54話目
何か評価とブックマークが増えてました。
ありがとうございます。
俺はただひたすらに馬車と並走している。
つまらないので、少しスピードを上げると
「ヒヒーンッ!」
「おわっ!?どうどう!」
馬が暴れて制御が聞かなくなる。
まぁ、ついてきている時点で馬がビクビクしているが......
ストレスなのか視線がキョロキョロしたり無駄に土を掻いたりしている。
襲ったりしないんだがなぁ...
本能的にダメなんだろうな。
仕方ないので、大人しく後ろの方で走り続ける。
まぁ、大人しくと言っても目につくものを鑑定しまくり、何か面白そうなものや役に立ちそうなものは、首から提げている鞄に入れているわけだが。
大人しくとは一体......
葉物は抜こうとしても噛みきってしまい無理だが、木の実や茸、枝付きの葉なら拾える。
そうしてせっせと拾いながら走っていると、馬車のスピードが落ち始めた。
もうそろそろ野宿をするのかもしれない。
大分日が落ち、暗くなってきているからな。
そうして少し開けた場所で馬車が止まり、皆が降りてきた。
四人は直ぐに夜営の支度をしている。
クラウドも降りてきて、クプレを召喚した。
よし、俺もクラウドの所に行き、鞄の中の成果を報告するか。
クラウドのところへ駆けると、クプレがクラウドの後ろに後ずさった。
......うん、まぁ、大分ましにはなってきているんだけどね。
やっぱり悲しいな。
サファイアはまだ馬車の中から降りてこない。
もしや、降りられないのだろうか?
入り口のところで佇んではいるが...
「ブラン、お疲れ様。
ずっと走ってたけど大丈夫?」
サファイアが背中の上にいないので念話が使えない。
その為頷いて大丈夫ということを知らせる。
「そっか、良かった。」
そう言ってサファイアを持ち上げ俺の背の上に下ろす。
サファイアが背中にいるので早速念話を繋いでもらう。
『クラウド、鞄の中を見てくれ!』
口に鞄をくわえ、クラウドが見えるようつき出す。
「鞄の中?
何か鞄膨らんでるね。
......枝が突き出てるけど....」
うむ、枝は鞄に入りきらなかったのだ。
クラウドが持っているような中が拡張された鞄ではなく、ごく普通の鞄だからな。
まぁ、デクからの貰い物だし、文句は言えない。
クラウドが鞄を開け中身を見る。
すると、
「あっ、これはランボの実。
こっちはケタケ茸。
この枝に付いてるのもランボだねー
てことはこの葉はランボの葉か。
後も、何か色々入ってるねー
これ全部移動中に取ってきたの?」
『おう、そうだ。
何かに使えるかと思ってな。』
「そうなんだ。
これ全部薬に使えるものだよ。
ブランは物知りだね。」
そう言って頭を撫で褒めてくれる。
物知りと言うか、全部鑑定で調べて薬や毒薬になるのを知って持ってきたんだけどね。
ちなみに、ランボの実は直径3センチほどの小さな実だ。
熟れていても、緑色という変わった実である。
また、こいつは固く、食べても渋いらしい。
だが半分に割り、種を取り出して干すと甘く柔らかくなるのだそうだ。
そして、この実の効果は暗闇を治すというもの。
魔物に暗闇にされ、目が見えなくなったとき食べると治るらしい。
葉は葉を軽く温めるか、葉のエキスを湿らせたタオル等を目の上に置いて寝ると、翌日には目の疲れがとれるらしい。
ケタケ茸は薬にも毒にもなる。
ケタケ茸は二等辺三角の形の笠を持つ茶色の茸だ。
ケタケ茸を煮詰め、その汁を飲むと笑い転げるらしい。
しかしケタケ茸を乾燥させ粉末にし、ポーションと混ぜると笑い転げるのを治せるのだとか。
頭を撫でられていると
「おーい、枝を集めるのを手伝ってくれ!
今夜一晩中火を燃やし続けないといけないからな。
多ければ多いほどいいんだ。」
そうガンツが言ってくる。
ふむ、魔物が出にくい道だからと言って出ないことはないし、夜は見張りを付けるのだろうな。
その為に枝が沢山いるのだろう。
よし、
『クラウド、ガンツがああ言ってるし、枯れ枝を拾ってくる。
だからその鞄の中身をクラウドの鞄の方へ移動させてくれないか?
そうすれば俺でも沢山拾えるからな』
「うん、分かった。
けど、僕も一緒に拾いに行くよ。
その方が多く拾えるでしょ?」
『あぁ、じゃー、一緒に行こう』
そうして二人で枝を拾いに森に入っていった。
............サファイアとクプレもいるから二人じゃないけどな!