92話目
投稿が遅れてしまい申し訳ありません!
ライガーを突き飛ばし、滑らせて拠点の中に入れた。
大分乱暴にしたが大丈夫だろうか?
まぁ、やっておいてなんだけど......
拠点の中に入っていく。
中に入って見てみれば、ライガーは頭から穴に突っ込んでいた。
あぁー、あれは...そう!
魚を入れてある所だな。
まぁ特に被害は無さそうだしステータスを見ても体力は減ってなさそうだし......
...あっ!
ヴィオラは!?
ヴィオラの事忘れてたぞ。
辺りを見回せばクリアリンクスの死体が落ちている。
ライガーの体から落ちてしまったんだろうな。
近づけばオレンジ色がちらりと見えた。
顔を近づけ、よく見ればヴィオラがクリアリンクスの毛皮を纏っているようだ。
見ていれば、ヴィオラが顔を上げ此方を見、頭を軽く上下してくる。
えーっと、頭を振るのは怒ってるんだったか?
あれか、急にライガーが滑って突っ込んできたから怒ってるんだろうな。
自分よりでかい虎が速いスピードで急に突っ込んできたら怖いし、驚くわな。
そんで、そんな事をしたであろう人物に怒りたくもなる。
俺がライガーの後に入ってきたって事は、俺が何かしたと思うだろうし...
まぁ実際してるから何も言えないんだけど。
だから俺に怒っていると...
謝罪の意味も込めてヴィオラをクリアリンクスの死体ごと包む。
あぁ、相変わらず冷たい。
けど、毛皮もやっと取ってこれたし、これで少しは熱が逃げるのを防げるだろう。
後で毛皮を剥いで綺麗にしておかないとな。
包んでいれば、ヴィオラも頭を振るのを止め、俺にピタリとくっつきつつ、クリアリンクスの毛に埋もれている。
目も瞑って気持ちよさそうだ。
フワァ......眠い.........
ヴィオラを温めるため丸まっていると、何だか俺も眠くなってきた。
思えば、ここに来てから色々あったけどまだ1回も寝てなかったな。
まぁ太陽は何故か出っ放しなんだけど、それのせいか何日経ったかとか、時間的なものは全くわからないもんな。
もしかしたら何日か経っているのかもしれないし、数時間しか経っていないのかもしれない。
まぁそれはいいか。
取り敢えず早くこの状況を打開して、クラウドの所に戻る方法を考えないと......
何かいい案が浮かぶといいんだが....
アフッ......今は寝るかな.........
眠いままだと何もいい案など思いつかないだろうし...
それでは、おやすみなさい。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
我はライガーである。
名前はまだ無い。
故にとりあえずはライガーと呼んでくれれば良い。
今我は身動きが取れない状況である。
いや、元々体が動く訳では無いのだが...
少し無理をして体調が全快でないのに、スキルを使いすぎてしまったのだ。
そんな事で今動けない...という訳ではなく、それに輪をかけて穴に嵌ってしまっているのである。
ゲイルウルフ...名はブランと言っておったか。
名があるのはいいことだ。
個ができ、力が強くなる。
あぁそれは今はいいであるな。
ブランという者に助けて貰い、住処まで招待してもらったのはいいが、如何せん我は反動で動けなかった。
そこで、引っ張って運んでもらいなんとか着くことが出来たのだが、またここで問題が発生した。
穴には引っ張りつつ入ることが出来なかったのだ。
我は何とか動くようになった前足で、はいづって入っていこうかと思ったのだ。
そこで背後からすごい衝撃が来た。
穴を覗いていた我はその勢いのまま滑って行った。
細い道を抜け、広い所に出た。
我の進行方向にオレンジ色の丸い物があった。
丸いものは頭を上げ、こちらを見ると目を見開いて固まってしまった。
いや、固まらずに退かなければ轢いてしまう!!
しかし、一向に動こうとしない。
くっ...なんとか方向転換をしなければ!
右前足に力を入れ、滑り難くする。
何とか方向が右に逸れ始めた。
よしこれであればあの者には当たらぬはずだ。
しかし後ろ足の方が前に来ようとしておる!
ぬぅ..もう我にはどうしようもないぞ。
どうか当たらないでくれ。
我は制御不能となり、体が右回転をしながら滑っていく。
そしてそのまま頭から穴に突っ込んだ。
先程の者は大丈夫であろうか?
運良く当たってなければ良いのだが...
カチカチと爪が氷に当たる音がする。
ふぬ、ブランが入ってきたのであろう。
この穴から出してくれるだろうか?
穴から出たらまずは先程の者に怪我はなかったか、聞かなくてはならん。
......
......ふむ、まだであるか?
早いところここから出して欲しいのである。
...
......ふむ、スゥースゥーと寝息のようなものが聞こえてきているが寝てしまったのであろうか?
『お主、今何をしておるのだ?
出来ればそろそろ我をこの穴から抜いて欲しいのだが...』
...暫く待つも返事が返ってこない。
やはり、眠ってしまったのであろうか?
...仕方ないのである。
このまま暫く待つのである。
しかし我は今眠くはない。
どう時間を潰しておろうか?
そうだ。
あの負けた場面を思い出し、今度同じようなものに出会った時対処出来るようにしておこう。
しかし、情報が少ないのである。
若葉色の長い髪をした者に負けた。
細い棒を持っていた。
一撃で動けなくさせられた。
我が雷を纏うことが出来なくなるまで何もせず、我が1人で消耗するのを待っていた。
銀色の首輪を銀色を纏っている者が付けてきた。
そしてここに運ばれた。
...うぬ、やはり何が起きたかわからぬな。
ピクリとも動かぬようにされたから、首を回して見ることも出来なかったのが痛いであるな。
.ふむ、攻撃をしてきたのは若葉色の者であろうと思っていたが、まさか違う2人の方だったという可能性も...
いや、それは無いであるな。
銀色の方は動いていないし、もう1人の小さいのは別段何かしたように思えん。
我の方を興味深く見ておったが...
...そう言えば、今思い出したが足元に何か居たような?
何だったであるか......
うーむ、思い出せぬな。
小さい者は薄い青紫色の髪をしておった。
少しやつれた感じではあったが、髪は綺麗な色をしておったな。
...おぉ!思い出した。
足元に青い生物が居たのである!
しかし、強者と言う風格は感じられなかった。
やはり我を動けなくしたのは、若葉色の者であろう。
うーむ、一体何をされたのか......
我はブラン殿が起きるまで、考えていたが何も思いつかなかったのである。
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