61話目
あれから3日。
鉱山に出没する魔物狩りのクエストを受け続けた。
人が多く入っているせいか、たびたび人と遭遇した。
その人達から話を聞くと、この鉱山には地下10階まであるらしい。
そして、地下に行くほど魔物が凶悪化している。
また道も更に複雑になり、所々落石で道が塞がっていたり、水が溜まっていたりするため、地図を作りながらでないと迷うのだとか...
俺達はまだ一階部分しか回っていない。
しかし、今日から地下に行ってみることにした。
一階部分で坑道での戦闘にも慣れたしね。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
地下一階は特に代わりばえがしなかった。
ただ、迷いやすいと聞いていたのでクラウドが地図を書きながら進んでいる。
その為、進むスピードは落ちている。
ちょっと地図を見せてもらうと、分かりやすい地図が出来上がっていた。
水が溜まっていることは無かったが、話で聞いた通り落石で道が塞がれているところが2ヶ所あった。
魔物の種類も一階と変わらない。
まぁ、一階分降りただけでガラッと変わられると困るんだが、それでも何か変化が欲しかった。
この3日、坑道を歩いている時間が大半で、歩いても歩いても景色が変わらないから飽きてきた。
少しの変化はある。
線路が引かれていたり、ランプのような物が転がっていたり、半ばから折れた矢が何本か落ちていたり.........
ん?
『クラウド、この道真っ直ぐ10メートル位のところに何かいる。』
『分かった。
皆、敵かもしれないから用心していくよ。』
警戒しながら、進んでいく。
壁の右側に、何かがうづくまっているようだ。
灯りが暗くて、何か分かりにくい。
更に近づく。
「......ぅぅっ...」
うめき声が聞こえた。
あれは人間であるのだろうか?
走って一気に近づく。
見ると、目は瞑っており、苦痛の表情をしている。
服はボロボロで腕や腹から血が出ている。
『クラウド、怪我人だ。
腕や腹から血が出ている。
腕は軽い切り傷っぽいが、腹の方は何かに噛みつかれたみたいで、傷が深い。』
それを聞いてクラウドは急いでこちらに寄ってきて、キュアをかけていく。
腕の傷は綺麗に治り、腹の傷も血が出なくなった。
ちょっと鑑定して、大丈夫か見ておこう。
。。。。。。。。。。。。。。。
リーシア
種族:獣人(犬型)
Lv3/50 状態:衰弱・奴隷
HP10(21)MP2
力 7(15)
防御 2(4)
魔力 1
俊敏 5(10)
[通常スキル]
[特殊スキル]
呼び鳴きLv2 飢餓耐性Lv2
。。。。。。。。。。。。。。。
ん?
獣人?
よくよく見ると人とは違うところに耳があり、尻尾もあるようだ。
ちなみに耳はラブラドールっぽい。
......というか、この子......
この都市に入る前に見た子じゃないか?
何でこんなところに......
「うーん、大分弱ってるみたいだね。
目を覚まさないし...
こんなところに置いていくのも嫌だし、一旦宿屋まで連れて戻ろっか。
で、目が覚めたら事情を聞いてみよう。」
そう言い、クラウドはリーシアの手を自分の肩に回し、背を負うとした。
...が、力があまりない為前に転けた。
「...痛っ!
......はぁ~、僕、力無さすぎ...
女の子一人背負えないなんて...」
まぁ、サファイアのことも長時間運べないしな。
仕方ない、俺が運ぶことにしよう。
『クラウド、俺の背に乗せてくれ。
そしたら運んでいけるから。』
「ごめん、ブラン。
ありがとう」
そうして、俺は乗せやすいように伏せる。
サファイアも俺の頭の上に移動してきた。
クラウドが何とか俺の背に女の子をうつ伏せにして乗せた。
うつ伏せの方が落とす危険性が減るからね。
まぁ、落とさないように注意するから、元から落とす気などないけど。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
宿に帰ってきた。
取り合えず女の子をベッドに寝かせた。
クラウドは宿の料理を作っている人のところに行き、病人が食べられるような消化の良い食べ物を作って貰っている。
俺は女の子の様子を見ておく。
坑道にいるときは苦しそうな顔をしていたが、今は安らかである。
ただ眠っているだけで今にも目を覚ましそうな......
目がパチリと開いた。
右目はゴールド、左目はブルーのオッドアイだ。
前見たときは目の色など見えなかったが、綺麗な色だな。
前は虚ろで何も写していなかった瞳に、今は俺が写っている。
女の子は2度瞬き
「...お、あ、おお、狼......キュウッ.........」
再度気絶した。
.........
......
え、これって、俺が悪いの!?