21.
21幕間
「ねえ、お姉ちゃん?」
「ん?」
「本当にいいの?」
「うん、これでいいの」
「でも、それだと」
「いいの、わたしはもうあの人を引き留める重りのままではいたくないし、それにわたしの願いはあの人の願い。あの人の願いはもう知っているでしょ」
いつかお兄ちゃんと話した願いごとの話。それは彼が言っていたこと。
「わたしが現れて、もうそのお願いの事も忘れてるかもね。わたしも彼に謝られても、許すも何も彼が悪いわけじゃないから、何とも返事ができないけどね」
「なら!」
「だけど、わたしはいつまでもここにいられないし、たぶんもうそんなに残っていないと思う」
何が原因で残ってしまったのか。彼女自身が分からない。だから、いつ消えてもおかしくない。なら、今度こそはちゃんとお別れをしたいと彼女はそう言う。
「わたしがゆうれいってやつなら、わたしは未練を抱えているからここに残っている。なら未練を無くして、ちゃんとわたしのタイミングで消えた方が良い」
突然世界から強制的にはじき出されてしまった彼女の最後の願いは、自分で区切りをつけること。
「だから、ね」
言葉にされなくても言おうとしていることが分かってしまった。今の私とお姉ちゃんは一心同体だから。
「じゃあ、最後のお願いは私が叶えてあげる」
「ありがとうね」