43話目
さて、何をするのか全く分からないままだが、取りあえずクラウドの歩いて行く所へと付いていっている。
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一般人の家のように見える所についた。
所々傷んでおり、年季がはいっている。
クラウドは何も言わないまま扉を開け、中に入っていく。
......ここって誰かの家だろうに勝手に入ってもいいのだろうか。
ちなみに、普通家に入るときは日本で言うところのチャイムのようなものを鳴らし、その家の人が扉を開けて招かれてから、中に入るのが一般的っぽい。
クラウドが入っていったので、俺も仕方なく付いていく。
そして家の中に入ると鼻面に軽いパンチがお見舞いされた。
......ぅう、いや、実際に鼻面を叩かれたわけではない...
.....ただ....家の中が臭い......
決して不潔の方の臭いではないんだが......
具体的に言うと病院や保健室などに行くと臭う、薬臭さをもっと濃密にした感じと言えば分かりやすいだろうか?
狼にはちょっとキツイ.....
臭いにげんなりしているのが顔に出ていたのか、クラウドが心配そうな顔をしている。
「ブラン、大丈夫?何か辛そうだけど...」
『あ......あぁ、大丈夫、だ...心配はいらない』
「そう?きつくなったら何時でも言ってね?
外で待っててくれてもいいからね?」
......あぁ...つい大丈夫と言ってしまった。
日本人の遠慮の精神が今は恨めしい......
はぁ、早く外に出たい。
だが、大丈夫と言ってしまった手前すぐに出るのも変だしなー
もう少し我慢するしかないのか......
取り合えず気分をまぎらわすために家の中を見渡してみると、天井近くまでの高さのある棚が左右に立っている。
そしてその中には様々な色の液体が入った瓶や、器のようなものや、石、角のようなものまである。
各々鑑定して見ていくと回復系の薬や、何かに使われると思われる素材であった。
一体何に使うのだろうか?
「すいませーん!」
クラウドが奥に向かって声をかけると、パタパタと、此方に向かってくる足音が聞こえる。
そして、奥から現れた人は40くらいのメガネをかけた学者風の男の人だった。
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クライス
種族:普人族 状態:健康
Lv5/50
HP 31 MP 14
力10
防御9
魔力11
俊敏6
[通常スキル]
水魔法Lv2
。。。。。。。。。。。。。。。
『鑑定Lv8になりました』
おおっ!?
鑑定のレベルが上がった!
森や街の物を鑑定して回っていたが中々上がらなくて困っていたが、とうとう上がった。
いやはや、我慢してここにいてよかったよ。
さて、何が見えるようになったのだろうか?
少しワクワクしながら、早速自分を鑑定してみる。
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ブラン
種族:ブラックウルフ
Lv12/15 状態:健康
HP61 MP22
力49
防御20
魔力12
俊敏33
ランクE-
[通常スキル]
噛み付くLv5 引っ掻くLv4
食い千切るLv2 暗闇Lv1
重圧Lv1 気配察知Lv5
気配消去Lv3 穴堀りLv2
[特殊スキル]
知性Lv_ 鑑定Lv8
飢餓耐性Lv1 麻痺耐性Lv1
斬撃耐性Lv1 刺突耐性Lv1
ウィンダー言語Lv3 回避Lv4
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おぉー!
特殊スキルとか言うのが見えるようになった。
ここに鑑定やら耐性系が書いてある。
ついでに知性Lv_もあり、一番謎なのでさらに鑑定。
『知性Lv_ :特異的な知識を持つものに与えられる。
その特異的な知識により全ての経験値が二倍となる。』
特異的な知識と言うのは、この世界とは違うところの世界の知識だからだろうか?
まあ、それは分かる。
分かるが、次の全ての経験値とはなんだ?
全てってなんだ?
魔物を倒したときに得る経験値以外にもあるのか?
だが、今までにそんなアナウンスはなかった。
俺が何もしてないからだろうか?
思考の海に沈んでいると、背中にコツコツとつつかれている感触がある。
何だよと思いつつ、考えをやめ背中を見る。
するとサファイアと目があった。
やっぱりお前か......
せっかく色々考えているところだったのに......
唐突にサファイアが右上の方に顔を向けた。
それにつられて俺もそちらを見る。
と、クライスが何か透明の液体の入った丸底フラスコを持ってこちらを見ていた。
「あっ、ブラン大丈夫?
いくら呼び掛けても反応がないから、さっき体調悪そうだったし気絶してるのかと思ったよ」
クライスの後ろからクラウドが顔を出してそう言った。
心配をかけてたみたいだ。
「あーぁ、気づいてしまったか。せっかく気付け薬を持ってきたのに......魔物でも効果あるのか実験してみたかったんだけどな...」
最後は小さい声で言ってたけど聞こえてるからな!?
実験ってなんだ、実験て!
危ないところだった......
「でも、狼系だから鼻がいいはず......てことはこれでは強すぎるのだろうか......ブツブツ」
...こ、怖!
ブツブツと危ないこといってるし!
「ブラン、用事終わったから待ち合わせ場所まで行こう?」
クラウドは聞こえていないようで、クライスには無反応だ。
ここで何の用事が合ったのだろうか?
それに待ち合わせとは?
また分からないままクラウドについていく。
ん?この方角は門の方だ。
外に出るのか?
ということは、先程の討伐依頼をするのだろうか?
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外に出ると数人ほど集まっていた。
顔を見ると、先程の会議室で見た人達であるようだ。
そして少しの間待つと、プルトリコが全員集まっているか確認を取り、全員来ていると分かったところで
「よし、それでは討伐を開始する。
会議室でも言ったと思うが弱いからと言って油断するな!
それと今話題の魔物に出会ったら一目散に逃げるんだ!
あれは俺たちでは手に余り過ぎるからな!!
...それでは、行け!!!」
それを聞くやいなや、ほとんどのパーティーが我先にと森の中へ姿を消した。
「じゃー、僕たちも行こう」
そして俺たちも森の中に入る。
森に入ると同時に気配察知を使う。
すると、居るわ居るわ。
俺が見たときよりも多くが森中を蠢いている。
「ちょっと待って、クプレも出してあげないと......
色々聞かないといけないことがあったのに、最近忙しすぎてすっかり忘れてたから。」
......あっ......それだ!
前に何かしなければいけないことが有った気がしてたんだよ。
言われるまで忘れてたわ。
クラウドの前に魔方陣が現れ、そこからクプレが出てきた。
「ごめんね。すぐに呼び出してあげるつもりだったんだけど、バタバタしてて中々呼び出せなかったんだ。」
クラウドが謝り、それを見ているクプレ。
前はあんなに甘えてたのに、ご立腹なのかね?
『......いいけど、私もサファイア?見たいにずっと出ていたい!
一人は嫌!』
「うっ、......僕この姿だとサファイアとクプレ出したら魔法がほとんど使えなくなっちゃうんだけど......」
クラウドがボソボソと落ち込んだように呟いた。
『大丈夫!私が守ってあげるからっ!
お願い!一人は......嫌なの.........』
クプレが悲痛な声でそう訴える。
クラウドは少し悩んでいるようだ。
だが、
『おい、考え中に悪いが右斜め後ろからお客さんだ!』
俺はすぐさま体制を整える。
クラウドとクプレも慌てて体制を整えた。
そして、敵が来ているであろう茂みに注意を払う。
さて、どんなのが出てくるのやら。
......サファイアはどうしたのかって?
サファイアは俺の背中に乗ってるから、俺が敵の方を向けばそれだけでいいんだとよ。
全く、飛べない鳥って気楽でいいね。