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人生...いや、狼生は楽じゃないね!  作者: ゴンピ~
第2章:鉱山都市マクダンタ
76/132

76話目


無情にもサファイアに突き刺さる爪。


ズブリ


とサファイアの体に沈み込む。

サファイアは鳥の割には大きい方であるが、ワイバーンは巨大である。

爪が1本だけ刺さっているが、その面積は体の大半を占めている。

これでは、生きていることは無いに等しい......

即ち、死.........


ゴウッ!


「グァッ!?」


サファイアの体から青白い焔が燃え上がる。

ワイバーンは何かを察知したのか、急いで退避行動をとる。

青白い焔は鳥の形をとり、ワイバーンへと真っ直ぐ飛来する。


「ガルゥア!」


恐れるに足りないと思ったのか、ワイバーンは迎え撃つ。

爪で焔を掻き消さんと振り下ろす。

ワイバーンの思ったであろう通りに焔を切り裂き、焔は霧散した。


「ギャアァァア!?」


だが、悲鳴をあげるワイバーン。

霧散する手前に爪ではなく皮膜の方へ焔が移り、焼いたのである。

普通の火では余りダメージになっていなかった為、今のは特別な炎だったのかもしれない。

いや、それよりもあの様な炎を出せるということは、サファイアはまだ生きている!

サファイアのいた所を見れば、青い鳥が立って......はいないかもしれないが、起き上がるなり、念話を飛ばしてくるなりするだろう。

俺は急いでサファイアの方を見る。





しかし、そこに青い鳥は居なかった。

ただただ、地面があるだけである。


...え?

あ、見る場所を間違えたか?

ハハハ、そうだそうだ。

急にあんなことが起こって、気が動転してるから見る場所を間違えたんだ。

そうだそうだ。

よくよく考えれば、あっちだったな。

首を右へと向けるが、俺の求めている青色は見つからない。


いや、そんなことは無い。

あれだけ派手な炎で攻撃ができたんだ。

必ず居るはず。

サファイアは生きてる。

見当たらないと言うのがおかしい。


...そうだ!

さっきの攻撃も知らないものだったし、何か隠れる為の新しいスキルを覚えて隠れているのかもしれない。

最近サファイアのステータスを見てなかったからな。

ギルベルトとの坑道探索で結構な経験値が入っていたし、サファイアもレベルが上がっているだろう。

その時に新しいスキルを覚えたのかもしれない。

うん、そうに違いない!



「うおりゃあ!!」


「ガルルゥァア!!」


ギルベルトが走って飛びかかり、大剣をワイバーンの脇腹にぶっ刺した。

不意をつくような感じになった為か、大剣は深くまで刺さっている。

ワイバーンが暴れる前に大剣を抜くのは諦め、手を離し、離れる。

深くまで刺さったことにより、抜くのに一苦労しそうだ。


「ちっ、予想以上に不意打ちが決まって深くまで刺さっちまった。

抜くことが出来なかったか...」


そうギルベルトが言い、腰にある袋から剣を取り出す。

そしてそのままワイバーンとの斬り合いが始まった。


クラウドとリーシアが此方に駆けてくる。

その後ろをクプレが付き従う。


「あぁ、ブラン。

生きてた。

良かった。」


クラウドは青白い顔でポロポロ泣きながらそっと俺に抱きついてくる。

クラウド、なんで泣いてるんだ?

それに顔が青白い。


「彼の者を癒せ、ヒール。」


手を俺の腹の所へ持ってくる。

だが、何時もなら緑色の光が均等にクラウドの手を覆っているが、今はその緑色の光がユラユラと揺らめいている。

クラウドは汗をかき、青色の液体を飲みつつ必死に俺を治そうとしている。

だが、先ほどよりも更に顔が青白くなってきている。

辛そうだ。

鑑定をしてみて、様子を見るか。


。。。。。。。。。。。。。。。

クラウド

種族:普人族

Lv15/100  状態:魔力酔い

。。。。。。。。。。。。。。。


魔力酔い?

なんだ、それは?


『魔力酔い:MPを使用し、自然回復以外で回復をするを繰り返すことで起こる。

症状としては吐き気、倦怠感を感じ、MPがあったとしても、魔力を使う物の効力が落ちる。

また、薬での回復をしているならば、その薬によるMP回復量も減る。

症状の出る度合いは人によるが、少ない回数でこの症状が出る人もいる。

なった場合としては、安静にし、自然回復でMPを回復させること。』


ふむ、なるほど。

ギルベルトを先程まで回復させていて、それで結構精一杯であったのに、更に俺も回復しようとしてくれているのか。

自分はフラフラであるのに......


クラウドの手を押して、体から遠ざける。


「ブラン?」


もう大丈夫だ。

クラウドは休んでいてくれ。

俺はギルベルトと共にあのワイバーンを倒して、隠れているサファイアを見つけてここに戻ってくるから...

そしたらまた、皆でこの鉱山を出て楽しく旅を続けよう。

その想いを込めて、クラウドに頭をすり寄せる。


完全回復とは言えないが、動いてもそこまで痛くない。

ギルベルトの方を見れば大剣を取ろうとしている。

が、ワイバーンも取られてはいけないと思っているのか、爪や尻尾で激しく攻撃をし、ギルベルトが取ろうとしているのを阻止している。

それを全て避けるか剣で弾くかしている。

しかし、このままではギルベルトの体力、集中力が切れてやられてしまうかもしれない。

カウンターを仕掛けているようだが致命的ダメージにはなっていない。

基本大剣を使っている為、普通の剣では本来の動きが出来ないのだろう。

ギルベルトに大剣を渡せれば、全てが終わる。

俺が......


1歩踏み出せば尻尾を軽く引っ張られた。

...振り返るとクラウドが掴んでいるようだ。


「...尻尾を掴んじゃってごめんね。

でも、他に止めようがなかったから...

ブラン......行っちゃダメだよ。

まだ、傷がちゃんと治ってないんだから。」


いや、だがあのままではギルベルトがやられてしまう。

そしたら次はこっちだ。

俺たちだけではワイバーンを倒すことは出来ない。

今のうちにギルベルトと共にワイバーンを倒さなければ...

皆死ぬ。


「僕はもう誰()死んで欲しくないよ...」


尻尾を離し、力なくクラウドが言う。

クラウドはよく回復してくれた。

もう俺は大丈夫だ。

そう言いたかったが、今は背中の上にサファイアがいない。

......全く、一体何処に隠れてるんだか。

クラウドにもう一度擦り寄り、ワイバーンに向けて駆ける。

あの大剣を引っこ抜き、ギルベルトに渡す。

そうすれば、後はギルベルトが倒してくれるだろう。

俺達だけでは無理だ。

ギルベルトに託すしかない。



追い風



駆けていたスピードが爆発的に速くなる。

骨が軋み、足が縺れそうになるが無理やり前へ!

ワイバーンはギルベルトに気を取られて、此方に気付いていない。

今のうちに大剣を!



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