21話目
............シ......
......キシ.........キシ.........
....キィーーーーー....カチャッ............
...キシ.........キシ.....................
そこで俺は目を開けた。
ベットの方を見るとクラウドはいない。
やはり先ほどの音はクラウドが出ていった音だったか。
さて、どこに行ったのだろうか。
後は問題を解決するだけと言っていたから、問題解決のために出ていったのだろうか。
窓から外を見ると真っ暗だ。
人も誰も通っていない。
それを確認して、下に飛び降りた。
二階から飛び降りたが、体に特に衝撃は来なかった。
音もちゃんと出ないようにすることができた。
普通に出てもよかったのだが、先程のクラウドのように音がして、誰かに見つかってしまえば面倒だ。
だから飛び降りてみたのだが、判断は間違えていなかったようだ。
さて、クラウドはどこに行ったのか探すため、匂いを辿っていくとしますか。
こういうとき、犬系は便利だよね。
そうして道に鼻を近づけ、ゆっくりとだが確実にクラウドがいるであろう場所へと歩いていった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
クラウドはどうやら大通りではなく、小道の方にいったらしい。
どんどん人の居なさそうな道へと匂いが続いている。
雰囲気が暗く、嫌な感じだ。
しかし、もう少しでクラウドは見つかるだろう。
さっき通ったばかりなのか、匂いが強く残っているのだ。
「------!」
「-!--!」
言い合っている声が聞こえてきた。
急いで声のする方へ走っていく。
どんどん声が近づいてくる。
後はあの曲がり角を右へ曲がるだけだ。
ばっと曲がり、見ると、手前に3人の背中が見えた。
真ん中にいるやつが、がたいがよく、端にいる二人もそれなりに筋肉がついていそうだ。
奥にはクラウドが此方を向いて立っている。
パッと見た感じ何処にも怪我はしていないようだ。
よかった。
クラウドは此方に気付き、驚きと嬉しさを合わせたような表情をしている。
そして、急いでクラウドの側によろうとしたが、クラウドが目で静止をうったえている。
何かあるのだろうか?
取り合えず指示に従い、静かにそこに留まる。
「おい!聞いてるのかよ!」
「これでは足りねぇって言ってるんだよ!」
「今日は偶然魔物を倒せたようだし?金は持ってるだろ?」
「それとも、秘密をばらされたいのか?もう一度痛い目に遭うか?」
真ん中のやつがイライラしながらそんなことを言っている。
なるほど、問題って言うのはこいつらのことか。
それにギルドでの嫌な視線もこいつらか。
クラウドからいつ指示が出てもいいよう、飛び掛かる準備をしておく。
「秘密をばらしたかったら、ばらせばいい」
「もう僕には関係ない」
「それに、パーティーを組めなくなっても僕はもう独りじゃない!」
「なんだとー?」
「そんな強がりを言っていられるのも今のうちだぜ?」
3人組の顔は見えないが、絶対嫌な笑みを浮かべていることだろう。
何か、台詞がザ悪役って感じだもん...
真ん中のやつがポケットから何かを取り出した。
輝く銀色の輪になっているものだ。
「......それは!」
クラウドは何か分かったようだ。
「ふん!さすがに狙われていた対象だから分かるか」
「俺がお前を逃がすわけないだろう?」
「この街では禁止されているが分からなければいいんだ」
「前から持っているやつはおとがめ無しだし、さっさとこの街から離れ違う街に行けば合法のところもあるしな!」
「いつかは、はめてやろうと思っていたんだ」
「はめる時が早くなったが、これでお前は俺の物となる」
「これまで以上にこき使ってやるよ!!」
「捕らえろ!」
クラウドの顔が話を聞くたび、どんどん青ざめていった。
端にいた2人がクラウドに近づいていく。
もうこれ以上待っているとクラウドが危ない。
取り合えず近づいていっている2人をどうにかするか。
走りつつ2人を鑑定する。
。。。。。。。。。。。。。。。
ネル
種族:普人族
Lv6/50 状態:健康
HP36 MP5
力 20+3
防御 9+2
魔力 3
俊敏 5
。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。
コルキス
種族:普人族
Lv8/55 状態:健康
HP41 MP3
力 29+4
防御 12+2
魔力 2
俊敏 11
。。。。。。。。。。。。。。。
うえ、意外と強い。
だがまだ二人に気づかれていない。
今なら体勢ぐらいは崩せるだろう。
走っているスピードそのままにネルの方へ体当たりをくらわす。
「うがっ!?」
道が狭いお陰で俺の体重と助走の分のスピードがかかったままネルは壁にぶち当たった。
大分ダメージを与えられたようで、起き上がってこない。
もう一人の方は危険を察知してか、一旦距離をとっている。
その間にクラウドの傍らまで移動する。
クラウドは顔を青ざめさせたまま、震えている。
「なっなんだあれは!」
「カスパル様、あれは魔物のブラックウルフでございます」
コルキスが丁寧に説明している。
やはり真ん中のやつが一番偉いやつだったのか。
「ふん!人外が魔物を従えているのか」
「人間の真似事をしたところで、お前らは人外よ!」
「そうだ、そいつも使ってやろう」
「見世物にちょうどいいかもしれん」
「早く捕まえろ、魔物の方は足の1本や2本無くなろうとかまわない」
そう聞くとコルキスは腰に下げていた剣を抜いた。
俺はコルキスと睨みあう。
空気が張り詰め、辺りがシーンとした。
...ジャリッ...
急に音がし、そちらに注意が行ってしまった。
見ると、カスパルがクラウドの方へと近づいていっている。
手には先ほどの銀色の物が握られている。
何かあれを着けられるとヤバイ気がし、クラウドを助けようとそちらにいこうとした。
すると、ザワリと身体中の毛が逆立ち、脇目も降らず全力で右に跳んだ。
ザクッ!!!
黒い毛が数本舞った。
「おやおや、余所見はいけませんよ」
「あなたの相手は私なのですから」
そう言いながら剣を抜き、再びかまえた。
くそっ、クラウドは頭を抱えたまま固まってしまっているし、このままだとあの銀の物を付けられてしまう。
さっさとこいつをどうにかして向こうにいかないと!
だが、ステータス的には向こうが勝っている。
どうすればいいんだ...