63話目
今日が土曜であることを忘れてました。
すいません。
最近曜日感覚がずれてしまって......
皆さんはそんなことありますかね?
「本当にいいの?」
奴隷商に行く道、同じことを何回も聞いている。
「うん、迷惑はかけられないもん。」
それを聞いてクラウドはしょんぼりしている。
『...まあまあ、いいじゃないか。
リーシアが決めたことだ。
クラウドはちゃんと開放の道も示した。
けど、リーシアはそれを選ばなかったんだから...』
「...うん、そうなんだけどね。
僕にもっとお金があれば...」
「...クラウドさん、誰と話してるの?」
クラウドが俺にだけ聞こえる声で言ったのに、リーシアには聞こえたようだ。
「あー、いや、単なる独り言だよ。」
「そうなんだ。
てっきり、狼さんと話してるのかと思った~」
「...な、なんでそう思うの?」
クラウドよ、動揺してるのが分かりやすいぞ......
「だってね。
狩りに行く村の人達は犬さんを連れて狩りに行くんだけど、その時に犬さんに話しかけてたもん。
獣人はね、自分と同じ動物さんの言葉が分かるようになるんだって
リーシアもお話ししてみたいなー、いいな~って思ってたの。」
へぇ、獣人は自分と同じ動物と話せるようになるのか。
...あ、だからルリカは俺の言葉が分かったのかな?
獣人じゃなく純獣人だったけど......
「リーシアも狼さんとお話ししてみたいけど、リーシアは犬だから狼さんの言葉は分からないね...
鳥さんも鹿さんも無理だし、残念......」
「そうなんだ。
けど、ブランもサファイアもクプレも魔物だよ?
動物じゃなくても話せるの?」
「え、そうなの?
こんなに皆可愛いから動物さんかと思ってたよ~」
そう言って俺の頭を撫でてくる。
俺の方がでかいので手を伸ばして撫でている。
自分よりも大きい狼を全然怖がらずに手を伸ばしているが、リーシアは肝が座っているのか、獣人は皆こんな感じなのか......
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奴隷商の所に着いた。
リーシアが鉱山の坑道内で倒れており、助けた経緯を話した。
そして現在所有権がクラウドに来ていることも...
「へぇ、...で、その奴隷はどうするんです?」
奴隷商は凄く気だるそうにそう言った。
どのように転んでも、奴隷商に多くの金が入ることは無いからだろうか。
「もしこの子を奴隷から解放するのだとしたら、いくらくらいしますか?」
クラウドはまだ諦めてなかったのかそう言う。
「はぁ?獣人を解放?
......また随分と物好きな......
あぁ、いえ、まだまだ子供で雌であるので金貨三枚ぐらいかと」
銅貨数枚で安いご飯が食べられるので、銅貨1枚を円に置き換えると100円ほどである。
銅貨100枚で銀貨1枚。
銀貨100枚で金貨1枚である。
と言うことは......300万...か...
高っ!?
...いや、人の命1つ300万だとすると安いのか。
俺達は妖精の泉に宿泊するお金も何とか足りている。
という状況であるのでそんな大金を払えるはずがない。
元々解放するのにはそれなりの金がいることは予想していた。
だからリーシアに解放するのには何年か、かかってしまうことを告げ、リーシアはそれならば解放しなくていいと言った。
「リーシアちゃん......本当にいいんだよね?」
「うん。」
「...分かった。」
クラウドは悲しそうな、寂しそうな顔をし、奴隷商人を見る。
「それでは、リーシアを.....
僕の奴隷にしてください。」
「へぇ、では血を数滴この皿に入れて...」
クラウドは渡された針で手を刺し、皿に血を入れる。
そこに奴隷商が壺から出した黒い液体を少し加えた。
そして次にリーシアの服を脱がした。
ご飯を満足に食べられていなかったからかガリガリだ。
心臓があるところ位の位置に青い模様がある。
その上に先程作った液体を筆でペタペタと塗っていく。
塗り終わると、少し輝き緑色の模様となった。
「これで、終わりましたよ。
新しく契約する代金として銀貨2枚貰います。」
クラウドは奴隷商に銀貨2枚を渡すと、リーシアに服を着せた。
「...じゃ、帰ろっか。」
「拾い物があって良かったですねぇ。
また今度は買いに来てくださいよ。」
奴隷商が帰り際にそう言ったが、クラウドはなんの反応もせずリーシアの手を握って宿のある方へと歩いて行く。
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宿に着いた。
クラウドは悲しみと怒り?がない交ぜになった表情をしている。
どうしたのだろうか?
リーシアもクラウドの怒り?を感じ取っているのか何も話さず静かにしている。
クラウドが1つ長いため息をはいた。
「リーシアちゃん、本当に解放しなくていいの?
その奴隷紋きついものだよね?
...主人に逆らったら胸が苦しくなる......」
「...うん、いいの。
リーシアはクラウドさんに助けてもらったの。
恩人なの。
恩は返さなきゃいけないってお父さんが言ってたの。
だからこのまま...クラウドさんをお助けするの!」
......リーシア、なんて健気なんだろう。
「...そっか。
リーシアちゃんよろしくね。
けど、無理はしちゃダメだよ?
自分のことを一番に考えてね?」
クラウドはそう言いリーシアの頭を撫でた。
「うん、分かった!」
リーシアの顔に花が咲いた。