85話目
今回は0時になんとか投稿出来ました。
メイルがリップルを見つけたようなので、メイルが見ている方を見てみる。
すると針のような葉を持った木に、赤い実がなっている。
んー?
なんか思ってたより小さい?
あれだ、小さい粒のブドウ...
デラウェアって言うんだったっけ?
位の大きさの実がピラミッド状に下から上に向かってなっている。
1粒1粒が結構ぎゅっと固まってる。
全体的な大きさとしては、リンゴ位か。
赤色もさっきのブラープみたいに赤黒くなく、鮮やかな赤色をしている。
。。。。。。。。。。。。。。。
リップル:丸い粒が四角錐状に固まってなっている実。
甘酸っぱく、食べると元気になる。
*そのまま食べても体力を回復するが、潰してジュースにするとより効果を得られる。
。。。。。。。。。。。。。。。
へぇー、こっちは体力を回復するのか。
「どれくらいの量が必要なんだ?」
「依頼では10個って書いてましたね。」
「10以上は無さそうだな。
まぁ、これからどんどん見つかるだろう。
それじゃ採取していくか。」
メイルはプチプチと上から順番に取っていく。
クラウドも取ろうとしているが、後少し届かないようだ。
クラウドに近づき、
『クラウド、俺に乗って取ったらどうだ?
それなら届くだろう。』
「...いいの?
じゃー、お願い。」
という事で、クラウドが乗りやすいように伏せの体勢になる。
そして、クラウドが跨ったのを確認してゆっくり起き上がる。
「...っと、取れた。
ブランもう少し右に移動して貰っていい?」
少し移動をする。
「よいしょっと。
ありがとうブラン。
もう無さそうだから降りるよ。」
ゆっくりかがみ、クラウドが降りると
「おーい、こっちの木にもなってるぞ。」
メイルが片手でリップルの実を抱えながらこっちに手を振っている。
ふむ、ここら辺はリップルの群生地なのだろうか?
これならすぐに10個は集まるな。
クラウドとリーシアを背に乗せて、メイルの方まで歩いていく。
そして周囲を警戒しながらクラウドの指示に従い、リップルの下まで移動していく。
途中で思ったが、体が大きくなっているから2人なら乗せても大丈夫だな。
まぁ、クラウドもリーシアも小柄だが。
いや小柄と言うよりはまだまだ子供か。
これにメイルまで乗るとどうだろうか?
厳しいだろうか?
...おっと、何か近づいてきているな。
『クラウド右上と前方の上から何か近づいてきてる。
右の方が少しここに着くのが早そうだ。』
「分かった。
メイルさん前と右の上から敵が来てるそうです。
メイルさんから言うと後ろの方をお願いしていいですか?
僕達は右の方をやりますので...」
「おう、了解だ。」
皆が臨戦態勢をとる。
もうすぐ敵の姿が見えるという所で気配察知の反応がなくなった。
え?
何でだ?
なぜ急に消える?
メイルの方の反応も消える。
辺りを見回すが、何も敵と思われるものを見つけることが出来ない。
『...クラウド、急に反応が消えた。
両方ともだ。』
「そうなの?」
「どうかしたか?」
「ブランが言うには反応が急に消えたそうです。」
「反応というのは気配か?
消えたということは敵はシリソピリアで間違いない。
奴らは動くことが出来なくなる代わりに擬態能力に優れ、気配を消してしまうんだ。
今回のように向こうから向かって来る時もあるが、基本は擬態をして獲物が下を通った時に襲ってくる魔物なんだ。
ただ、普通でも気配消去のレベルが高いから動いていても見つけづらい。
だから向こうから来る時もあるんだが、俺らが感知して身構えていたからバレていることが向こうにも分かったんだろうよ。
それならばその反応が急に消えれば、此方に俺らが探しに来るだろうと思って擬態をしてるのかもしれん。
まぁ最後のは推測だがな。
そこまで奴らに知能があるのかは分からないし...」
ほうほう、なるほどそういう事か。
それならばシリソピリアの反応が消えた所を注意して、逆に罠に嵌めてやろう。
「メイルさんは魔物が考えて行動していると思う人なんですね。」
急にクラウドがそんなことを言う。
ん?
どういうことだ?
「あぁ、そりゃヴィオラも居るしな。
こいつと一緒に居れば普通そう思うさ。」
「そうですね。
でも、魔物を従える人達の多くは魔物が襲うことしか脳がないと思っていますよ。
だからこそ使役ではなく命令を使う。」
へぇ、そういう考えがあるから命令が多いのか。
使役はすごく数が少ないって神様が言ってたやつの理由はそういう事なのね。
「あぁ、確かにな。
だが、魔物にだってちゃんと考えがある。
だからこそ俺は命令じゃなく使役にしたんだ。
クラウドだってそうだろう?」
「えぇ、そうですね。
彼らは奴隷ではないですから。」
「そうだな。
この国は人権を無視して、奴隷として縛り付けて何でも好きにしていいという風潮は廃止されているからマシだが...」
そこでメイルは声を小さくして、
「聖国の方では普人族以外の人種は、それはもう酷い奴隷制度だと聞いたことがある。」
普人族以外?
という事はもしクラウドと同じ種族の人達が聖国にいたら...
「そう.....ですか。」
クラウドが少しうつむき加減にそう言う。
「それでだな。
これは完全に噂でしかないんだが、この国は多少他種族が生活しているだろう?」
ちらりと、リーシアの方を見ながらメイルは言う。
「聖国で売るために、他種族狩りというのが行われているらしい。
だからな気をつけろよ?」
クラウドは少し目を見開き、力強くうなづいた。
そんなことが行われているとは......
リーシアも気をつけなければいけないが、クラウドもバレるとやばい。
ミスルナの街でか...カス...カルパス?
カルパスだったら美味そうだな。
まぁ、名前なんて何でもいいがクラウドがハイエルフとばれて、何か首輪のような物を付けようとしていたんだ。
あいつは聖国に売ろうとしていた訳ではなさそうだが、街の中でも平気で捕まえてこようとしていたんだ。
街の中でも注意が必要...
そこで頭をつんつんとつついてくる奴がいる。
『...なんだよ。
今大事なこと考えてたのに...』
『そんなの後にしろ。
お前ら呑気にしすぎだ。
シリソピリアとかいう魔物を狩るんじゃなかったのか?』
あっ....完全に忘れてた。
『クラウド、話をするのもいいんだがシリソピリアを狩らないと...』
「あっ!
忘れてたよ。
ブランありがとう。」
いや、俺も忘れてたんだがな...
「忘れてた?
......あぁ!?
そうだシリソピリア!
やばいぞ!!
ブラン今何処に居るか分かるか?」
メイルが凄く慌てて言う。
そんなに慌てる程か?
襲ってきていないということは、そのまま居るか、逃げてしまったかだろうに...
逃げてしまったことに慌てているのなら、まぁ手間は増えるがそこまで慌てるほどではないと思うが...
気配察知を使って辺りを探ってみる。
うーん、擬態しているのか居ないのか、全然反応がないな。
上の方を目でも見てみるが魔物っぽいものは居ない。
視界に入るのは葉っぱや幹、枝と木しか見えない。
あぁ、でも上の方の枝は蔦が結構這っているな。
でもやっぱり魔物が潜んでいる風ではない。
『擬態か、そもそももう居ないのか反応がないからどこにいるか分からないとメイルに伝えてくれるか?』
「うん。
メイルさん、ブランが反応はないと言ってます。
擬態をしているのか、もう居ないのか分からないそうです。」
「そうか。
やばいな。
ついついシリソピリアから目を離してしまっていた。」
そう言って上を見るメイル。
そして、石になったかのように固まった。
ん?
どうした?
「...ぁあ、シリソピリアについて1つ言い忘れていた。
シリソピリアは擬態能力があって不意打ちされるんだが、攻撃力が低くて多少攻撃された所で戦闘不能にはならないんだわ。
だが、いっつも依頼は出されてて、討伐するようになってる。
なぜだと思う?」
何故?
何でだろうか。
不意打ちされても危険は小さいのなら、別に毎回毎回狩る必要ないもんな。
「それはな、奴らは群れで狩りをするから数が増えると全員で攻撃してくるからだ。
全員都市の方角に走れ!」
そう言うやいなやヴィオラを抱えて走る、メイル。
俺もクプレも急いで走り出す。
クラウドはリーシアの手を引いて走る。
「急げ急げ!
シリソピリアの雨に飲まれるぞ!」
後ろからザザザザっと音がする。
後ろを見てみれば、蔦のように見えていた者が上から次々に飛び降りてくる。
シリソピリアってヘビか!
細長い1m位のヘビが地面に飛び降り、獲物を捕まえられなかったと見るやすぐに木に登り、飛びながら俺達を追いかけてくる。
って待って!
何で飛んでるのさ!
いや、それよりもクラウドとリーシアが遅れ始めた。
元々2人は走るのが遅いから。
俺は速度を落とし、クラウドとリーシアの横に並ぶ。
『クラウド、このままでは追いつかれる。
俺の背に乗れ!』
「...で、でも....どう.........やって?」
『俺が一瞬あいつらを食い止めるから、その間に俺に乗るんだ。』
「わかっ...たよ......
そう...するしか......ない...もんね...」
『合図をするからな。
1、2の3で、食い止めて体を低くするから直ぐに乗ってくれ。』
「うん。」
『行くぞ。
1、2の3!』
スピードを殺して、すぐさま伏せる。
そして、魔力の全てを使う勢いでカマイタチを多量に後ろへ放る。
経験値が多く入ってきたことから、さっきので結構仕留めれたようだ。
だが、まだまだ居る。
クラウドとリーシアが乗ったのを確認するや否や立ち上がり、走る。
尻尾に少し掠ったが、何とかなった。
このまま無事に都市に帰れればいいのだが...
取り敢えずメイルに追いつかないとな。
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