???
2話投稿します
ここは森の中。
日が落ると暗闇に覆われる。
昼間に活動している動物、魔物達は巣に戻り眠りにつく。
そして、夜間に活動する魔物たちが起き始める。
一見なんのへんてつもないごく普通の森。
そう、最近までは......
今宵もいつもとは違い、日が落ち暫くしても森は暗闇に覆われることはなかった。
森の中央部、1ヶ所だけが昼間のように明るく輝いている。
その光の元は...
......1本の白いキノコ......
そのキノコの名はホティノス。
胞子を飛ばす一週間前からキノコ自身が夜中に光だすという性質がある。
その光には魅惑がかかっており、その光を見に沢山の魔物達がやってくる。
そして、日が上る少し前まで光り続ける。
光が消えると魔物達は争うことはなく、フラリフラリと自分達の縄張りに帰っていく。
そして何事も無かったかのように、いつも通りの生活をする。
一見、害がないように思えるが、体を休める時間のなくなった魔物たちは苛立ちを覚えるようになる。
ならば光を観に行かなければよいと思えるが、もう一度見たいという衝動に駆られ、見に行ってしまうのだ。
光を見れば見るほどその魅惑にとらわれ、毎夜毎夜キノコのところに集う。
そして今宵も様々な魔物が寄せ集まった。
今日は光り始めてちょうど1週間目。
ホティノスは次の段階へと移行する。
急にキノコの笠の部分を破裂させる。
その破裂と共に胞子が撒き散らされた。
辺りは光り輝く胞子がフワフワと舞い、幻想的な風景を作り出す。
その風景に魅せられる魔物達。
ある茶色の狼型の魔物が隣を向く。
そこには同じ種の魔物が座って風景に魅いっている。
彼らは同じ群れの者なのだろう。
狼はそのまま近づき...
...喉を噛み千切った。
胞子と共に踊る赤い液体。
その狼のところだけではなく他の場所でも次々と吹き上がり、舞い踊っている。
狼はすぐさま違う魔物の所へと行き乱闘を始める。
暫くの間、胞子と赤い液体の舞踏会と魔物達の乱闘が続いた。
終わりなど無いのではないかと思うほどに激しい物だったが、ちゃんと終わりは訪れる。
舞踏会と乱闘が終わるのは同時であった。
幻想的だった風景は今や見るも無惨な姿となった。
魔物達の死骸が辺り一面に敷き詰められ、血の濃密な臭いが漂っている。
その中心に1匹、立っている魔物がいる。
ベースはあの茶色の狼だろうか。
今は似ても似つかない姿となっており、判別がつかない。
頭は3つあり、真ん中にあるのが狼、その右にあるのは鳥、左側にあるのは角の生えたウサギだ。
背にはコウモリのような羽があるが、大きさがそこまでないため翼で飛ぶことは不可能だろう。
何よりもおかしいのは全体がドロドロとしていることだろうか。
「「「ぎゃるおおぉぉぉぉああおぉぉ!!!」」」
その奇妙な魔物は吠え声をあげ、歩み始めた。
ホティノスは光り輝くという意味の名前だが、別の名前でこう呼ばれている。
クイバ・レティ
災厄のキノコと......