【3話】これからどうしよう...
主人公視点です
ボクは人間だったころの記憶を取り戻した
だけど、全部じゃない
人間としての常識や理性などは全部戻ってきたが、それ以外の記憶には穴が開いたように思い出せない
戻ってにも戻ってきた記憶があるが、どうやら前世で印象深かった出来事ばかりのようだ
そして、その記憶の中に重要な情報があった
どうやら、前世のボクはすでに死んでいるようだ、ゆっくりと体温が減っていく恐怖とその感覚がくっきりと残っていた
んでも、なんで死んだかはわからない
血は流れてる様子はなかったし病的な理由かな?
まさか過労死!?そんなばかなぁ___って言えなくもないんだよなぁ
ボクは現役バリバリなリーマンだったわけだし、可能性はあるんだよな
はぁ、人生でそれだけはなりたくないと思ってたけど、もしかしたらそうなのかもなぁ
んまぁ、前世の死因なんて考えても意味ないから考えないようにしよう
それよりも、ボクはこれからどうしようか...
人としての理性を手に入れた以上、あまり生き物を殺したいとは思えない
人間なんてもってのほかだ
幸いにも、このあたりには自分を脅かすような生き物はいない
今の状態になる前のボクが狩りつくしてしまったためだ
とりあえず、ここにいれば僕の命は安全だ
だけどずっとそうしているわけにも行けない
きっとあの騎士たちの応援もやってくるだろうし、どこかに移動しなくちゃいけない
でもどこに?
ここら周辺には、町どころか農村すらない
...正確に言えば、あったけれどボクがつぶしてしまったというほうが正しい
ん?そういえば、なのだが
なんで記憶を取り戻す前のボクはあんなにも生き物を執拗に殺していたんだろう
だってボクはレイスなわけで、別に何かを食べなくても生きて生ける
それなのになぜか、ボクは本能的に生き物を殺し続けていた
強くなるためっというわけでもなかった
自己保全のため...というわけでもない、だったら片っ端から生き物を殺すなんてことはしないはずだ
魔物だから?いや違う、記憶はあいまいではあるがボクは今までに数多くの魔物とも戦ってきているのだ
その時には、相手を観察などもしていたが、無差別に生き物を殺すという魔物はいなかった
思ってみれば、ボクの前までの行動は生き物にしては特殊___というより異常だったように思える
まるで、何かに操られていたよな...
って気づかぬうちに話が脱線してた
移動しなくちゃ、でもどこに?ってなってたんだよね
うーむ、どうするべきか...
ウーム...ウーム...
結論から言うと、ボクは人里に降りることにした
理由としては、いくつかあるだが
第一の理由としては簡単、身を隠すためだ
人里の中にさえ入れば、ボクを探していた騎士達から身を隠せると思ったからだ
灯台下暗しってやつだ
そして第二、知識を得るためだ
人としての知性を得た以上、情報の重要性については理解している
考えても見れば、今のボクはいろいろな情報が足りてなさすぎる
自分自身のこともだが、この世界のことについてもだ
せめて自分の周りには何の国があって、どんな生き物がいるのか
それぐらいは知っておかなければならないと思う
もしかしたら、自分より強い魔物がすぐそばまで来ているかもしれない
もしかしたら、すでに自分は勇者のような理不尽な力を持つ輩に目をつけられているのかもしれない
もしかしたら、今までボクの住んでいたところは魔物が弱く、そのうえで有頂天になっていただけの存在かもしれない
もしかしたら、___
もしかしたら、___
もしかしたら____
etc...
可能性を考えていけばきりがない
だが、少しでも情報があればその可能性も絞り込むことができるし、いらぬリスクを背負う必要もなくなるのだ
だからこそ、ボクはなるべく早くにでも、人里へ向かわなきゃいけない
...決して、独りぼっちでいるのが寂しいとかいうわけじゃないからな!
「そのためにも___」
ボクは自分の姿を確認する
うん、見事なまでに人に見えない
形だけ見れば人が起って言えなくもないけど、こんなに真っ黒な見た目だったら遠目でも人じゃないってのはわかる
これじゃ絶対に人里には入れないよなぁ
どうにかする方法なら、ある
ボクが今の状態になる前、騎士たちに近づいてた時にやった『擬態』という魔法だ
だけど___
「使い方が、わからない...」
そう、魔法の使い方がわからないのだ
なんでかって?今までは本能に身を任せて感覚的に魔法を使ってきたからだよ
いざやろうと考えてしてみても、どうやって発動するのかわからない
念じてみればできるのかな?
ふむ、とりあえずそれくらいしか方法なんて見当つかないし、やってみよう
思い出すは前世の自分
黒髪黒目、実年齢より幾分か老けて見えるワイルドなおっさん顔、全然手入れしてなかったせいででたらめに生えている髭
ん?思い返してみるとボクって前世じゃ結構なイケメン?
いやいやそりゃないない、イケメンだったら前世で30代になってまで独身生活なんてしてなかたっつうの
ってまた本題からそれてるし...今は前世の自分をちゃんと思い返さねぇと
結果、イメージしただけじゃ『擬態』は発動しなかった
そして、途端にさっきまでの自分の行動が恥ずかしく思えてきてため息が出た
うん、とっととこのことは忘れて別のやり方でチャレンジしよう、そうしよう
っといっても、ボクにこれ以外のアイデアは____っと?
そういえば、魔法の使い方とかって前世で呼んでたライトノベルでいろんな発動方法があったよな確か
それを一個一個やってみるか?
それ以外にボクが妙案を思いつくはずもないし、思い立ったら行動するか
「『擬態』」
まずは魔法といえばの代名詞、詠唱
「・・・やっぱだめか」
反応なし
となれば次は...
体内にあるであろう魔力を動かす感覚を___っお?おぉ!?
この中で動いている感じがするのは、魔力だよな?
っということはこれを、体にまとう感じにすれば___
「できた!!!」
自分でもうまくいったことに驚く
身体の調子を確認してみても、ぱっと見普通の人間のように見える
顔が見えないから顔がどうなってるのかわからないけど、体つきや腕についてる特徴的なやけど後を見る限り
どうやら前世のボクの姿になったみたいだ
さて、新たな姿に大変身したボクだが、ここで新たに問題が発生した
ボク全裸じゃん...これじゃいくら人間になっても町に入れてくれるわけないよなぁ...
というか、服を着ていないっていうのは人間としてどうかとも思うし何とかして確保しないと___
ん?ちょっと待てよ?
さっき身体を作った要領で服も作ることできるんじゃないか?
うむ、これは妙案かも、試してみる価値はありそう
「んぅっさっきよりちょっと難しいけど、できなくはないな」
魔力を体の周りに薄い膜のように多いそれを固めていく
「おぉ!できた!」
作業は思いのほかうまくいき、真っ黒なローブが完成した
あれれぇ~?前世でボクこんな器用なほうでしたっけぇ?
ま、いっか、うまくいけたんだし
うっしそれじゃぁ、その他の衣服もちゃっちゃと作りますか
うん、これまたうまくできた
色の付けかたなんてわかんないし、全部作ったときのまんまで全部黒だけど
それでも全身の服を作ることができた
これで人の町に行っても大丈夫そうかな?
こんな真っ黒な服着てる人ってのも怪しそうなもんだけど...まぁ前よりは全然ましだしいけるいける!
んで。ここでまた新たに問題が発生した
どっちに町があるのかわからない...
さっき言った通りここら周辺の町や村はボクが潰した
周囲に生き物すらいないからここに村を立てようとする人間もいない
来るのは調査隊や先みたいな騎士達のような人たちだ
あ、そうだ
騎士達の来た道をたどれば町へ行けるんじゃないか!?
おぉ!!今日のボクはなかなかに冴えてますなぁ
うん、それ以外町へ行く手掛かりもないわけですし
いってみようか
と、言うわけで準備を整えよう
つっても持ち物なんてないに等しいけどね
あ、町に入るための官署みたいなのもあるのかな?
だとしたら身分証明書とか必要だったりするのかな?
でも、ラノベとかだとなくした人のためにお金で新しく発行できたり___ってボクそういえばお金も持ってない無一文じゃないか
これ...どうするべ?
うーん、旅の途中で何か魔物でも狩ってお金にするしかないか?
やばい、考えてみれば見るほどぼろが出てくる...
......いや、こういう時は諸凸猛進!行き当たりばったりに動いたほうがいい
古事記にもそう書かれてる!!(嘘です)
そんなことを考えながら、ボクは騎士たちがやってきた丘の方へ歩き出す
レイスだし疲れるということもないのかな?
それだったら旅も楽になるんだけどなぁ~
っと、今まで住んできたところへのお別れだし、ちゃんと見てみようかな
少し丘を登ったところで振り返り、今まで住んでたボクの家?に感謝の気持ちを込め礼をする
んまぁ、たいして思い出とか感傷に浸るほど記憶にはないんですからとっとと済ませていくんですけどね_
そんなわけで、若干の不安を乗せつつも、ボクは人里へ向かうこととなったのだった
一回書いたのを全部消してしまって落ち込んでいたのですががんばって書き直しました
やっぱり最初書いていた奴のほうがうまく書けてたする...なんで消してしまったんだ...
バックアップはこまめに撮ることにします、ハイ