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人生...いや、狼生は楽じゃないね!  作者: ゴンピ~
第2章:鉱山都市マクダンタ
55/132

55話目



鞄がパンパンになり、クラウドも両手で抱えるほどの量が集まった。

クプレも少しは貢献しようとしたのか枝を3本くわえている。

サファイアは俺の背で優々と座っている。

いや、集められないのは分かるけどさ......


「沢山集まったし、帰ろっか。」


クラウドがそう言うので帰路につく。


「ブランはさ、家族はいるの?」


途中でクラウドが急にそんなことを言う。


『うーん、居たには居たが......

父親は獲物と相討ちに近い形で亡くなったし、母親は獲物を取りに行ったっきり帰ってこなくなった。

兄弟も居たがあの群れに入るつもりはないしな。

今やどうしているのかも分からないな。』


「そっか......

じゃぁ、こんなにもう離れちゃってるけど、あの森に帰りたいとは思わないの?」


何故急にこんな話をするのか...


『そうだなぁ.........

特にこれといった思い出はないしな。』


「うーん、じゃー、他に行きたいところとかはないの?」


行きたいところ?

行きたいところか......

そうだなぁ。


『俺には行きたいところはないな。

だって、この世界のことを知らない。

それでは、どんなものがあるのかも知らないからな。

だから、ない、と言うよりも、分からない、と言った方が良いのかもしれないな。

俺はあの森で生まれて、あの森で育った。

知識もない。

あえて言うなら全てを見て回ってみたいかもしれない。』


うむ、そうだな。

この世界を見て回るのは楽しいかもしれない。

言ってみて改めて思う。

それならばクラウドに付いて冒険すると言うのは丁度いいな。


「世界中を見たい、かぁ......

大きい夢だね。

僕もね、この世界にある沢山の未開の地に行ってみたいんだ。

そして.........僕と同じ種族を見つける。」


同じ種族?

ハイエルフはもう居ないのか?

クラウドは歩くのを止め、俺の方に向き、


「ブラン、正直に言ってね。

僕はブランと一緒に冒険をしていきたいんだ。

だから、テイムしてもいいかな?」


とても真剣な目付きで俺の目を見る。

ふっ、俺の答えは前から決まっている。


『あぁ、クラウド。

俺をテイムしてくれ。

俺はずっとお前と旅をしよう。

そしてお前の支えになるよ。』


クラウドがそれを聞くと、クラウドから光が飛び出し俺の方に向かってきた。

そうしてそのまま俺に当たり、何も無かったかのようにすっと消えた。


『クラウドからテイムの申請が来ました。』

『承諾しますか?』

『Yes or No』


Yesで!


『クラウドの契約獣になりました。』

『信頼度70%を観測しました。』

『信頼度が50%を越えているため、その値に準ずる恩恵を付与します。』


な、なんだ?

最初のは分かる。

契約をしたのだから契約獣になったのだろう。

分からないのは次だ。

信頼度?

恩恵?

恩恵ってなんだ?

テイムの説明にそんなのあったか?


『テイム:魔物と共に歩んでいくことを可能とする術。

魔物と直接対峙し、魔物が術者を認めた場合絆ができる。

多くは使役を使うが最近は命令を使うものが増えてきている。

魔物との信頼度が高くなれば高くなるほど恩恵を受けることができる。*』


あったよ......

それと何か小さく*マークがついてるし......

こんなの見過ごすし...

調べてみる。


『隠し要素:契約獣の信頼度が50%を越えた場合、現在の信頼度-50%分の経験値が互いに加算される。

また、パーティーではなく遠く離れて行動している場合には、加算分の経験値だけが相手にも与えられる。』


......な、なんじゃこりゃ!?

隠し要素だと?

召喚術にもあるのだろうか?


『召喚術:術者の最大MPを消費し魔物を召喚する術。

使役か命令とセットでとり、魔物と共に歩んでいくことを可能とする。

召喚した魔物により最大MPの減少量は変わってくる。

テイムとは違い、最大MPを消費する替わりに召喚した魔物のステータスの1割が加算される。*』


.........あったな。

とりあえず見てみる。


『隠し要素:信頼度が50%を越えた場合、現在の信頼度-50%分の消費MPが削減される。

ただし、信頼度がマイナスになった場合、その分の消費MPが加算される。』


なるほど、両方信頼度と言うのがキーなのか。


「ねぇ、ブラン。

今のなんだろ?」


考えているとクラウドがそう言ってきた。

今の?

どれのことだろう?

考えていたから見てないぞ。


『今のってなんだ?

ちょっと見ていなかった、悪い。』


「いや、見るのじゃなくて、さっきの神の声のことだよ。」


神の声?

.........神の声ってなんだ?


「あれ、もしかして魔物には聞こえていないのかな?」


俺が首を傾げているので、クラウドはクラウドだけ......いや、人間だけにしか神の声は聞こえないと思ったようだ。

神の声...声?

もしかして、


『クラウド、もしかして頭に直接語りかけてくる声のことを言ってるのか?』


「うん、そうだよ。

あっ、そうか。

神の声って言ってるのは人だけだから伝わりにくかったんだね。」


そうか、人間の間ではこの声のことを"神の声"って呼んでるのか。

まぁ、確かにスキルや経験値などを伝えてくるし、そんなのが分かるのは神くらいだろうしね。

魔物の間では何て呼んでるんだろ?

サファイアに聞くと


『世界の声だ。』


と返ってきた。

世界...か。

魔物には神と言う概念がないのかもしれないな。



.........と言うか、皆にこの声が聞こえていたということに驚きだよ!

俺だけなのかと思っていた。


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