着ているかは主に、漫画、ゲーム、イラスト、ネット画像など絵を見て判断しています。
そのなかで、男性キャラがよく着ているのがチュニックです。
チュニックは有名どころだとドラクエ、ゼルダの伝説のキャラが着てますね。小説家になろうの書籍の表紙でも見た気がします。
ファンタジーのチュニックは、現代でいうとTシャツと同じ扱いしょう。
ぜひとも小説のキャラにも着せたいところですが、問題なのがチュニックという可愛い名前ですよね。
カッコいい名前のカッコいいキャラがチュニックを着てるとはあまり書きたくないですよね。可愛いのがよくなるかもしれませんが。
他の名前を私なりに考えてみました。
チュニックはファンタジーのTシャツなので、その辺から連想していきます。
まず、チュニックは襟のところがV字に切れているものが多いので、Vシャツなんてどうでしょうか。Vシャツは現代にありまして、Vネックシャツの略です。画像を見てみると、Tシャツよりはファンタジーっぽい雰囲気があります。チュニックにも似ている気がします。
次に、ファンタジー(fantasy)のTシャツなのでFシャツなんてどうでしょうか。
もう一つは異世界のシャツでEシャツなんてどうでしょうか。
いい名前だとは思うのですが定番にならない限り、どんなシャツだろ?と思われてしまいますね。検索しても出てきませんし、まだVシャツの方がいいかもしれません。
浮かんだ名前は以上です。アイデアがありましたら、ぜひ教えてください。読者様からの提案として、本文で紹介させていただきたいと思います。
次に、ファンタジーによく出るのがサーコートですね。
名前はまぁまぁ使いやすいのではないでしょうか。カッコいいですから。認知度も高いのではないでしょうか。
騎士なんかは必ずといっていいほど着てますし、ファンタジーゲームのキャラとかも一人は必ず着てる感じです。
しかし、サーコートは鎧と合わせて着ていることが多い、合体してたりすることもあるので、サーコートの前だれだけ出てることがあります。募集中の服でも書きましたが、前だれ単体の名前がほしいところです。
「鎧の下からサーコートの前だれが出ている」や「裾だけ出てる」と書いてもかっこ悪いですからね。
絵で見るとカッコいいのに、カッコいいから出てる、オプションとして鎧についているのに小説では書けないなんて、歯がゆいです。しかし、こちらは考えても一切それらしい名前が浮かびません。浮かんだ方はぜひ教えて下さい。
次に、上流階級の服です。
こちらも名前をそのままは使いづらいですね。
そうなるとバーツの説明をしないとなんですが、結構着込んでるので文字数が多くなります。
スーツで済ませられればいいのですが。
すでにスーツと書いてる小説もあるのではないかと思いますし、多分大丈夫だと思います。
私はここぞという場面は細かく描写したいので、その時は服を一から説明するのですが、そこで困るのがズボンです。
ズボンと書くのに抵抗があるというか、ズボンという響きが気になるのです。なのでズボン類を多目に紹介しています。
もう一つ困っているのが、王子様や貴族が穿いているピッタリしたズボンの名前が書けないことです。
あれはホーズのようですが、やはりホーズってなに?となってしまうでしょうし、さらに困るのがホーズの形状です。ホーズで検索すると間違いなく、股部分のない画像がでてきます。なので読者さんに誤解を与えないために、名前を使わずに書くしかないのです。
しかし「ピタッとしたズボン」「タイト(ピタッとした、密着したなどの意味)なズボン」「フィットしたズボン」くらいしか浮かびません。この中だとタイトなズボンが一番近いのですが、タイトも私はパッとイメージできないのでちょっと伝わるか心配です。
私としては参考イラスト二つめの赤いサッシュをした服装が貴族のイメージです。一つめのシャツにハイウエストの白いトラウザーズのイメージもあります。しかしどちらもはっきりした名前がないので服装を少し説明しないといけませんね。
まだまだ使いづらい名前はありますし、女性の服ページのあとがきにも書きましたが、やはりファンタジー独自の服には名前がないものがあります。(ダブルブレストのボタンなしとかです)
そういう服にもファンタジー用語のようにファンタジーな名前をつけてというか、決めてほしいですね。
そんな日が来るのを待っています。
こんな風に小説で使うのはためらわれるかもしれませんが、異世界服屋がなにかしらの役に立てば嬉しいです。




