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人生...いや、狼生は楽じゃないね!  作者: ゴンピ~
第1章:森の異常
23/132

23話目


さて、これで2度目の逃走劇だ。

相手は人間だから楽に逃げることが出来る...

というわけではない。

俺はダメージを受けて本調子ではないし、クラウドも乗っている。

それに、ぶっつけ本番で無理矢理乗せたから、走れなかったらどうしようとは思った。


だが、俺の予想に反してクラウドが意外と軽く、そんなにスピードを落とさず走ることができている。

また向こうも多少なりダメージを受けているので、俺とあいつらとの距離は離れていっている。


よかった、これで逃げることが出来る。

それにこの事をデクに伝えれば、どうにかしてくれるかもしれない。

そう思い、急いで門の方へと走る。

小道にいたので、曲がり角が多く行き止まりもあり、道に迷ってしまいそうだ。

これは大通りに出た方がいいだろうか。

走る途中、背後を見るとあいつらの姿は見えなくなっていた。

どうやらうまく逃げおおせているようだ。




大通りにでた。

遠くに門が小さく見える。

そちらに向かって走る。

後、もう少しというところで俺はつまづいて転けた。


「痛っ!」


急な動きだったため、クラウドは俺の背から落ち何処かをぶつけてしまったようだ。

痛てぇーー......俺も人間の時みたいに受け身が取れず顎を思いっきり打った。

俺はゆっくりと起き上がる。


「ブラン、大丈夫?」

「疲れてるんじゃない?」

「大分ダメージをくらっているようだし、無理しないで少し休もう」

「もうさっきの人達は追って来ていないようだし大丈夫だよ」


クラウドはそう言い、袋から緑色の液体が入ったビンを取り出した。

そうして俺にその液体をかけた。

すると、ほんのり輝き重かった体が少し軽くなった。


「ごめんね、下級のしか持ってないんだ」

「それぐらいの物しか買えないし、僕は魔法が使えるからあまり必要としてなかったんだ。」

「今はMPが切れて魔法も使えないし......」


それを聞き、体力を回復する薬を掛けてくれたのだと理解する。

そして、俺は自分が走ってきた方角を見、身構える。

クラウドは不思議そうな様子で此方を見ている。


「どうしたの?」


それを無視し、道を睨む。

そこには、不自然に穴が開いていた。

道はいつも綺麗に整備されている。

あんな穴が開くわけがない。

それにあんな穴があれば気づいて避けるか何かしていただろう。

と言うことは、あれは急に開いたことになる。


「全く、時間をかけさせやがって...」


急に右側から声が聞こえた。

そちらを向くとカスパルだけが立っていた。

撒いていたと思ったが撒けていなかったようだ。

あとのやつはどこにいった?

隙を突くため隠れているのか?

気配察知を使い何処にいるか調べる。

一人は右斜め後ろに、もう一人は左斜め後ろにいることがわかった。

逃がさないよう囲んだわけか。

だが、その距離ではもう遅い。

俺はめいいっぱい息を吸い込み吐き出した。


「ウオオォォォォォオオォン!!!!」


暗かった家々に明かりがついていく。

大分大きな声で叫んだから、人が起きてきているのだろう。

カスパルたちは少しの間固まっていたが、


「...ちっ、今度会ったとき覚悟していろよ」


そう言い、身を翻して走り去った。

潔い撤退だった。

もう少し居てくれれば街の人の誰かが見ることになったのに...

そうすれば証言が取れて、カスパルが捕まりやすくなっただろうに......

今から捕まえにいくか?

...いや、そんなことをしたら魔物が襲っているという風にしか見えないだろう。

仕方がない。

ここは諦めるべきだな。

そう思っていると背後から駆けてくる数人の足音が聞こえた。

振り返ると、デクと他数名の人が走ってきていた。

速くないか?


「おいおい、声聞いてそうじゃないかとは思ったが、やっぱりお前か」


到着するなり俺にそんなことを言う。

声で分かるのか?

狼型の魔物がこの街の中では俺しかいないから、分かったって言うことか?

他の人はデクが俺に話しかけるという光景を見、困惑や不思議そうな顔をしている。


「...あの、隊長、それは街に紛れ込んだ魔物なのでは?」


若そうな青年が恐る恐る聞いてくる。

それに、いつでも剣が抜けるよう準備もし俺に注意を払っている。


......んっ?隊長?

この青年デクに向かって隊長と言ってないか?

いや、俺がこっちにいるから此方を向いて言ってるだけだよな......うん。


「あー、こいつは違う」

「こいつはそこのクラウドの従魔だ」

「吠えたのはこいつだろうけどな」


うえ、本当にデクが隊長かよ。

まぁ確かに?強かったけども?

ステータス怖いもんね。

俺、瞬殺されそうだもの。

でも、若くない?

30代前半で隊長とか...

それに何か、隊長って感じが...............ないわーー.........


「ガウー......」


つい、口に出てしまった。

その瞬間デク以外の人が武器を構え身構えた。

......威嚇したわけではないんだが......


「こらこら、何も危害はないから武器を降ろせ」

「ただ、多分俺が隊長って言うのが変だと思って、口に出ただけだろうよ」


...なに、心読めるのか?

あれぐらいでそんなにわかるとか...


他の人達は渋々と警戒を解いた。

デクはそれを確認して、俺とクラウドを見、


「さて、何があったのかを話してくれるか」


少し真面目な顔をしてそう言った。


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