74話目
七夕ですね。
七夕って雨が降る確率、高くないですか?
毎年毎年雨な気がします。
ギルベルトがやばいと言うほどの魔物......
一体どれほどやばいのか。
鑑定。
。。。。。。。。。。。。。。。
[]
種族:ワイバーン
Lv 16/90 状態:健康
HP 623 MP 68
力 343
防御 201
魔力 102
俊敏 270
ランクB
[通常スキル]
噛み付くLv5 引っ掻くLv5
火球Lv3 水球Lv3
氷球Lv3 尾で打つLv4
[特殊スキル]
超嗅覚Lv4 飛行Lv3
。。。。。。。。。。。。。。。
ランクB......それにステータスもやばいな...
『ワイバーン:ドラゴン種と見た目が似ているが、ドラゴン種ではない。
ドラゴン種であればブレスが吐けるが、ワイバーンは球状の攻撃である。
また、ドラゴン種のように賢くない。*』
ふむ。
ドラゴン種と言うのが多々説明に出てくるな。
...ん?
説明文の最後にマークがある。
これって、テイムの時に合ったやつと一緒か?
もう一度鑑定。
『*ただ、環境や親の遺伝からワイバーンの吐く球状攻撃の属性は異なる。
姿形は殆ど違いが無いため、どの属性のワイバーンか判断するのが難しい。
また、ごく稀に数種類の属性球を操ることが出来る者もいる。』
...うん、そのごく希な個体が目の前に居ますね。
「グルルルルッ!!」
ワイバーンが口を開ける。
「!
皆、散開だ!」
ギルベルトがそう叫ぶ。
皆バラバラにその場を離れる。
すると、俺達が元いた場所へ水の塊が飛んでいった。
バンッ!
という破裂音が響き、後には硬い地面であったのに、半円状に抉られた痕が出来ていた。
...あんなのまともに食らえば軽く死ねるな。
「口を開けて、首を少し後ろに傾けた時はさっきみたいなのが来るから気をつけろ!
クラウド!
あいつをどうにか下へ降ろせないか?
クプレの茨で引っ張ったり出来ないか?」
「ちょっと試してみます!
クプレ、茨であいつを降ろすことが出来ないかな?」
クラウドがクプレに話しかける。
が、念話を繋いでいないのでよく分かっていないみたいだ。
サファイアに念話を繋いでもらう。
『クプレ!
クラウドが茨であいつを落とせれないか聞いてるぞ!』
『ひっ!
......え....えぇ、頑張ってみるわ。』
クプレが茨を生やし、ワイバーンの元へ伸ばしていく。
もう少しで尾に触るというところで、ワイバーンが逃げた。
少し追いかけるが、伸びる長さの限界なのか茨が戻っていく。
「こっちへ来い!
トカゲやろう!!」
「グルルルッ!!」
言葉は分からないはずだが、バカにされたことは分かったのだろうか?
怒りをあらわにギルベルトへ向かっていく。
俺も見ているだけじゃなく、手伝わなければ!
まずは重圧で地面に降ろせないだろうか?
さすがに無理か?
取り敢えず、重圧を使うがグラッと体勢を崩しただけに終わった。
「おらぁっ!」
だがしかし、ギルベルトがそこへ飛び上がり切りつける。
「ギャァ!!」
ワイバーンは急いで後退したが、体勢が崩れたのが響いたのか、間に合わず足の付け根に切り傷が付いた。
「ちっ!
足の1本でも切り落としてやろうと思ったが、ダメだったか。
ほら、そんなんで怖気付いたか!
もっと向かってこい!!」
引いていたワイバーンがそれを聞き、またギルベルトに向かう。
そして、足の爪による引っ掻き攻撃を繰り出す。
それを大剣で弾き、切りつける。
が、今度は上手く躱されている。
それを何度も何度も繰り返す。
その間にクプレが茨を伸ばし尻尾に巻き付け、引っ張っているようだが、余り意味をなせていない。
俺もカマイタチを飛ばすが、薄皮が切れただけのような傷しかつかない。
そうした悶着状態が続いた。
が、先に苛立ったのは、ワイバーンの方だった。
足の爪による攻撃ばかりしていたが、尾のなぎ払いを仕掛けてきた。
それをギルベルトが後退して避ける。
「彼の者を貫き、切り裂け、サンダースピア!」
雷の槍がワイバーンの翼に向けて飛ぶ。
それを躱そうと雷の槍に注意を向けている間に、ギルベルトが切りつける。
が、ワイバーンはギルベルトの方が脅威と見たのか雷の槍を無視し、ギルベルトの攻撃を避ける。
皮膜に雷の槍が突き刺さり、皮膜に穴が空いた。
ギルベルトは大剣であるから躱されると大きく大勢が崩れ、大きな隙ができる。
それを狙ってワイバーンの牙が唸る。
「...残念だったな!」
ギルベルトが手首を捻り、先程の剣筋の逆再生のように切り上げる。
「グギャァッ!?」
顎から頭にかけて傷が出来る。
左目も潰したようだ。
決して浅くはなく、血飛沫が舞う。
「グルウァッ!!」
「...がっ!」
ギルベルトが上に飛ぶ。
剣を盾にしたようで、もろに食らった訳では無いようだ。
ガンッ!!!
「ぐっ!」
横なぎに振るわれた尾。
空中にいた為、踏ん張りがつかず飛んでいくギルベルト。
何かが途中でキラっと光って落ちた。
ドガッ
「ッがふっ!」
壁にぶつかり、ズルズルと落ちた。
動いていないように見えるのだが......
死んでないよな?
「ガルオォォオッ!!!」
バサバサとギルベルトの方へ向かって飛んでいく。
クプレが大急ぎで全部の茨を使って巻き付けるが、全て引きちぎられる。
ギルベルトはまだ動かない。
助けなければ!
だが、何故か俺の足は動かない。
ガクガクと膝が笑っている。
ここを狼の場合膝というのか分からないが...
ギルベルトは俺にとって最強と思えるほどに強かった。
だが、そのギルベルトがいとも簡単に飛ばされた事に、本能的に恐怖を感じてしまったようだ。
ワイバーンと、ギルベルトの間は後7mほど、それ以上縮めばもう俺がここから走ったとしても間に合わない。
今までギルベルトに助けられていただらう?
今度は俺が助けなくてわ!
そう言い聞かせ、前足を1歩踏み出すが、そこから次が出せない。
ワイバーンが口を開ける。
食べる気か!?
もう、間に合わない!
俺は反射的に目を瞑り、顔をそむけてしまった。
ボンッ!
「ガァっ!」
ワイバーンから怒りの声が聞こえる。
...ん?
何があった?
急いで見てみれば、ワイバーンがこちらを向き、睨みつけていた。
『うーむ、傷に当ててやったが全然効かないな。
まぁ、苛立ちはしたみたいだが...』
そう、背中の上にいる奴が言う。
『サファイア!
お前何したんだ?』
『ん?
火の玉を顔の傷にぶつけてやっただけだぞ。
あいつを助けたかったんだろう?
だが、やっつける事は出来ないからな。
注意を此方に向くようにしてみたぞ。
まぁ、想像以上に効かないからこちらに向くかどうか怪しかったがな。』
サファイア、お前って奴は......
『んー、おい前見ろ、前。』
前?
ワイバーンの方を見れば此方に向けて飛んできつつ、口元には赤く丸いものが!?
急いで回避行動をとる。
直後口から火球が放たれた。
ドゴンッ!
ぶわっと熱風が襲ってきた。
火球自体はよけられたが、余波が熱い!
『こいつ、火の属性も持ってたのか。
道理で聞き辛いわけだ。』
『人の上でそんな悠長に...うわっ!?』
足の爪による引っ掻きを横に飛んで避ける。
地面に2本の引っ掻き傷が走る。
『集中しないと、死ぬぞ?』
そうサファイアが言う。
......1つだけ言わせてほしい。
お前が言うな!
ブックマークありがとうございます。