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人生...いや、狼生は楽じゃないね!  作者: ゴンピ~
第2章:鉱山都市マクダンタ
59/132

59話目



クラウドは討伐証明の尾を切り落としている。

アシッドセンチピートは名前の通り百足である。

酸も吐いてたしね。

しかし、体長は5メートル強。

顔を見ると牙が凄く、恐ろしい。


そういえばサファイアが攻撃したときだけ、えらく激しく反応していたがなにかしたのだろうか?


『なぁ、嘴を突き刺したとき何かしたのか?

やけに苦しんでいたが......』


『あぁ、突き刺した後そこから火球を出して中から燃やしたんだ。

外からだとあまり効かなさそうだったからな』


お、おぅ......

結構惨いことしてたんだな...

生きながらに体内を焼かれるとは......




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「...んー、大分疲れてきたし1回休憩する?」


『あぁ、少し休憩しよう。

敵が来ていないかどうかだけ気をつけておく。』


クラウドは壁に背を預け座り込んだ。

俺も座る。

サファイアは地面に降り、丸まり、クプレは立ったままだが少しリラックスしているようだ。


あれからアシッドセンチピートを3匹、シャドウバットを5匹倒した。

シャドウバットは5匹いっぺんに出てきて焦ったし、影に潜りこみその時は物理攻撃が効かないと、厄介な相手だった。

素のスピードもそれなりに速く的も小さいため、攻撃が当たりにくいったらなかった。

まぁそれでも俺の方が速いし、魔法とかも1発当てればやっつけられるという体力が少ない敵であったため、それほど苦戦はしなかった。

そして、後1つでレベルがMaxになる。

そうすれば2度目の進化だ。

次はどのような姿になるのか......

あまり大きな姿でなければいいのだが...

でないと、クラウドと一緒の部屋で寝られない。

ベッドで寝ているわけではないが、部屋で寝る方が落ち着く。

それにクラウドの側にいないと不安になるしね。


それから5分たち、もうそろそろ動き出そうかとした時。

......ん?

何かが気配察知の範囲に入ってきた。

ゆっくり進むのではなく、それなりの速さでこちらに近付いてくる。

その反応は2つ.........あ、3つになった。

どうやら最初の2つが何かから逃げているらしい。


『クラウド、何かが近づいてきている。

2つの者が何かから逃げているらしい...』


「わかった。」


『じゃー、皆。

敵かどうか分からないから警戒していて。

その逃げているのが人だったら、追ってきている魔物を倒すよ。

確率は低いけど逃げているのも魔物、追っているのも魔物の場合は倒せそうなら倒しちゃおう。

無理そうなら逃げよう。』


そうそう、ここの魔物は何だか変で、魔物が魔物を襲うということをしない。

かち合ったとしても、そこに何もいないかのように素通りしていく。

だから、協力というのもしない。

普通であれば、違う魔物であれば争ったり、極々たまには種族が違っても協力したりする。

ここのように無反応ではないのだ。


「............ハアッ......ハアッ...くっ、しつこいな!」


逃げているであろう者の声が聞こえた。

どうやら人間であるらしい。

道が真っ直ぐでないので姿はまだ見えない。


『クラウド、どうやら逃げているのは人間であるらしいぞ。

まぁ姿が見えないから、人間の言葉を流暢に話せる魔物という可能性も無くはないけど...』


「そんな魔物はこんなとこに居ないだろうから、人で間違いないと思う。」


そして、姿が見えた。

声の主は少年だった。

革の装備と軽装であり、更にそれらはボロボロになっている。

剣らしき物を持っているが、何処かにぶつければ折れそうだ。

少年も此方に気付いたようで、


「助けてくれ!!

アシッドセンチピートに、追われてるんだ!」


「分かりました!」


......ん?

少年一人か?

気配察知には反応が2つあるのに......


少年が俺達の後ろに身を隠す。


「ギチギチッ!」


アシッドセンチピートは少年から俺達に目標を変えたようでまず一番近くにいる俺に酸を吐いてきた。

それをなんなくかわす。

こいつらは酸を吐くか、噛み付こうとするかしかしてこないから楽だな!




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「いや、助かった、ありがとう。」


そう言って少年は頭を下げる。


「いえいえ、困ったときは助け合うものですから。

僕もこの都市に来て、ある人に助けてもらいましたし。」


「そうか。

いや、それにしてもあの酸には困った。

数回戦ってて危なげなく倒せていたから油断して、あの酸攻撃が来て、避けきれずに1発受けちまった。

慌てて剣で身を守ったから、剣はボロボロだし、それ以外にもかかって鎧もボロボロになっちまった。

もう今日は引き上げるしかないな。

はぁ~......」


少年が落ち込んでいる。

それよりも気になるのは気配が2つあるということ。

どうみても少年だけで、気配が2つあるのはおかしいのだが......

それか、少年の背負っている鞄に何か入っているのだろうか......

気になって、無意識に少年の回りをぐるぐる回っていたらしい。


「ちょっと、なんでこの狼はこんなに俺のこと警戒してんだ?

何か、居心地悪いんだが.....」


「あ、ごめんなさい。

ブラン、この人は危険じゃないからそんなことしなくても大丈夫だよ?」


そう言われたので、クラウドの足元にいき、


『だが、クラウド。

俺は2つの気配がアシッドセンチピートから逃げていると言っただろう?

1つはこの少年だとして、もう1つの気配は何なのか気になったんだ。』


クラウドは少し考え込み、


「...あの、すいません。

ブラン...この狼のことですが、ブランは気配察知能力がありまして、貴方から2つの気配があるのに貴方しかいないから、不思議でぐるぐるしてたみたいです。」


すると少年は目を丸くし、


「君は魔物とそこまで分かり合えているのか!

若いのに凄いな!」


若いのに?

クラウドよりは少し年上かもしれないが、この少年もあんまり変わらないような気もするが......

少年は背中に背負っている鞄を降ろし、開ける。

そして、そこに手を突っ込み何かを出した。


出てきたのは、オレンジ色のトカゲだった。

頭から尻尾の先まで50センチくらいだろうか?

体がトゲトゲしていて、触ったらチクチクしそうだ。

今は少年に向かって顔を上下に動かしている。


「多分気配の2つ目は俺のテイムしたニードルリザード......こいつじゃないか?」


「貴方はテイムを持ってるんですね!」


「あぁ、こいつが怪我しててよ。

冒険者だから魔物は討伐するのが普通なんだろうが、流石に怪我してるやつを殺すのはな......

で、見かねて軽めに治療してやったんだが、付いてくるし、仕方なくテイムを取ったってわけだ。

それから一緒にいるんだが全然なに考えてるかわかんねぇんだよ......

よく今みたいな行動はするんだが、これの意味もわかんねぇし...」


今もニードルリザードは頭を上下している。

たまに両前足も頭のリズムに合わせてバンバンしてる。

......こいつは何がしたいんだ?

トカゲだから表情も読めないし...

確かにこれは分からないな。

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