表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/23

# 夕焼けの1ページ

対戦よろしくお願いします

 僕はこれからについて考えながらただ漠然と沈んでいく夕日に目を向けていた。

 この学院の屋上というのはいいもので、街から少し外れの高地にあるため王都の街並みが一望できる。

 王都では他には無駄に高い場所にある王城くらいしかないと思う。


 自分がどうしたいのか迷っていた。

 魔術は未来を掴むための道具であるというのが僕の自論だ。

 自分が死んでしまうような力は先の見えないものを極めるのを魔術だとは認めたくはない。

 今日授業で戦った生徒がどうやったのかは知らないけれど、命を削りながら戦う姿を見てそう思った。

 僕はそれが間違いを証明したい。

 間違いと言うのは簡単で押し付けるのは傲慢だ。だから、僕は自分の信じる魔術を持ってその外法の存在を否定しよう。


「僕が否定するのじゃ駄目だよね」


 僕は既に魔術の域を超えてしまった側の人間だ。僕じゃない、この学園の誰かを別に立てないと認める空気は出来ないだろう。

 ――僕の雇用には条件がある。

 3ヶ月以内に一定の成果を上げなければクビになるそういう契約だ。

 つまりは教師となれることを持って僕の持論は証明される。


 誰か丁度いい人は


「先生」

「ん、どうしたの?」


 そんな中、屋上に繋がる階段がある方角から声が聞こえてきた。

 教室で目にしたことはあったけど、僕はその時初めて少女と対面した。

 金髪に赤眼、顔立ちはプリエラやシールと並ぶ位の美少女かな。

 凄いね王都の可能性を感じるよ、保有魔力が桁違いだ。


「先生って強いですよね」

「うん、まぁね」


 僕の生徒で今日の戦いを見ていたのなら当然知っているのだろう。とはいえ、外法を使う側の人間ならこんな接触の仕方はしてこないだろう。


「なら私に魔術を教えてくれませんか?」


 僕はふと瞳の奥にかつての紫色の瞳が重なるような幻覚に僕は彼女に光を見た。


「君が強くなろうとする意味は何?」

「それ授業の時にも言ってましたよね」


 これは僕の信条だからね。

 ただ、実感しているのはこの信条は前を見ている人間の軸を定めてくれるだけで、迷っている人間の軸を作るようなものはないだろうな。

 自分を照らしてくれる光が誰もいない今の僕は迷子に違いない。


「私はあの子に証明したい。自分の力だけでも人は強くなれるんだって」


 熱があった。

 成し遂げたいことがある、その為には我武者羅にでも突っ走れるそういう類の熱を彼女からは感じた。


「君、名前は?」

「シエラ・バーゼル」


 いいね、シエラ・バーゼル覚えた。


「いいよ、僕が君を最強の魔術師にしてみせよう」

 

 かつて『最強』であった僕が君を最強になるまで導いて見せよう、それをもって僕の自論を証明する。


「だから、君の望む夢ってやつを見せて欲しい」


 そして、僕を常勤講師にしてくれ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ