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人生...いや、狼生は楽じゃないね!  作者: ゴンピ~
第2章:鉱山都市マクダンタ
75/132

75話目



さて、どうするか。


ドゴンッ


怖っ!

翼の爪による引っ掻きを咄嗟に横に飛んで避ける。

突っ込んでくるような形になった為か、ワイバーンがそのまま地面に着地する。

足と翼の爪を地面につけ、少し前かがみの体勢になったまま、こちらを睨んでいる。

取り敢えず、ギルベルトが復活するまで俺が持ちこたえないと!?

尻尾のなぎ払いを後ろに下がり避ける。

その後はワイバーンの連撃をひたすらに避けまくる。


右の爪! 左に飛ぶ。

今度は左! 右に飛ぶ。

足による踏みつけ!? 後退!

右の爪によるなぎ払い! 伏せる。


何度も何度も攻撃されては、飛んだり、伏せたり、下がったり、逆に前進したりと縦横無尽に駆け回る。

その合間に背中の上から火の玉が飛んでいるが、目眩し、又は微々たるダメージにしかなっていない。


『うーむ。

至近距離かつ怪我をしている所を重点的に狙っているが、やはりダメか。

全然ダメージにならん。

すまん。』


サファイアが謝りを入れてくる。

右の爪! 少しだけ大きく後ろに下がり、


『気にするな。

それよりギルベルト達はどうなっている?』


『主人が倒れたやつの所に行って手当てをしているみたいだ。

クプレはそれの護衛って感じだな。』


よし、ということはこのまま逃げていればその内ギルベルトが復活するな。

それまでは何としてでも時間を稼ぐぞ。


右の翼を大きく振りかぶる。

これはなぎ払いだな。

少し後退する。


『...!

ダメだ!

もっと下がれ!!』


左側から凄まじい衝撃が来た。

2tトラックにぶっ飛ばされたかのような...

確かに避けたはずなのに......なぜ?


視界が暗転する。

一体何が起きた?

右の爪は避けた。

それは確実である。

何回もなぎ払いを見て、攻撃の範囲は覚えた。

だから、その範囲に入らないギリギリの所までしか移動せず、体力温存かつ次の攻撃を避けるための準備をしていた。

なのに......


視界が元に戻った。

地面が右側にあった。

俺はどうやら倒れているらしい。


はっ!

ワイバーンはどこだ!?

顔だけを起こし、左側を向けば遠い所にワイバーンが尾を振った状態でいる。

どうやら視界が暗転したのは一瞬だったようだ。

そして、あの体勢でいるということは、俺は尾で叩かれて飛ばされたってことか。


やられた!

右の爪のなぎ払いから、その遠心力に逆らわず流れに沿って体を回し、尾を振ったのだろう。

くぅっ....鑑定で賢くないとあったからずっと単調な攻撃しかしてこないのかと思っていた。

暫くの間、同じようなパターンしかしてこないから、それは確信へと変わり、油断へと変化していたようだ。

サファイアが直前で気づいたようで、警告を飛ばしてきていたが、咄嗟のことで俺は避けられなかった。


...そうだ、サファイアは?

サファイアは俺の背に乗っていた。

巻き添えを食らって、一緒に飛ばされたはず。

サファイアは俺より体力も防御力もない。

まさか死......?

いや、そんなことは無い。

嫌な考えを振り払うように頭をブンブン振りつつ辺りを見る。

すると、ワイバーンと俺の間の中間よりワイバーンよりに青い塊が見えた。

居た!

だるま落としみたいな感じになって、あんまり飛ばなかったのか。

急いでサファイアを回収しなければ!

ばっと飛び上がるように起き上がる。


ズキンッと左の胸から腹にかけて痛みが走った。

喉から何かがせり上がってくる。

ゴホゴホと咳き込めば、ビチャビチャと液体が地面を赤く染め上げる。

口の中に鉄っぽい味が広がる。

......ぐっ、爪でないだけましだと思っていたが、これはやばいかもしれない。

1度感じた痛みは徐々に大きくなってくる。

現在のHPはどうなってる?


。。。。。。。。。。。。。。。

ブラン

種族:ゲイルウルフ

Lv17/30   状態:骨折・内蔵損傷

HP 95(271)  MP 97(120)

。。。。。。。。。。。。。。。


おおぅ。

尾で攻撃される前までは満タンであったのに、半分以上削れている。

...いや、そんなことよりも先にサファイアだ!

見ればワイバーンが此方に向かって歩いてくる。

いや、サファイアの方を見ている。

殺す気か!

そうはさせない!

カマイタチを顔へ多く飛ばす。

うっすらと切れるだけで、ダメージには余りなっていないみたいだが、当たっている衝撃はあるようで歩みが止まり、翼で払っている。

今のうちに回収しないと!!

サファイアの方へ走り出す。



......が、1歩踏み出せば胸と腹を衝撃が駆け抜ける。

ぐうぅっ、はやく...しないと...!


『ガルゥアアッ!』


カマイタチの全てを打ち払い、吼える。

そしてまた、前進を始めた。

...まに.......あわない!


サファイアに向けて右の爪を振り上げる。


やめろ!

痛みなんて気にせず、がむしゃらに足を前に出すが、もつれて倒れる。

ぐふっ.........

俺の方へ来い!

サファイアに手を出すな!!


「ガオオオォォォォォォオオン!!」


想いを込めて吠える。









......が、何も起こらず、ワイバーンの気を引くことすら出来ずに無情にも爪が振り下ろされた。



ごめん、サファイア。

活躍の機会がなかった...



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