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中世ヨーロッパの服事情

異世界服屋さん・ファンタジーの服の名前・服装用語を読んでくださりありがとうございます。


異世界服屋さんは小説向けの服の資料があったらいいのにと思ったことから投稿しました。

ファンタジーを書いている皆さんは、登場人物の服装の説明をどうしているでしょうか? 一から丁寧にする、ざっくりする、いっそ書かない。どれを選ぶにしても、大変苦心するのではないでしょうか?

私は以前、王子様の服をどう書くか悩んでいて、王子服(おうじふく)という書き方を思いつきました。これは執事服やメイド服みたいに分かりやすいし簡単だし読んだ人はみんな真似する定番化する!と興奮し、しばらく待ってからネットで王子服と検索しました。

そうしたらなんと、王子服(おうしふく)という歴史上の人物が出てきたではありませんか! その時の衝撃は忘れられません。

もう王子服とは書けない(誰も書いてないし)、他に簡単な書き方はないかと再び悩んだのが、異世界服屋さんを書くきっかけでした。


そしてまずは王子様の服の名前を調べ始めて、たどり着いたのが中世ヨーロッパの服でした。

中世ヨーロッパの服を調べてわかったことがあります。

服の種類の少なさと、名前のわからなさと、小説での使いづらさです。この3つが、ファンタジーで服を書く時の苦心の原因だと思いました。

そこで服の紹介の前に、まずは苦心の原因について2話にわけて書いています。

気になる方は読んでみてください。


早く服の名前を知りたい方は、3話にお進みください。

 ここでは、中世の服の種類の少なさと名前のわからなさの原因を書いていきます。


・まず服の名前は誰がつけるのか。

 ネットで調べてもなぜか答えが出てきません。わかるのはトレンド、流行、有名人が関わっていることぐらいです。服飾関係者が名付けるとしたらデザイナーでしょうか。中世に服のデザイナーがいたのか不明です。上流階級の服には名前があるものが多いので、いたかもしれません。17世紀には上流階級向けファッション雑誌があったそうですが、詳細は不明です。


・服は沢山作れない。

 中世では服は貴重品でした。中世強盗は「追い剥ぎ」と呼ばれ「追い剥ぎに身ぐるみ剥がされた⋯⋯」というのは大げさに言っているのではなく、本当に服まで盗られていたそうです。そんな時代に庶民が変わったデザインの服を作り、とっかえひっかえすることはできず、服に名前をつけて区別する必要もなかったでしょう。


・中世に服屋はない。

 産業革命で服を大量生産できるまで服屋はありませんでした。ありませんと断言していいのかもよくわかりませんが、中世 服屋で検索しても全くでてこないですし、アメリカで最初の服屋は19世紀になってからなので、恐らく庶民の服屋はなかったと思います。服屋がなければ様々な服を知ることもなく、服の名前もわからなかったでしょう。


・仕立て屋の謎。

 服屋はないですが、仕立て屋はいました。しかし、仕立て屋のことでわかっているのは、客の持ち込んだ生地を服に仕立てたということだけです。服に名前をつけていたかは不明です。利用できるのも恐らく金持ちや上流階級だけです。グリム童話では仕事の途中で旅に出たりと、かなり自由業に見えます。冒頭で旅に出るので仕事の詳細はわかりません。


・古着屋はあった。

 古着屋はありましたが、やはり詳細はわかりません。教会で古着を売っていたという話をネットで見た記憶があります。中世の教会は絶大な権力を持っていたので、古着とはいえ貴重な衣類を牛耳っていた、というのはありえると思いますが、ファッション事業として展開していたとは思えません。


・庶民の服は自宅で手作り

 中世の女性は一日中、服作りに勤しんでいました。それも糸つむぎから機織りから縫い合わせと一からで何日もかかりました。グリム童話には糸つむぎに明け暮れる娘や上手な娘が王子様と結婚する話が沢山あり、中世女性にとって服作りが重要なのがわかります。しかし、作った服に名前をつけるでしょうか? シャツを作ったなら「シャツ」旅の上着なら「旅の上着」と用途を冠して呼ぶのではないでしょうか。もし特徴的な名前をつけたとしても、数百年後の現代に個人がつけた名前は残らないでしょう。残っていたとしても、この家ではこう呼ぶといった限定的な名前で、一般的な名前ではないでしょう。


 以上が、簡単にまとめた中世の服事情になります。庶民の服は種類が少ない、名前もわからなくて不便だと思って調べたのですが、これだけ理由があれば仕方ないかと個人的には思います。

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