28話目
俺たちは今ギルドの中にいる。
クラウドが依頼を選んでいる最中なので俺達は静かに待っている。
何故俺達かと言うと、あのくそ鳥は帰ることなくずっといるからだ。
それに、今は俺の背の上にとまっている。
何故こんなことになったのかと言うと、契約が終わった後は何も用事がなければ普通、召喚獣は帰る筈らしいのだがこのくそ鳥は帰らなかった。
仕方ないので、食堂でご飯を食べることになったのだが、こいつ幼いからか飛ぶことができず、鳥だから歩いても遅かったのだ。
まあ、俊敏3じゃね...
歩幅も違うし...
で、最初はクラウドが運んでいたのだが力があまりないからか、食堂につくと疲れていた。
だから、それからは俺が背に乗せて運ぶことにしたのだ。
まぁその後、食事が運ばれてくるとこのくそ鳥は脇目もふらずに食い散らかした。
もうそれは酷く食い散らかしたのだ。
おかげで俺の体のあちこちに食いカスがくっついた。
そのとき、怒り過ぎると体が震えるって本当だったんだって思ったよ。
流石にくそ鳥も悪いと思ったのか、それからは多少は普通に食べるようになったが。
クラウドのためでなかったらこんなやつ絶対に背中に乗せない!!
というか食い殺したい!!
って本気で思ったね。
そして、現在に至ると...
そして、くそ鳥が今はおとなしくいるから俺に害はないだろうと思っていた。
が、俺達に視線が集まっている。
正確に言うと、俺の背中の上なのだが...
だが、チラチラと見られるのは落ち着かない。
確実に精神が磨り減っていく。
くそぅ、こいつ居るだけで害があるのかよ。
早く帰れよ。
何でいるんだよ。
...そういやこいつさっきっから固まっているな。
俺がこの視線で精神をすり減らしているのだ。
その視線を直接向けられているから、警戒や緊張で固まっているのだろう。
...よしよし、その固まっている顔を拝んでやろう。
その狼狽えている姿を見れば少しはスッとするだろう。
いつも澄ましたようにそっぽを向いてるからな。
背中の上をそっと見てみる。
すると、奴は...
............寝ていた......
...はぁ!?
何で寝てるんだよ!?
というかよくこの視線で寝られるな!?
お前紛いなりにも魔物なのだろう!?
そういうの敏感なんじゃないのか!?
驚いた拍子に体が大分動いたからか、くそ鳥は起きた。
するとすっげぇ迷惑そうな目で見られた。
いかん、殺意が...
落ち着け、俺。
そんなことをしているとクラウドが1枚の紙をもって此方に歩いてきた。
「ごめん、なかなか選べなくて...」
「ゼリー3つの採取にしようと思うんだけどいいかな?」
ゼリーの採取?
ゼリーってなんだ?
ゼリーって聞くとあの食べるゼリーしか出てこない。
あれを採取?
なんだ、どっかになっていたり、生えていたりするのか?
グミの木みたいな?
よくわからないが面白そうだ。
同意するために頷く。
「ブランはそれでいいんだね」
「で、サファイアは......」
クラウドが不安そうな顔で鳥を見ている。
こいつ、また無反応なのか。
反応ぐらいしろよな!
体を強めに揺する。
くそ鳥が慌てて背中の上で落とされまいと、必死にしがみつき翼でバランスをとっている。
...もうそろそろいいだろうか。
揺するのを止めてみる。
するとくそ鳥は非難の目をし、背中をつついてくる。
ふん、力1だから痛くも痒くもないわ。
「二人とも仲がいいんだねー。」
クラウドが微笑ましげな顔をしながらそんなことをいう。
仲がいい?
こいつと?
そんなことはない!
「僕は依頼の手続きしてくるね」
訂正しようとしたが、訂正する前にクラウドはカウンターの方に行ってしまった。
うーむ、何処が仲がいい風に見えるのだろうか...
...っと、そういえばこいつが何も反応しないまま、クラウドが依頼の手続きに行ったが、良かったのだろうか?
聞いたけれど何も反応しないから諦めたのか?
...まぁいいか。
こいつの反応を待っていれば永遠に進まない。
嫌だとも言ってないから大丈夫だろう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
依頼を達成するために川に来た。
こんなところにゼリーがあるのだろうか?
辺りを見回すが、特にそれらしきものは見当たらない。
...んっ?何かが気配察知に引っ掛かった。
引っ掛かった方に近づいていってみる。
すると草むらの陰に半透明の水色をした丸い物体があった。
なんだ?これ?
。。。。。。。。。。。。。。。
[]
種族:ブルーゼリー
Lv3/14 状態:健康
HP43 MP21
力5
防御6
魔力19
俊敏5
ランクE-
。。。。。。。。。。。。。。。
...鑑定してみた結果......こいつ生きてるの?
こんなに近づいてるのに全く動かないんだけど...
というか、こいつゲームでお馴染みのスライムに似ているな。
そのわりにステータスとか高いけど...
呑気にそんなことを思っていると、顔の横を赤いものが通りすぎていった。
...あつっ!?
えっ?今のなに?
ボウッ!!
赤いものがどこから来たのか確かめるため後ろを向いていると、ふとそんな音が前から聞こえた。
急いで視線を戻すとブルーゼリーが燃えていた。
ブルーゼリーは炎の中でぐねぐねしている。
表情とかがないから分かりにくいが、苦しんでいるのだろう。
まぁ、生きながらに焼かれたらそうなるわな...
さて、この炎を出したのはクラウドかと思ったのだが違うようだ。
さっき後ろを見たときクラウドは全然違う方を向いていた。
するとこの炎を出したのは俺の上にいるやつになる。
雛のわりにえげつないのな......
俺が鳥のことを見ていると翼をバタバタし始めた。
ん?えげつないと思われたことを抗議してるのか?
...いや、なにか違うな。
慌てているような...
ふと視線を前に戻すと炎は消えており、ブルーゼリーの上に20cmぐらいの細長い水のようなものが浮かんでいる。
そしてそれがこちらに飛んできた!?
慌ててかわす。
ザクッ!
...水みたいだったが、長さの半ばほどまで土に突き刺さり、穴を作ると消えた。
.........えっ、なにあれ......