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これは歩みだと

作者: 朝焼 悠

独り淋しく歩く帰り道

赤く染まった西の空を見上げて気付く

そう言えば僕は最近

この色の空しか見ていないなって


朝はどうしたって気分が重くて

顔を俯せて歩いているし

これでも幾分かはマシになった方なんだけどな


すれ違う人みんなに笑われている気がして

いつからか顔を上げて歩けなくなった

人の言葉には裏があると

疑う事しかできなくなって

気付けば人が恐くなって

気付いたら部屋から出られなくなってた


それでも どうにか生きてきて

部屋の片隅で膝を抱えていた日々を乗り越えて

今 こうしてここにいる事を

支えてくれた人に感謝していますって

思わないといけないんだって

思えるようになったくらいは

マシになったつもりなんだよ


未だに仲間なんていなくって

友だちと呼べる人だって怪しくて

たくさんの人たちに助けられましたとは

嘘でも言えない

でも

独りで生きてきたんだって言えるほど

全てを自力で切り開いてきた訳でもない


僕は情けない人間だから

独りで居続ける事もできなければ

人と向き合う勇気も出せないでいるから

きっとこのまま独りなんだろうって

理解しているはずなのに

その未来を想像しては

襲ってくる淋しさや虚しさに恐怖して

ひどく視界を滲ませて

僕と同じように

懸命に生きて幸せそうにいる人を

妬んで羨んでは

孤独な自分と現実を

今もずっと受け入れられないままでいる


なんだろうな

本当に僕は小っさくて 情けなくて 格好悪くて


それでも

あの頃を考えれば

こうして外に出られるようになって

流石に目に映る全ての人を敵だとは思わなくなって

こうして帰り道だけかもしれないけれど

空を見上げられるくらいに

顔を上げられるようになった


これを人はあまりにも遅い歩みだと笑うかもしれないけど

それでも それでもさ

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