01.カーフェルト王国からの手紙。
リクエストにお応えして、アンデルベリー一座とフェリに会うお話です。
──アンデルベリー一座は、アルゼールの国中を回り、現在南のロワイエ領で興行をしていた。
それは街中での興行を終えたアンデルベリー達が宿屋で食事を取っている時だった。
「なぁ、アンデルベリー一座ってのはあんたら?」
声を掛けて来たのは、体格の良い肩よりも少し長い栗毛を後ろで1つに束ねた琥珀色の瞳の男だった。
見た目よりも若いのかもしれない。男は人懐っこい笑みを浮かべている。
「ああ、そうだけど、あんたは?」
「いやー、探しちゃったよ。あ、此処お邪魔すんね」
男はちゃっかりと空いていたヴィエラの隣に座り込む。
「探してたって俺たちをか? 何でだ」
アンデルベリーが訝し気に男を見た。探されるような覚えがない。
「ああ、怪しいもんじゃないよ。俺コンラッドって言うの。俺ンとこの王様がねー、あんたらを探してんだ」
「「「は?」」」
……王様? 意味が分からず、綺麗に3人声がそろってしまった。
「そ。カーフェルト竜王国の王様。ぁ、これ王様からの手紙ね。っはー、やっと任務完了。遠かったー。あ、おねーちゃん、エール頂戴」
男は懐から白い封筒を取り出すと差し出した。アンデルベリーが訝し気に手紙を受け取る。にっかり笑って寛ぎだす男をチラ見して、アンデルベリーは封筒を確認した。クロスソードに竜の文様。確かにカーフェルト王国の紋章だった。丁寧に封を開ける。
「アンディ、何て?」
ヴィエラが身を乗り出す。手紙を読みだしたアンデルベリーは、驚いたように目を見開き、ぽかんと口が空いてしまっている。リュートも隣から手紙を覗きこんで目を丸くしていた。
***
──親愛なる、アンデルベリー一座の皆さんへ。
お久しぶりです。
突然、探しだす様な真似をしてすみません。さぞ驚かれたかと思います。
僕の事を覚えて居ますか?以前、アルゼール王国の王都まで馬車に乗せて貰ったリクです。
あの時はお世話になりました。皆さんと過ごした事は、僕の生涯の宝物になっています。
僕は今、カーフェルト王国に居ます。
あれから色々な事があって、僕はカーフェルト国王となりました。
信じられないでしょうね。 僕もびっくりです。
でも、お陰でアルゼール王国へ嫁ぐ事になっていた大事な人を取り戻すことができました。
今彼女は僕の婚約者として、僕の国で一緒に暮らしています。
後数か月後には妃に迎える事になっています。
彼女に僕の恩人であるアンデルベリーさん達の話をしたら、とても会いたがっていました。
興行のお邪魔になるかもしれませんが、良かったらカーフェルトにいらして頂けませんか?
僕も、皆さんに、もう一度会ってお礼が言いたいです。
皆さんにお会いできる日を願って。
カーフェルト竜王国 国王エドゥアルド=リク=ド=カーフェルト──
***
「「「えええええええ──ッ!!」」」
思わず3人同時に大声を上げて立ち上がってしまった。アンデルベリー達の大声に店の中の客が何事かと一斉にこちらを見た。慌てて口を押え、3人は着席する。手紙の文章はとても一国の王からの手紙には見えなかったが、懐かしいあの少年の顔が直ぐに浮かぶ文面だった。
にしし、っと大きながたいに似合わない子供の様な笑みを浮かべ、コンラッドがエールを飲みながら、話して聞かせてくれた。
前国王に生まれて直ぐに捨てられた王子の事。前国王にお子が出来なかったこと。前王の病。前髪をバッサリ切った事でその珍しい瞳が人づてに伝わり、城に仕える者が密に王子を探し始めた事。前王の死。隠された前王の崩御。見つけた王子。国王となる教育を終え、そこでやっと前王の死が公表され、3年前に即位した事。
「──で、俺が王様に命じられてね、こうしてあんたらを探してたってわけ。どう? 来て貰える? うちの王様の恩人だからね、心から歓迎するよ」
「ああ──! 勿論だとも!」
──こうして、アンデルベリー一座は、進路を変えて一路カーフェルト王国へと向かう事となった。
ご閲覧有難うございます! みひろさん、リクエスト有難うございました! 此方は現在メインで執筆中の小説の合間に時にちょこちょこと書かせて頂きます。リクエスト頂きましたら順次書かせて頂きますw