11.
11 幕間
お姉さんと知り合ったのは、もう何年も前のこと。
私の家の近くに住んでいたお姉さんにとてもよくしてもらった。
いつも、私はその人の後ろをついて回って、それが当たり前のようで。母にはアヒルの親子のようだとからかわれたこともあった。
実の親にそんな風に言われるほど、私はその人にべったりだった。
だけど、それは永遠じゃない。私も大きくなる。それ以上にその人の方が早く大人になる。大人に近づけば近づくほどにその人との距離は遠くなった。
「アリスちゃん、わたしね。ここから遠い学校に行かなきゃいけないの」
そう言われて、そのお姉さんとの別れをようやく知った。いつまでも私の、私だけのお姉さんでいてくれるわけではないとようやく気が付いた。
「だから、さよならだね」
さよならの意味は、いつかまた会いましょうってことだと思っていた。
「ねえ、お姉さんは後悔してない?」
「してる。ずっとしてる。今でも、これからもし続ける。一生は終わっちゃったけど、永遠にし続けると思う」
「それじゃあ、死んでも死にきれないね」
「そんな言葉どこで覚えたの? ……そうね。そう、だから、こうして今もいる」
「じゃあ、私、お姉さんのお願い、叶えてあげる。ううん、叶えてあげたい。だって……」
私にとって、誰よりもかけがえのない。代わりのいないお姉ちゃんの願いだから。