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人生...いや、狼生は楽じゃないね!  作者: ゴンピ~
第5章:王都スタンベルク
137/138

137話目



王都は人が多いからか、宿も多かった。

その中で従魔も一緒に泊まれる宿を見つけた。

従魔も泊まれると言うことで、他の宿より高かったけど、宿の中は大きく広かった。


「いらっしゃい、バディーの家へ!」


受付の人は猫の獣人だった。

家?

宿じゃなかったっけ?


「お客さんは、4人と従魔3匹でよろしいですか?

お部屋の数はどうしましょうか?」


「全員同じ部屋だと狭いでしょうか?」


「2組ぐらいに分かれたほうが良くないか?」


「そうしましょうか。

部屋を2つ、2人づつ泊まれる所をお願いします」


「分かりました。

鍵は此方ににゃります。

お食事はどういたしましょうか?」


「取り敢えず、2日泊まりだけでお願いします」


「はい。

では銀貨2枚ににゃります。

従魔用のメニューもありますので、もし食事が必要ににゃりましたら、お声がけください」


クラウドが金額を払い、鍵を受け取った。

そして部屋に向かう。

1度話をする為に全員で1つの部屋に入る。


「今日は昼も過ぎて時間があまり無いので、これから自由時間ということにしますか?」


「そうだな。

今からギルドで依頼を受けてたら、夜になっちまう。

明日から依頼を受けるのでいいと思うぜ」


と言うことで、僕達は各々自由に過ごすことになった。

レイは人が多すぎる事に少し気疲れしたらしく、宿で休んでいる。

僕はどうしようかな……

記憶喪失を治す方法とか知ってる人いないかな?

そういう人って何処にいるんだろう?

分からないので、すぐ近くの人に声をかけてみる。


「すみません、ちょっと良いですか?

病気とか怪我を治す人って何処に居ますか?」


「…あ?

あんた冒険者じゃないのか?

ギルドに行けば治療してもらえるだろ?」


それだけ言うと、すぐに何処かに行ってしまった。

忙しかったのかも……

でも、ギルドで治療してもらえるみたいだね。

僕はまた近くの人にギルドの場所を聞きながら、歩いていった。


ギルドはロート都市やラージャスタで見たのと基本は変わりなかった。

ただ人が多いし、その人達が入るために凄く広くなっている。

受付も多い。

それでも少し並ばないといけないみたい。

並んでギルド内を見回す。

依頼を張り出すボードは右側の壁にあり、今は昼過ぎということもあってチラホラ紙が貼ってあるだけ。

それも真ん中の方は紙はないのに、両端に近づくほどに紙が増えている。

入口に近い方は紙が新しい。

反対側は古くて紙の色も変わってきている。

ずっとあるって事はそれだけ難しい依頼なのかな?


「次の人ー」


あ、考えていたら順番になったみたい。


「あのすみません。

ギルドで治療をしてもらえるって、聞いたんですが……」


「ギルドに登録したカードは持ってますか?」


僕はカードを出して受付の人に渡す。

受付の人はカードを確認して


「確認できました。

ネムアさんですね。

治療とのことですが何処を怪我されたのでしょう?」


「あ、怪我じゃなくて記憶喪失を治してほしくて……」


「記憶喪失?ですか?」


受付の人が困惑した顔で首を傾げている。


「あの、申し訳ないのですが、ギルドの治療は外傷によるものだけとなっておりまして……

それ以外ですと教会で見て頂いたほうが……」


「そうなんですね。

すみません、教会に行ってみます。

ありがとうございます」


僕はお辞儀をして受付の前から離れる。


「……でも、教会は、獣人では………」


何か後ろでボソボソと聞こえたけれど、扉を開け外に出た。

しまった……

教会の場所も聞いてから出てくるんだった。

でも、後ろにまだまだ人が並んでたし、仕方ないかな。

と言うことで、僕は再び近くの人に道を聞きながら歩いていった。


大きな白い建物って言ってたからこれかな?

僕の目の前には、真っ白な壁と水色の屋根の建物がある。

他の建物より窓が大きく沢山ある。

入口は扉が開放されていて、そこを少なくない人が行き来している。

僕も取り敢えず入ってみようか。

教会の中に入る。

中も白い壁、白い柱。

入口から真っ直ぐに奥まで水色の道が出来ている。

その両脇には長い椅子が並んでいる。

椅子にはチラチラと人が座り、手を組み祈りを捧げているようだ。

水色の道を進んでいくと、大きな銅像があり、その背後にはこの建物で1番大きな窓がある。

この窓だけは色がついていて、光が入るとキラキラと輝いている。

この大きな銅像は……


「獣人の方がアレスティーナ教会に何の用でしょう?」


真っ黒の上から下まで繋がっている服を来た、銀髪赤目の人が此方に近づきながら言う。


「…教皇様だ……」


「何故教皇様がここに……」


周りがザワザワとしている。

偉い人なのかな?


「ここに来れば、治療してもらえると聞いたので……」


「ふむ、何処か悪いのですか?」


「ここ最近以前の記憶が無いんです」


「記憶がないとは……

それは多大なる咎をお持ちのようだ。

私に付いてきてください」


そう言って歩き出すので、後ろをついて歩く。


「教皇様がされなくても……

私が致しますよ」


同じような黒い服を着た人が近づいてきて、教皇様?に話しかけている。


「いえ、随分と大きな咎を持った迷える獣なのです。

私が此方に遣わされたのも、このような者が居たからかもしれません」


「なんと慈悲深き……

獣には勿体ない……」


近づいてきた黒い服の人はお辞儀をして、去っていった。


「生の大半の記憶を封じられるほどの咎とは……

貴方は一体何をしたのでしょうね?

それでは此方です」


教皇様が扉を開く。

中に入ってみると個室のようだ。

奥に先ほど見た銅像と同じ物が、サイズを小さくして置いてある。


「それではアレスティーナ様の前に跪き、懺悔を……

と言いたいところですが、記憶がないのでしたね。

懺悔もできないとは……

それ程に罪深き事をされたのでしょう。

記憶を取り戻すこと、それもまた咎を清算する為のものなのでしょう。

まずは神に祈るのです。

記憶を取り戻し、罪を償うと誓うのです!

おぉ、我らが神よ!

この迷える獣に祝福の光を!!」


そう言われると同時に、急に体が重くなった。

え、なにこれ!?

目の前の銅像は淡く輝き出した。


「…おや?獣の割には……」


教皇様が何か言っているが、体がしんどくてそれどころじゃない。

僕は片膝を地面に落とし、息を荒げる。

多分短い時間なのだろうけど、長く感じた体の重さが少し軽くなった。


「神は貴方の悪しき物を吸い取ってくれました。

今は体が急な変化について行かず、辛いかと思います。

しかし、定期的に悪しき物を吸い出せば、変化も少ないので、体も辛くなりにくいのです。

またここは個室ということもあり、より良く吸い出せるのです。

最初に見て頂いたところは軽いものですから、毎日通う人もいるくらいなのですよ。

それでは、また祈りに来られることを願っておりますよ」


教皇様は扉を開けて、僕の退室を促しているようだ。

僕は重い体を引きづる様にして、部屋を出る。

そしてそのままフラフラと宿まで歩いていった。


「にゃにゃにゃっ!?

そんな顔をして、大丈夫ですか!?」


宿に着くと、受付の人が飛び上がり心配そうに此方を伺っている。

僕は大丈夫と言い、軽く手を上げて部屋に向かう。

扉を開け、部屋に入ると直ぐにベッドに倒れ込む。

うつ伏せは苦しいので、仰向きになり手で目を覆う。

凄く体が疲れている。

本当に悪しき物を吸われた影響でこうなってるのかな?

鑑定を自分にかけて、状態を見てみる。


。。。。。。。。。。。。。。。

ネムア

種族:ブリザードウルフ

Lv42/135 状態:獣人化、魔力欠乏(中)

。。。。。。。。。。。。。。。


魔力欠乏?

MPが少なくなってるってこと?

大量に使うようなことはしていない。

ということは、さっきの所で吸われたということ……

悪しき物じゃなくてMPだなんて……

一体何をするつもりなんだろう?

……うーん、ダメだ。

ちょっと一旦寝よう。

頭も回らない。

僕は頭に手を当てて、目を瞑った。




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