君の心に棲み着いた。
雨上がり。
僕は。
酷い嵐だった。僕の町は瓦礫で沢山になった。淀んだ空。肌寒い風に吹かれる。湿っているはずが乾いた風。
この町にはもう、居れないな。
家族が居ない僕は行く宛がない。どこか遠くに行ってまた、1から始めようか。
歩きだした。
限界だ。休みたい。
吹き荒れるは異常なまでの嵐。長かった。現実世界じゃきっと有り得ない。
どのくらい続いたか分からない程の嵐でいつぶりかに見た雨の降っていない町。
ここに居ればきっとまた嵐が来る。
もう御免だ。
作業に追われ疲れ果てた身体に鞭を打ち僕は歩き始めた。
行く宛。
行く宛が思いつかない訳じゃなかった。
知ってる。
雨の降らない美しい場所がある事を。
ああ、辿り着けるんだろうか。
通り町で暫く働いた。
しっかりした身体つきのおじさんが僕の面倒をみてくれた。
長旅になる。
その町で装備を整えた。
おじさんに礼を告げ出発した。
土を踏みつけるとざっと少し、乾いた音がする。
日差しこそ出てないが、長旅には丁度良い。
道脇に薄いが草むらがあって、そこから小動物が僕の事を覗いている。
興味深げ、というまでの視線ではないが。通り抜ける人をただ見つめているのだろう。
兎だ。
野兎。野良の兎は初めてだ。特別な体験に少し気分が高揚する。
夜が来た。
野宿だ。開けた広場にそこら辺から拾ってきた木の枝をまとめ、火を付けて焚き火をする。
火が爆ぜる。熱気が頬に伝わる。
澄んだ夜空が目に入った。
夜空など随分と久しぶりに見たもんだ。
あっちにいる頃は忙しくて、目に入らなかった訳じゃないが、気に留めて見る事がなかった。
冷気と澄んだ空気。
世界ってこんな美しかったっけ。
試しに星を眺めてみた。いくつか知ってる星座を見つけてみる。
暫く眺めた。
時が経った。着いた。柔らかな緑と、馬車も目に入る。温かい。
ボロ装備の僕はこの町の人々とは違ういわゆる浮いた存在。
視線が向けられるのが分かる。
どこかで着替えようか。
肌色が混ざった白色。麻の服を着て溶け込んだ。
僕が他の町から来たなんて分からないだろうな。
特に対立とかがある訳ではないので、誰がどこに行こうが関係ないのだが。目立たなくなった。そう言いたいだけなのだ。
歩いて一日掛けると全て周れるほどの広さの町。
散策してみる。宿が無いかとか。
無かったらどこかに泊めて貰おう。
辺りは一軒家がぽつぽつと並ぶ。木の小屋という感じの。
中心であろう場所に井戸があった。恐らくこの町の生命線の飲水だろうな。
人が居る。女の子だ。スカートに見を包みおっとりした雰囲気で、髪は肩にかからないくらいの短さ。
決めた。あの子の家に止めてもらおう。
勝手に身体がこわばる。柄にもない。わけでもない。
一旦心を落ち着けて彼女に近づいた。