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人生...いや、狼生は楽じゃないね!  作者: ゴンピ~
第2章:鉱山都市マクダンタ
78/132

78話目

遅くなりました。

すいません。



うーむ......


チクチクする.........


...むむむ......


この場所から動きたい...


こう...なんと言うか、手の届かないところが痒いみたいなもどかしさがある。


.........ぬぬぬっ.......



「ブラン、何か小刻みに震えてるけど大丈夫?」


...うん、大丈夫だ。

......まだ...いける......


......


...


...あー!動きたい動きたい動きたい!!


何か背中も痒くなってきた!


早く早く、起きて!!


何という苦行!


...ぬおぉーーー!



「...ブラン。

本当に大丈夫?

さっきの戦闘での後遺症か何かで、そんな事になってるの?

僕が未熟なばかりに......」


...違うよ、クラウド!

俺はただただ痒みと、この腹の下にあるチクチクを我慢してるだけだ!

リーシアが折角安らかに眠っているのだから、邪魔をしてはいけないと思っただけなの!

傷とかは完全にないから!

そんな悲しそうな顔しないで!!


...と言うか、リーシア俺結構震えてるけど全然起きないね。


これ、そっと動けば起きないのでは?

ゆっくりゆっくり左に移動する。


ズリズリ......ズリズリ...


「...んむぅ。」


コロンッと地面に転がるリーシア。

一瞬起こしてしまったか!?

と思ったが、何も無かったかのように寝ている。


...おぅ、意外と起きないな。


ズリズリと移動した為、俺の腹の下にあった物も一緒に着いてきているみたいだ。

取り敢えず、背中が痒いのでゴロゴロ地面に転がる。


...あ゛あ゛、気持ちいい〜。


やっとこの痒みから解放された。

お腹を見せるような形でゴロンゴロンする。

...そう言えば、こんな格好してて思い出したが、犬ってお腹が弱点だから安心してないとお腹見せないらしいな。

後、降参っていう意味もあるみたいだが...


弱点見せてるんで、勘弁して下さい!


みたいな意味があるらしい。

まぁ、今はどうでもいいな。


「あぁ、ブランがおかしくなっちゃた...

僕が至らないばかりに......」



...待って!

待って待ってクラウド!!

俺正常だから!

おかしくなってないよ!?

痒みも治まったのですぐさま止める。


...あっ、そうだ。

俺の腹の下にあった物は何だったのか確認しないと!

輝石ではないだろう。

輝石であったなら、俺が踏んずけた時に砕けているはず。

という事は、何かこの鉱山の異常に通じる物であるかもしれない。


俺が踏んずけていた物を見ると、銀色の細い鎖に丸いペンダントが付いたネックレスだった。

丸いペンダント部分には三日月と7つの星が描かれている。

ふーむ、これはこの鉱山で働いていた人が落としたものかな。

鉱山の異常には関係して無さそうだ。

極々普通のネックレスに見えるしね。

まぁ、一応鑑定を掛けておくか。


。。。。。。。。。。。。。。。

月夜のネックレス(レプリカ):神器である月夜のネックレスを参考に作られたネックレス。

見た目だけを真似たものであるので、効果は何も無い。

。。。。。。。。。。。。。。。


神器?


。。。。。。。。。。。。。。。

月夜のネックレス(神器):この世に7つしかない物。

神は全ての種族を平等に愛してる事を現して作られた。

神は月で全ての種族を星として例えている。

月の満ち欠けによって、ペンダント部分の月も満ち欠けをする。

スキル:月光の抱擁

。。。。。。。。。。。。。。。


。。。。。。。。。。。。。。。

月光の抱擁:月の光は神の抱擁。

神は全ての種族を平等に愛す。

使用者の見える範囲にいる味方の傷を徐々に癒していく範囲魔法。

月の満ち欠けにより効果が増減する。

。。。。。。。。。。。。。。。


...おぅ。

鑑定って結構ずるいよな...

模造品から神器の効果やスキルの詳細が分かるんだから...

まぁ、今ここにあるネックレスは極々普通に売られている物だろう。

何の効果もないし、鉱山の異常に関係はしていないだろう。


ネックレスの鎖の部分を軽く咥える。

そしてクラウドの所まで持って行く。


「......ん?

ブランどうしたの?

.........これは、ネックレス?」


クラウドが手に持ち、ペンダントの部分を見ている。


「んー......

...これは普通のネックレスみたいだね。

この鉱山の異常には関係してなさそう。」


やっぱりそうだよなー。


「おーい、クラウド。

ワイバーンの素材について何だけどよ。

......ん?

何持ってるんだ?」


「ブランが拾って来たネックレスです。

でも、ここの鉱山で働いていた人が落としただけの物な気がします。」


「んー?

...あっ!?」


ネックレスを見たギルベルトは、急いで胸の辺りを触っている。


「...ない.......

クラウド、それ多分俺のだわ。」


「そうだったんですか。

では、どうぞ。」


「あぁ、すまない。」


ギルベルトはクラウドからネックレスを受け取り、首に掛け、服の中にしまった。

そして服の上からペンダントのある部分に手を置き、1つ息を吐いた。

結構大事な物だったのかな?

俺、踏んづけたうえにズリズリと引きづったんだけど...

申し訳ないことをした......


...あ、そう言えばギルベルトがワイバーンに吹っ飛ばされてる時、何か途中で光るものが落ちてたな。

それが、さっきのネックレスか!



「...おっと、そうだ。

ワイバーンの素材について相談しようと思ってこっちに来たんだ。

半々でいいか?」


「半々?

...半分って事ですか!?」


「おう、そうだが。

少なかったか?

じゃー、俺が4で、クラウドが6でもいいぞ。」


「いやいや。

いやいやいや!

その分配おかしいですよね!?

ワイバーンを倒したのはギルベルトさんじゃないですか!

それなのに何故僕の方が多いんですか!?

半分だって貰いすぎです!」


「いや、そんなことないぞ!

俺は最初に気絶して、クラウドに回復はして貰っているし、その間ブランとサファイアが注意を引いていただろう?

それに、大剣をぶっ刺した後攻め手に欠けているところを、ブランが大剣を引き抜こうとしたおかげでワイバーンに致命傷を与えられたんだ。

......それに、鉱山で危険な目に合わせないと約束して、パーティを組んでもらったって言うのに、危険な目に合わすわ、大事な仲間を失う事になるわで、その......本当にすまん!!」


ギルベルトが勢いよく頭を下げた。

クラウドは少しあわあわしていたが、


「あ、頭を上げてください。

それに、ギルベルトさんが悪いんじゃありません。

冒険者に危険は付き物ですよ。

それと同時に、......仲間を失うことだってあります。

サファイアが...居なくなって、最初はとても悲しかったです。

でも、それと同時に僕自身は何も出来なかった事に後悔してます。

何故、僕はこんなに非力なのだろう...と。」


...クラウド、そんなに自分自身ばかり攻めちゃダメだ。

それを言うのであれば、俺だって非力だ。

あの時、さっさと駆けつけてサファイアを庇うことが出来れば...

いや、そもそも俺がワイバーンの攻撃を見謝らなければ、吹っ飛ばされるようなことは無かった。


「...だけど、もうそれは止めたんです。

ウジウジしているだけでは、サファイアに顔向け出来ませんから。

非力であることを認めて、僕は更に精進していこうって思ったんです。

だから、誰が悪いとか思うのはやめましょう。」


「......そうか。

分かったよ。

それじゃ、素材は半々で、帰ろうか。」


「はい。」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




動きやすい服装から何時ものドレスに着替えさせて貰って、ようやくひと息。

お付きの者に紅茶を入れてもらって、外の景色を眺めながら1口飲みます。

ふぅ.....

今日も疲れたわ。

全く、最初のうちは可愛かったのに、最近では調子に乗ってるんだから。

少し、甘やかしすぎたかしら?

まぁいいでしょう。


そこで1つ繋がりが切れた感覚がしました。


...あら?

これは.........

あー、あの馬鹿な領主の所ですね。

輝石が灯りに使えると信じて研究しているのは、滑稽です。

私達が表向きはそのような研究をしていると、ちょっと噂を流せば、直ぐに飛びついてきて...ふふふっ。


...そう言えば、彼らもそこに送ったんでしたっけ?

上手くしてくれればいいのですけれど...

1人を除いて、余り使えない人達ですからねぇ。

まぁ、失敗してもそこまで支障は無い所ですから、期待せずに待っていましょう。


紅茶と一緒に用意された、クッキーを1つ齧ります。

ほのかに甘くて、ベリーの酸味が少しあって美味しいですね。



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