46話目
ルレットの群れを引き連れ走る走る。
バラバラで居たはずなのに、何かどんどん寄ってきている。
何で場所が分かるのだろう。
そして、少し開けた場所に出た。
ふむ、ここなら動きやすいだろう。
トップスピードでルレット達を引き離す。
離れたところでぐるっと振り向く。
ルレット達は俺が逃げるのを止めた為止まった。
予想外の動きをしたからかもしれないが......
『さて、少し暴れるぞ。
最後は頼んだ。』
眼前には大量のルレット。
皆が皆、ゾンビのようで恐怖に刈られるがこいつらは弱い。
大丈夫だ。
「ゥワオオォォォォォォォオオオォォォン!!!」
恐怖を払うべく、全身全霊を込めて吼える。
吼え終わると同時に駆け出す。
何か背中がつつかれてるが、取り合えず置いておこう。
ルレット達は何故か硬直している。
今がチャンスだ。
薙ぎ払い、ぶつかり、噛みつき、投げる。
出来るだけ一撃で行動不能にしていく。
そして、その動けなくなったところをサファイアが燃やしていく。
サファイアが燃やす回数が少なくて済むように纏めたり、火の中に直接放り込んだりもした。
ただでさえ俺よりも行動が遅いルレット達が硬直をして動きを鈍くしている。
こんなやり易いことはないだろう。
まぁ、それも次第にとけていくだろうが......
まともに動けるようになったとしても、速さで負けるわけがない!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今俺の目の前にはキャンプファイアーのような火が3つ燃え盛っている。
ここ一応森なんだけど大丈夫だろうか......
木に移って燃えていかないだろうか。
いや、そう言えば生きてる木は水分を含んでるから燃えにくいんだっけ?
燃えにくいだけで、これぐらいの熱量があれば燃えるか......
ボーッとそんなことを考えつつ燃え尽きるのを見守る。
まぁ、あんまりボーッとしてるわけにはいかないが......
もうそろそろいいだろうか?
そう思い、火に土を掻けていく。
......。
後ろ足で土をかけているのだが、何か自分の便を埋めてる感がして何か嫌だな。
かといって前足で掻けるのは苦労する。
火を跨げれば前足でも掻けやすいのだがなぁ。
そして全てに土を掻け終わり、小山が3つ出来た。
うむ、これなら後でここに来るときも何処に埋めたか分かるだろう。
方角と距離は大体掴んでいるしな。
何故分かる方がいいかって?
そりゃぁ、さっきのルレット達の魔石はこの土の山の中だ。
クラウドを街に戻したら、デクのくれた鞄を提げここに魔石を拾いに来ようと思っている。
どれだけの価値で取引されるか分からないが、数が数だけに無視できないしね。
さて、早くクラウドの所に戻らなければ。
来た道を走る走る。
あっ、少し前に違う場所で魔石を拾えてない。
あれらも回収してから行こう。
ルレット達はまだこちらに多く来ている。
戦っても問題はないのだろうが、サファイアのMPがもう限界だ。
。。。。。。。。。。。。。。。
サファイア
種族:ファイアーバード(幼)
Lv7/8 状態:健康
HP14 MP2(31)
。。。。。。。。。。。。。。。
今は積極的に休んでいるため1回復しているが、火の玉は一回使用するとMPを1消費するようだ。
と言うことは、後2回しか火の玉は使えない。
それではルレット達を倒すのは不可能だ。
相手は多いのだから......
そう言えばサファイアのレベルが1つ上がりもう少しでレベルMAXになる。
そうすれば普通のファイアーバードになり、空を飛ぶようになるのだろうか?
それはそれで背中がさみしくなるなぁ。
まぁ、飛べるようになっても背中の上でずっと居そうだがな。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
道中魔石を拾い、クラウドの元へ走る。
もう少しで着く筈なんだがまだ見えな......あっ、見えた。
クラウドが身ぶり手振りでクプレに何か言っている。
クプレはそれをじっと、時には頷き話を聞いているようだ。
ここら一帯魔物は居ないとは言え、もう少し警戒していた方がいいんじゃないのか?
それともあれで警戒しているのだろうか?
後50mと迫ったときにクプレの耳が動き、こちらを向いた。
目線が合った瞬間クプレは少しびくつき、クラウドの後ろに隠れた。
...いや待って、俺クプレにクラウドを守ってくれって言ったよね?
何でクラウドの後ろに隠れちゃうかな?
クラウドはクプレの突然の動きに驚いてクプレの方を見ていたが、クプレがこちらを注視しているのに気付き、こちらに振り向いた。
一瞬腰を浮かしかけたが、俺と分かったのだろう。
浮かした腰を降ろし、にこやかに此方に手を降った。
俺がクラウドの所まで着くと、
「おかえりなさい、こちらは何も危険がなかったよ。
そっちは大丈夫だった?
途中大きな吼え声が聞こえたけど、あれってブランかな?」
俺達は至って元気であるため頷く。
また、大きな吼え声は俺である可能性も高いが、他の獣の吼え声である可能性もある。
まぁ、ゼロに近い確率であろうが。
そんなことよりも、敵が此方に向かってきていることを報告しなければ。
サファイアのMP足りるかな?
『クラウドここに大量の敵が集まってきてる。
倒すには倒せるだろうが燃やすのに手数が足りない。
そこで今日は一先ず街に帰るのはどうだろうか??』
「大量の敵...か...
それではルレット達を完全に倒しきることはできないね。
僕は余り魔法が放てなくなってるし、サファイアももう無理そうだしね。
よし、取り合えず今日は早く帰ろう。
敵がここに集まってきていると言うことは、ここに何かあるのかもしれないしね。
敵の群れとかち合わさないよう気を付けないと。」
『それは俺が探るわ。
取り合えず乗ってくれ。
そしたら直ぐに駆け出すから。』
それを聞くとクラウドはキョトンとし、
「え、乗るの?」
『そうだ、その方が速く街に帰れる。』
「いや、僕は自分で走れるよ。
わざわざ乗せて貰わなくても......」
なんかクラウドが遠慮しているようだが、クラウドは全然重くないため、そんなに遠慮しなくてもいいのだが......
仕方ない。
俺が乗せるか。
クラウドの側に行く。
首元の服を噛み、持ち上げ背中に乗せる。
その時グッとか、ギャッとか聞こえたがどしたのだろう?
まぁ、早く街に帰らなければね。
クラウドを乗せたまま街の方へと駆け出した。