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人生...いや、狼生は楽じゃないね!  作者: ゴンピ~
第1章:森の異常
22/133

22話目


くそっ!

何かこのピンチを切り抜ける方法はないのか?

速さだけは俺が勝っているから、少しでも隙が作れば勝機は上がると思うのだが...

こいつ隙がないんだよな。


.......待てよ?

スキルの中で使えるのがあったんじゃないか?

こういうとき見えればいいのに...

思い出せ!思い出せ!


...そうだ、スキルは2つあった。

片方はどうなるか分からないが、もう片方は隙を作るのにうってつけだ。

...よし、この1発で終わらせて直ぐに駆け付けなければ!

コルキスに向けて走り出すと同時に暗闇を使う。


「...これは!?」


直ぐに腰の袋から何かを取り出そうとしている。

大丈夫だ。

ギリギリかもしれないが俺の方が先だ!

コルキスの元にたどり着く。


ビンを取りだし傾けようとしている。


飛び掛かる。


ビンから液体が零れる。


俺は口を開き喉に噛みつこうとし......



『魔物がやったと分かるようには、暴れるなよ?』



口を閉ざした。


液体がコルキスにかかる。


目が此方を見た。


剣を持っている手が思い切り振られ、腹に打ち付けられた。

空中にいたことにより、踏ん張りができず吹き飛ばされる。


「ガフッ!!」


壁にぶち当たりズルズルと落ちた。

剣の腹で殴られる形にはなったが大分ダメージをくらったようだ。


「いやはや、驚きましたが私の方が速かったようですね」


そう言いつつ、此方に歩いてくる。

くそっ、案はよかった。

あのままなら確実にやつを殺せていた。

だが、殺る寸前でデクの言っていたことを思い出してしまった。

それにより、やつに噛みつくのを止めてしまった。

...だが、あそこで仕留めていたとしても、その後クラウドに迷惑をかけてしまう。

すると結局は同じことになってしまうだろう。

遅いか早いかの違いだ...


さて、大分ダメージをくらったからか体が思うように動かない。

ぐっ......ここまでか...




...どんな規模か分からないが仕方がない。

レベル1だからそれほど周りに被害はでないだろう。



重圧!!



そして俺はもう1つのスキルを使った。


「ぐっ!?」


コルキスは徐々に持ち上げていた剣をだらりと下げ、歩みも止めた。


「こ、こんな魔法も、使えるとは...驚きですね」


少し苦しそうにそんなことを言う。

取り合えず、これでこいつを止めることができた。

早くクラウドの方に行かなくては!

そう思い体をぐっと持ち上げる。

大丈夫。

少しフラフラとするがまだ動ける。

クラウドの方を見ると、顔をひきつらせ後退しながらカルパスに魔法を浴びせ続けている。

だが、見えない何かで防がれているようだ。


俺は駆けつけようと、走り出す。

クラウドは最後に雷の魔法を使い、ふらりとしゃがみこんでしまった。


「くくくっ、もう終わりか?」

「回復薬も切れたようだな」

「それじゃぁ、付けるとするか!」


カスパルがクラウドに手を伸ばす。

クラウドは出来るだけ捕まるまいと、這いずりながらも逃げていく。

だが、カスパルの手がクラウドを捕まえそうになり......




...俺が体当たりをくらわした。


「うがっ!?」


最初ほどスピードが出ていなかったが、掴もうと前傾姿勢に成っていたので盛大に転倒してくれた。

間に合った......よかった。

クラウドの側に寄り、顔を嘗める。


「...ブラン?」


クラウドは俺を見、心底安心したような顔をし、抱きついてきた。

いや、本当によかった。

クラウドが無事で...



「...おい、お前よくもやってくれたな」


カスパルが起き上がり此方を睨み付けている。

コルキスも重圧が解けたようで此方に歩いてくる。

もう一人も起き上がってきた。

...そういや、3人だったね...

最初の方に吹っ飛ばして忘れていた。

...名前......何だっけ...


「おい、ネル!」

「ようやく起きたのか!」

「さっさと仕事しろ!」


...あー、名前ネルか。

何か、可哀想なやつだな...

最初の方に吹っ飛ばされて、忘れられていたなんて...

全部俺のせいですけど...


さて、これはピンチだ。

クラウドは動けないし、俺も3人を相手にするのは無理だ。

クラウドももう無理だと諦めた顔をしている。

...だから俺はしゃがみこみ、クラウドの方を向いた。

そして首元の服を噛み、振り上げた。


「...ぐっ!?」


首が一瞬絞まったようで苦しそうな声をあげた。

すまん、思い切りしないと持ち上がりそうになかったもので......


そしてクラウドを背中に乗せ、走り出した。


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