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人生...いや、狼生は楽じゃないね!  作者: ゴンピ~
第5章:王都スタンベルク
138/138

138話目



「……らしい。

だが、大きい……入って…だ。

また王都にはテイム用の魔物の店があるらしい。

明日見に行ってみるか?」


声が聞こえる。

僕は目を開けて、体を起こす。


「ん?

起きたか?

長旅で疲れてたんだろ。

随分、ぐっすりだったな」


目を擦り、前を見ればクラウドとメイルが椅子に座っている。


「起こしてしまいましたか?

隣の部屋でリーシアも寝ていたので、此方にしてしまいました」


「いや、大丈夫。

…何の話してたの?」


「王都にテイム用の魔物を販売している店があるんだよ。

珍しいから見に行ってみるかって相談してたんだ」


へぇー、そんなのがあるんだ。


「ネムアさんも興味ありますか?」


「そうだね、ちょっと見てみたいかも」


「じゃ、明日は皆でそこに行ってみるか」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



魔物を売っている店に皆で来た。

魔物を売っていると言う割には、小さい店のような気がする。


「ここであってるはず……

入ってみるか?」


メイルが扉を開け、中に入る。

その後ろをクラウドとリーシア。

最後に僕が入る。

レイやサファイア、クプレには少し外で待ってもらう。

店の横に空き地みたいな所があったしね。

店の中は首輪や足輪。

後、鎧みたいなのもある。

魔物を売ってるんじゃなくて、魔物の装備を売ってるのかな?


「こんにちはー!

誰かいませんか?」


「…はいはい、ちょっと待ってくださいね」


メイルが声をかけると何処からか声が聞こえた。

店の奥から背の低い歳をとってそうな女の人が出てきた。


「はい、何の御用でしょう?」


「ここはテイム用の魔物を売ってるって聞いてきたんだが……」


「はいはい、売ってますよ。

そこの坊っちゃんと嬢ちゃんに相棒でも見つけるのかい?

それとも遊び相手かい?」


「いや、僕はもう相棒は居ますので……」


「おや、それじゃあ嬢ちゃんだけかい?

まぁ実際に見てみんと相性があるからねぇ。

……どれ、こっちについてきなさい」


店の奥に歩いていく。

僕達はそれに付いていく。


「あの前の店はいいんですか?

盗まれたりは……」


「滅多に人や入ってこないしねぇ〜

それにちゃんと店番はいるからね」


え、誰かいたのかな?

全然見えなかったや。

店の奥の扉を開いて外に出る。

目の前には広い更地があった。


「こっちだよ」


店主は右に曲がり近くの舎に入る。

獣の臭いがする。

ここで飼われているみたいだ。

僕達も舎に入ると、沢山の魔物がいた。

小さいのは檻に入っているけど、大きいのだとそのまま舎に繋がれている。


「うわぁ、結構種類が居るんですね!」


クラウドは目を輝かせながら、あちこちを見ている。


「で、どういった系統の子を探しているんだい?」


「あ、えっと……

犬系統って居ますか?」


「…なるほど、話相手かい?

ついてきな」


リーシアをチラリと見て、更に奥に歩いていく。

大きな馬?のような魔物を左手に見つつ、左に曲がる。


『なんだ客か?』


『随分ゾロゾロ来たぞ』


『いろんな臭いがしすぎて、全然分かんねぇや』


『お前が臭いんだろ』


『お前もだろ!』


『違いねぇ!』


『『『ギャハハハッ』』』


賑やかな声がする方を見れば、少し広い柵に囲われて茶色の犬?が3匹いる。

隣には広さ半分の所に1匹灰色の犬?が寝そべっている。


「やっぱり、ブランは居ないか……」


クラウドがボソリと呟いた。

なるほど、親友が売られていないか確認しに来たかったんだな。


「もっと大きい犬系って居ないのか?」


「もっと大きいのかい?

今はいないねぇ……

小さいのなら居るが大きいのが良いのかい?」


「…えっと、それが、大きい狼の魔物が良いなと思ってまして………

人が乗れるくらいの大きさの子は入ってきたりしましたか?」


「人が乗れるくらいかい?

人が乗れるのは馬か鳥かくらいだねぇ。

1度大きい蛇が入ってきたことがあったが、あれに乗るのはなかなか大変そうだけどねぇ……

そこの嬢ちゃんなら、小さい子の方が良いんじゃないのかい?

珍しいとっておきの奴がいるんだが見てみるかい?

ちょっと待ってておくれよ」


そう言うだけ言って、お婆さんは何処かに歩いていった。


『なんだよ、俺らに用はねぇのかよ』


『あー早くシャバの空気が吸いてぇぜ』


「ここってあんまり環境良くないの?」


待つ間暇なので目の前の茶色い犬に話しかけてみる。


『あ?

お前話せる奴かよ。

良いか悪いかって聞かれりゃいいんじゃねぇ?

雨にあたらねぇし、風も冷たくねぇしな?」


『外で少し走らせてくれたりするしな』


『そうだな』


「じゃーなんで早く外に出たいの?」


『そりゃオメェ、もっと広い地を走りたいだろ』


そんな事を話していると、お婆さんが小さい檻を持って帰ってきた。

中には白い毛玉がいる。


「小さくて丸っこくて可愛いじゃろ?」


お婆さんがリーシアの前に檻を持ってきた。

見ていると白い毛玉は丸めていた体を伸ばし、4つの足で立った。

そして正面にいるリーシアを見て、


『何よ!

私は見世物じゃないのよ!?』


犬歯を剥き出し、唸っている。

姿は犬みたいに見えるけど、背中に鳥の翼のような物が付いている。

それに大きさはコップくらいしかない。


「怒られてしまいました……」


リーシアはしょんぼりしている。


「言葉が分かるかい?」


お婆さんの質問にリーシアは頷く。


「と言うことは、やっぱり犬系で良いんだねぇ…

いや、私も長いこと店をやってるけど、何の魔物かはっきりしないんだよ………」


『私は魔物じゃないの!

精霊なの!

一緒にしないでよね!?』


精霊?


『ちょっと!

貴方私の言葉が分かるんでしょ?

ちゃんと訂正してよね!』


「あぅ……」


白い犬の精霊がリーシアにくってかかっている。

その勢いに押されて、クラウドの後ろに隠れてしまった。


『ちょっと隠れないでよ!

……って、あら?』


精霊はクラウドを見て、首を傾げている。


『貴方、ハイエルフじゃない……

まだ生き残りが居たのね。

貴方でもいいわ。

私は精霊って言ってくれる?

貴方も言葉分かるでしょ?』


精霊がクラウドを見て、そう言った。

ハイエルフ?

クラウドって人間じゃないの?

クラウドは何も聞いていない風に装っているが、顔が固まっている。


『ねぇ、ちょっと聞いてるの?』


「どうやら魔物じゃなくて精霊みたいですよ?」


リーシアは隠れてるし、クラウドは固まってて可哀想なので、僕が代わりに教えてあげる。


「…おや?

そうなのかい?

……どうしようかねぇ。

精霊は扱えないねぇ。

魔物じゃないなら出してあげようかねぇ……」


お婆さんは檻の戸を開ける。

精霊は翼を1度羽ばたかせ、フワリと外に出た。

そして僕の目の前にきて、


『ありがと。

でも、貴方もこんな人間だらけの所にいちゃ、危ないんじゃないの?

だって貴方、魔……』


「ちょっとストップ。

僕のことは良いから、自由になれたんだし、好きな所に行きなよ。」


危ない危ない。

あれ、遮って無かったら魔物って言われてるよね?

なんで僕が魔物と分かるのか知らないけど、この言葉をクラウドも分かるのなら、話をさせたら駄目だ。

魔物だとバレてしまったら、どうなるか分からない。


『えー、どうしよっかな。

ハイエルフも居るし……

ねぇ、貴方私と契約しない?

私と契約したら精霊魔法が使えるようになるわよ?』


精霊がクラウドの方に言って、クルクル周りを回りながらそう言う。


「どうしましょう。

何か回られてますね……」


クラウドは無視をする事にしたようだ。

チラチラと此方を見ている。

なんだろ?

あれかな、精霊がハイエルフって言ってるのを、僕がどう思ってるのか気にしてるのかな?


『はぁー、なんで無視するのよ……

分かるでしょ?

私が住んでた所から遠いのよ。

1人で住処まで帰るなんて絶対ムリなの!

少しの間でもいいの!

お願い!!』


精霊はクラウドの頭の上に乗って、クンクン鳴いている。


「おやおや、何だか懐かれてるみたいだねぇ。

お邪魔じゃ無ければ連れていってあげてくれないかい?

精霊なら1人だと弱いからねぇ」


「…わ、分かりました」


『やったわ!

正式な契約は、もっと落ち着ける所でやりましょ!』


精霊はクラウドの頭から上にクルクルっと高速で回転している。


「すごく喜んでるねぇ。

ごめんねぇ。

よろしくお願いするよ」


僕達は店を出て、1度宿に帰ることにした。

お店で何も買っていないけど、精霊をお願いするからということで、魔物用の餌を貰った。

鳥と鹿と狼用。

サファイアとクプレとレイは喜んでいた。

その餌を置くために、宿に帰る。

クラウドは頭の上に精霊を乗せたまま、僕をチラチラ見ていた。

凄く気にしてるから、何処かで二人で話したほうがいいかもね。





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