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魔導学校の悪魔使い  作者: ヒロ
第三章
28/42

『プロローグ』

「くそっ!」


 とある一室。少年は一人叫ぶと、苛立ちをぶつけるように分厚い本を机に叩きつけた。


「あと少し、もう少しで完成するというのに」


 拳を握りしめる彼の頭の中には一人の人物が浮かぶ。


「あの女、あいつのせいで僕は……」


 少年は呟くと今度は拳を机にぶつける。


「あなた、その方を憎んでいるのですか?」


 不意にどこからともなく女性の声が耳に響く。


「誰だ!」


 振り返ると、少年は辺りを見回す。しかし、人らしき者はどこにもいない。


「なんだ?」


 その現象に不可解に思っていると、唐突に少年の目の前に逆さまの女性の顔が現れた。


「うわっ!」


 腰を抜かして驚く少年に、クスクスと笑う女。特徴的な銀髪だ。


「な、なんだお前は!」

「私ですか? 私はレミ・シェイルと言います。以後お見知りおきを」


 姿勢を直し、レミは軽く頭を下げると、話を続けた。


「それで、あなたはその女を憎んでいますか?」

「なんのことだ?」


 少年が問い返すと、レミは小さく笑う。


「さっき言ってたでしょう。あいつのせいで、みたいなことを」


 それで、少年はようやく先ほどのレミの言葉を理解すると、首を縦に振った。


「あぁ。僕は憎んでいるさ。僕をバカにしたあの女をな」


 少年の答えに、レミは恍惚とした表情に変わる。


「いいですね、その顔。人間らしいです」


 それに続けてレミは少年に向かって言った。


「では、その女殺してしまいましょうか」

「えっ」


 突然の発言に少年は驚く。


「こ、殺すなんて。さすがにそこまでは……」


 急にオドオドし出す少年に、レミは大きく嘆息をつく。


(これだから人間は……)


「それに僕があの女を殺すことなんて……」

「できます」


 そう断言すると、レミは自身の胸に手を当て少年に問うた。


「私と契約をしませんか?」


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