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人生...いや、狼生は楽じゃないね!  作者: ゴンピ~
第1章:森の異常
40/132

40話目


さて、クラウドには目撃現場には近づかないと言ったが、見に行ってみようと思う。

だって、気になるじゃん。

それに戦うわけではない。

ちょっと見て、鑑定してどんなステータスか見てみようと思っているだけだ。

弱そうなら倒してみたいけどね。


ということで今日3人にあった所に取り敢えず行き、そこから3人が来た方角へ歩いていこう。


『......おい、そっちだと近づくぞ?』


......サファイアに止められてしまった。

サファイアって意外と真面目だよな。

最初はツンツンしていてあまり話さなかったのに......


『あぁ、分かってるよ』


『近づかないんじゃなかったのか?』


『まぁそうなんだが、俺らは実際に見た訳じゃないだろう?

クラウドはギルドで情報収集しているから、俺らは現地で実際に見て情報を集めようってわけだ』


それを聞いてサファイアは疑いの目で此方を見、


『............お前、どんなやつか気になるから見に行こうとしてないか?

最もらしい理由をつけて......』


うへっ!?バレてる!

何故分かったんだ。

そういや、俺は普通の魔物より意志や感情がどうのこうのと色んな人に言われてきたが、そんなに顔に出ているのだろうか?

というか人の話を聞いている限り、魔物は感情が薄いように言っているような......

サファイアもクプレ......はあまりまだ話してないけど、感情はちゃんとあるようだけどな~?

なんで薄いようにいっているのだろうか?


そう考え事が脱線していっている間にも足は動かし、確実に目撃現場に近づいていっている。

その間もサファイアが何か言っていたようだが、聞き流している。

行きたくなければ、元からついてこなければいいのに......





サファイアも諦め何も言わなくなってから暫くすると、鼻に付く臭いがした。

なんの臭いだろうか?

.........鉄錆のような臭いと獣の臭いが入り雑じっているのか?

臭いは少し進行方向より左に逸れた所から漂ってきているようだ。

歩いて様子を見に行ってみる。

歩いて近づいていくほどに臭いがきつくなってくる。

......気分が悪くなってきた。


『......おい、こんな臭いの方に何しにいくんだ?』


『いや、変な臭いがするから様子を見てみようと思ってな。

森で起きてる異常の原因が分かるかもしれないだろ?』


そんなことを話しているとほぼ着いたようだ。

もう臭いで鼻が麻痺して分からなくなってきているが、むせ返るような臭いで吐き気がしてくる。

さっさと見て、早く帰ろう。

でないと本当に吐きそう......


視界を遮っている草を選り分け一歩踏み出した。

すると目に付いたのは、



土の色を赤黒く染め上げている夥しい血と、もう何者か分からないほどバラバラにされた生き物の死骸だった。



あまりの光景に暫し固まっていると


『......おい、早くここから離れろ。何か嫌な感じがする。』


サファイアがそう言い、背中をつついてくれたことで、フリーズしていた頭を動かす。


『嫌な感じってなんだ?』


『細かくは分からない。だが、とてつもなく嫌な予感がっ......!?おい、あの真ん中の白いやつの周りを見てみろ!』


サファイアが急に慌て始めたので、サファイアの言っていたものを見る。

確かにちょうど真ん中にこんなにも血が飛び散っているのにも関わらず、真っ白な何かがあった。

地面から10cm位の棒状の形をしている。

気になったので鑑定してみようとしたのだが、それ以上に目に付くものがある。

その棒の周りの地面がボコボコと蠢いているのだ。

いや、地面と言うと語弊がある。

地面に撒き散らされていた生物の肉片や骨が蠢いているのだ。

その奇妙な光景に俺もサファイアも暫し固まっていると、その間に何ヵ所かに肉片などが集まり立体的になっていく。

そうして、出来たのは犬のような何か、コウモリっぽいもの、ウサギの様なものが数匹づつ出来上がった。


「......ウ...ウウヴウウ......」


何処から誰が発しているのか分からない呻き声を聴き、やっと俺達は動けるようになった。

慌てて一番近くにいるやつに鑑定をかける。


。。。。。。。。。。。。。。。

[]

種族:ルレット

Lv2/8 状態:寄生

HP 12 MP 1

力 1

防御 1

魔力 1

俊敏 3

ランク-


[通常スキル]



。。。。。。。。。。。。。。。



......え、何これ。

弱すぎじゃないか?

ただ状態に寄生とついてるのが気になるが......


『...おい、早く逃げろよ。何かこいつらやばいって!』


サファイアが背の上で騒いでいる。


『いや、こいつらめっちゃ弱いぞ?そんなに危険だとは思わないんだが......』


『何でそんなの分かるんだよ。取り敢えず逃げろ!』


言いあっていると、一番近くにいた犬型のやつが飛び掛かってきた。

噛みつくのはかなり嫌なので前足で右から左に振り抜く。


グシャッ!


そんなに力を入れてはいないのに地面にぶつかりまた肉片を辺りに撒き散らすこととなった。

その光景に少し顔をしかめる。

だが気分を持ち直して、


『な?弱いだろ?何も脅威にならない。』


そうサファイアに向けて言うが、サファイアはうつ向き無言のままだ。



ここで、俺は忘れていた。

いつも倒した後にあるアナウンスが無かったことを......

前にゼリーを倒し、アナウンスが無かった後どういう風になったかを......



サファイアがふと顔を上げた。

そして眼を見開き固まる。

ん?どうした?

何故固まってるんだ?

念話も繋がないまま固まっているようで、俺の言葉は届いていないみたいだ。

仕方ないな。

言葉が通じないんじゃ詳細が聞けない。

やれやれ、という感じで前を見る。




と、




視界いっぱいにゾンビ顔が!?


「ぎゃおおぉぉぉぉおおぉぉぉぉぉおん!?」


俺は体を勢いよく反転させ、一目散に走り逃げた。


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