94話目
遅れました、すいません。
1番苦手な英語のテストがありまして...
アイスウルフと向き合い、互いに唸りながら相手の隙を窺っている。
今の俺のステータスを見てみよう。
。。。。。。。。。。。。。。。
ブラン
種族:ゲイルウルフ
Lv28/30 状態:健康
HP 708(727) MP 399
力 576
防御 214
魔力 231
俊敏 762
ランクD−
。。。。。。。。。。。。。。。
こんな感じ。
ランクではアイスウルフより下だが、レベルは此方が上であるからまぁ、見劣りはしない。
速さはほぼ倍だし...
「グルルル」 『に......』
ん?
唸り声と被さるようになにか聞こえた?
そちらに気を取られたすきに、相手は好機と見たのか突っ込んでくる。
だが、それぐらいなら容易く避けることが出来る。
右に避け、カウンターとして体の横に噛み付いてやる。
「ギャンッ!」
今度は聞こえなかったな。
さっきのはなんだったのだろう?
アイスウルフが噛まれたまま此方を振り向き、噛み付いてこようとする。
噛まれてたまるか!
更に顎に力を入れ、顔を左右に乱暴に振り回す。
「...グルル......ガウァッ!!」
噛み付くのを諦め、吠えた。
それと同時に俺の体の上辺りに氷の針が3本形成された。
先端を此方に合わせ、飛んでくる。
慌てて口を離し、飛びすさる。
俺を追うようにグサッグサッグサッ!と地面に突き刺さった。
あっぶねぇ、もう少し遅れてれば刺されてるところだった。
緑の毛が数本ヒラリヒラリと舞っている。
......かすってるじゃん。
あれが、アイスニードルなんだろうな。
速度もそれなりにあるし、群れで一斉に攻撃されるとたちまち蜂の巣だな。
まぁ今は蒸れてないし、注意すれば見ることが出来るんだ。
それならギリギリ避けられる。
さて、お返しと行こうか!
カマイタチ!
不可視の風の刃が無数に飛んでいく。
カマイタチって見えないし、数は多いから良いよね。
攻撃力は低いけど......
アイスウルフは何かを感じ取ったのか、避けようと動き出すが遅い!
それに俺のは数が多いんだ。
まだそこは攻撃の範囲内なんだよ!
「...ガッ!?ガアッ!!」 『...えっ!?痛いっ!!』
...あれ?
また?
今度は完全に聞こえたぞ?
『経験値を32得ました。』
...は?
え、なに?
何が起きてるんだ?
立て続けに分からないことが起きて、頭がフリーズした。
...はっ!
今は戦闘中だ。
固まっている場合じゃない!
あいつはどこに行った!?
固まっていたのは少しのはずだが、今のは完全なスキだ。
何故攻撃してこなかった?
急いで辺りを見回せば......いた!
...あれ?
でも、なんで俺から離れて行っている?
......あぁ!
あいつ、クリアリンクスの肉を持って逃げてるな!?
渡して溜まるか!
それは俺らのメシになるんだぞ。
ライガーと言う絶対よく食べそうなのがいると言うのに!
追い風を使い走る。
...っく、最初噛まれた足が少し痛む。
これでは本来のスピードは出せていないだろう。
だが、奴だって俺に脇腹を噛まれてるし、カマイタチで切り傷もある。
クリアリンクスという荷物も持ってるしな。
俺から逃げられるはずがない!
「グルアッ!!」
気合いをいれ、走る走る。
アイスウルフが吠え声を聞いたのか、走りながらこちらを向き、ぎょっとした顔?をして少しスピードを早めた。
...だが、もう追いつく!
走るスピードそのままに、奴に飛びかかる。
「キャインッ!」
ゴロゴロと2匹でもつれ合いながら転がる。
そして俺が上になり、右前足で相手の胸当たりを押さえて停止する。
相手は腹を見せた犬では降参の意味のある格好をしている。
耳はペタンと伏せ、尻尾は股の間に入っている。
「グルルルッ!」
鼻の頭の上に皺を寄せ、牙を見せ付けるようにしてうなれば、更に縮こまり
「キュインッキュインッ」 『ごめんなさい、私の負けです。殺さないで...』
うーむ、やっぱり声が聞こえる。
しかし、俺にスキルが生えた訳でもないし、こいつにそんな感じのスキルがある訳でもない。
あ、そう言えば急に経験値が入っていたな。
あれはなんで入ったんだろう?
知性で2倍にはならなかったよな。
まぁ、後で考えるか。
取り敢えず早く帰るか。
ヴィオラもライガーも待ってるだろうしな。
と言うか俺が腹減った。
アイスウルフを離し、クリアリンクスの肉をくわえる。
転がった時に肉も飛んで行ったからな。
何とも無さそうだし大丈夫だろう。
ん?
アイスウルフを殺さないのかって?
降参してるのに、殺せんよ。
そこは犬や狼のマナーってもんだからな。
まぁ、飢えていたらどうか分からないけど...
...あれ?
なんで俺そんなこと思うんだろう?
まぁいっか。
走ってきた方を見、走り出す。
そういや、さっきの場所雪じゃなくて氷が張っている場所があったな。
あんな場所もあるんだな。
一面雪しかないのかと思ってたぞ。
今度はあそこを探索してみようかな?
走って、住処に戻る。
入っていけば、ライガーがこちらを向いた。
『おぉ、おかえりである。
予想より遅かったであるな。』
『...あぁ、捌いて持って帰る途中でアイスウルフに襲われてな。』
ライガーの尻尾がピクっと反応した。
『なっ、大丈夫だったのであるか?
奴らは群れであろう?
我も1度交戦したのだが、多対一では不利であった。
放電して、相手を数匹痺れさせてる時に二、三匹倒して逃げたのであるが...』
尻尾をソワソワと左右に振りながらそんなことを言う。
『大丈夫だ。
相手は1匹だったしな。』
『そうなのであるか?
我は運が悪かったのであるか...』
あ、尻尾がへにゃんってなった。
尻尾って大分感情が露わになるな。
俺も気をつけよう。
『うーん、アイスウルフは普通群れているらしいから、俺がラッキーだっただけさ。』
『ラッキー...であるか?』
『あ....運が良かったってことだ。』
『そうなのであるか。
......ん?』
ライガーの体をヴィオラがペシペシしている。
ヴィオラが見当たらないと思ってたら、ライガーで暖をとっていたのか。
ヴィオラも何か言いたいことがあるのだろうか?
意思疎通だと複数いる時、順に伝えていたないといけないから大変だな。
それを考えるとサファイアの念話は凄かったんだなと再度思っていると、
『ヴィオラ嬢が早く食べたいと言っているのである。
それと毛皮はどうしたのかとも聞いているのである。』
あれ?
魚を食べずに待っていたのか?
それともまだ腹ぺこなのか...
それと...毛皮は........外だな。
肉を持ってかれたのに気を取られて、毛皮の事を忘れていた。
『すまん。
肉取られたのに気を取られて忘れていた。
この肉でも食べててくれ。
すぐ取ってくる。』
俺は肉を置いて、住処を出る。
今度からは食べ物も考えないとな。
俺とライガー別々に行動して、獲物を狩らないと足りなさそうだ。
今はあれだけで我慢してもらおう。
と言うか、ライガーは一緒に居てくれるのかな?
居てくれるのなら心強いんだがな。
そんなことを思いつつ辺りを見回し、毛皮を拾って帰路に着いた。
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