73話目
鑑定の結果が変だったような気がして、もう一度鑑定しようかと思った時、
「...そういや、ここで最後って事だよな。
輝石が出てくるようになった所で、掘るのを中断せざるを得なくなったんだし......
結局の所なんで魔物が出てきだしたか分からなかったな。」
「僕はここの周りの魔物に何がいるのか知りませんが、外の魔物が入ってきているのでは無いんですか?」
「それがなぁ、違うっぽいんだよな。
周りの魔物は蛇系、獣系、鳥系......あー、後、蝶っぽいのも居るな。
だが、この鉱山に出てきているのはクモ、ムカデ、コウモリ...ヘビは一応居るっちゃ居るのか。
だがなぁ、進化してああなったとしても、ちと無理があるな。」
「ヘビは置いておくとしても、他の説明がつきません。」
ヘビ?
.........あ!アンフィスバエナか!
残念ながらあれは蛇じゃなく、トカゲに当たるらしいんだよな。
だから、鉱山に外から魔物が入ったというのは違うだろうな。
パリパリッ
ん?
足元から音がした?
見れば小さな普通の蜘蛛がいた。
先程ギルベルトが砕いて落とした輝石を、蜘蛛が踏んで音がしたらしい。
じっと見ていると、蜘蛛は小さな欠片を前脚2本で抱え、どこかに跳ねていった。
こんな魔物だらけの所でも普通の虫はたくましく生きてるんだな。
「......うーむ、よくわからんな。
取り敢えずここを隅々まで調べてみるか。
そして何も出なかったら出なかったで領主に報告するわ。」
「そうですね。」
「リーシアも手伝う!」
「うん、僕と一緒に探そうね。」
『皆もお願いね?
何か気になるものがあったら僕に教えてね。』
「だが、この階層になってから魔物が出ていないとはいえ、どこかに隠れてるかもしれないからな。
あまり広がりすぎないように、俺のフォローができる範囲にしておいてくれ。
来てる途中の引っ掻き傷も気になるからな。」
...あっ、そうか。
その事を忘れてたよ。
よし、ちょっと大変になるが気配察知を60mにしておくか。
これ、便利だが神経を張り詰めるからか、凄く疲れるんだよな。
キョロキョロと壁や地面を見つつ進む。
特に何も変わったものは見つからない。
強いて言えば、引っかき傷が壁に所々付いているぐらいである。
それも結構高いところにもついている。
大きいのだろうか?
...いや、飛べるのかもしれないな。
大きかったらもう見つけていそうだし......
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
中央より少し手前まで来た。
しかし何も無い。
「...本当に何も無いな。
そう言えばクラウドは早い段階で魔物が来るとこが分かってたみたいだが、見つけるのが得意なのか?」
「いえ、僕ではなくブランが見つけて教えてくれるんです。」
「なるほど、そうなのか。
狼型だから察知が早いんだな。」
「ブランは凄いですからね。」
そう言って俺を撫でてくれる。
最近は俺が大きくなった為、頭は撫でなくなった。
届くけれども、撫でるのに苦労するもんな。
ということで、頭をすり寄せる。
「......わわっ!頭を撫でて欲しいのかな?」
ちょっと強かったみたいだが、頭を撫でてくれる。
「クラウドは魔物達と仲が良いな。
ブランなんて尻尾をブンブン振って、何の害もない大きい犬みたいだな。」
「そうですね。
僕の友達であり、仲間でありますし...」
「仲間......友達......か。
それは大事だな。」
「それはもちろん!
彼らが居なくなるのを考えるだけで悲しくなります。」
「...そう..だな。
そうだよな。」
ん?
何かギルベルトの雰囲気が暗い?
何故だ?
さっきまでの話を考えると、仲間とか友達辺りに原因があるのかな?
ということはどちらかか、もしくは両方を失ったことがあるのかもしれない。
ギルベルトを励まそうとした。
......が、やばい!
急いで原因の者の方を見る。
天井に近い所に不自然な膨らみがある。
遠くから見てもでかい事が分かる。
「...と、取り敢えず早く原因を見つけましょう。」
雰囲気が暗くなっているのにクラウドも気付いたのか、いつもより明るく言い、1歩踏み出す。
『まて、クラウド!!
そっちに行ったらダメだ!』
「え?」
「グルゥオオオォォォォォッ!!!!」
雄叫びが坑道内に響き渡る。
止めるのが遅く、クラウドが少し前に行ったことにより、相手の察知範囲に入ってしまったのだろう。
「やばい、来るぞ!
俺の後ろへ!!」
ギルベルトが大剣を構え、1歩前に進みで、前方を見据える。
不自然な膨らみが壁から離れた。
そしてそのまま落ちていき、地面へ......
触れるというところで急上昇をし、翼を大きく広げた。
翼は鳥のような羽は無く、蝙蝠のような皮膜であり、翼の関節部には2本の鋭い鉤爪がある。
あの爪で壁にある引っ掻き傷をつけたのだろうか......
頭はトカゲのようであるが、耳の少し上の辺りから角が一対生えている。
体長は5m、全長は8mはありそうだ。
「...こいつは、ちと厳しいかもしれねぇな。」
何!?
ギルベルトが厳しいと言うほどの魔物なのか!?
俺達、生きて地上に帰られるかな....
ブックマークありがとうございます。
次は戦闘になると思いますが、書き方が分からない......