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人生...いや、狼生は楽じゃないね!  作者: ゴンピ~
第5章:王都スタンベルク
129/131

129話目



魔物に戻ってクラウドにしがみつかれていると、レイが寄ってきた。


『元の姿に戻って良かったの?

魔物って、人間と敵じゃなかったっけ?』


『なんだか獣人って種族が魔物の姿になれるみたいで、僕もそうじゃないかって言われたんだ。

そうだって言っておけば、もしこの姿を何かの拍子に見られても誤魔化せるなって思って、今のうちに見せておこうって考えたんだ』


『ふーん?

獣人って変わった生き物なのね』


『変わった生き物だけど、僕にとっては都合がいいよね』


レイと話をしていると、クラウドが離れた。


「すみません、ネムアさん。

くっついてしまって………

嫌じゃなかったですか?」


頷いておく。


「良かったです!

それにしても大きくて、透明の毛も光が反射して綺麗ですね。

何という種族なんでしょう?」


僕の周りを右に左に眺めながらそう言う。


「いや、なんでそんなすぐに受け入れてるんだ!?

俺は思ったよりゴツイのが出てきて、固まってたというのに!」


メイルが頭を抱えて叫んでいる。

そうだよね。

クラウド驚いても一瞬だったもんね。


「うーん、僕この子たちと長くいるから……かな?」


クラウドは困ったように言う。


「いやいや、大きさと迫力が違うだろ!

クプレはそこそこ大きいが鹿で、サファイアは猛禽系の見た目をしているが、そんなに大きくないだろ!?

ネムアは大きいわ、肉食獣だわで、獣人って分かってても身がすくむだろ!?」


「そう言われても、ネムアさんはネムアさんだしね?」


助けを求めるようにクラウドが此方を見る。

まぁ、僕は僕だけど……

あれだよね、最初ゼロが人間から竜に戻った時、圧で固まったのと同じだよね。

ということはメイルと同じなんだよね。

ごめん………クラウド。

僕はちょっと気まずくて、目線を逸らす。


「……そんな、ネムアさん………」


悲しい顔をして落ち込むクラウド。

ごめんよ、同じ経験をしたから頷けないんだ………


「まぁクラウドが変なのは前からだし、置いといてだな。

クラウドが言っていた、魔物特有の攻撃は出来るのか?

折角その姿になったんだし、少し見せてくれないか?

さっきの戦闘も近接攻撃だけだったしな、何か遠距離系があるなら見せて欲しい」


うーん、この魔物特有のスキルか。

やっぱり吹雪かな?

僕の前方に誰も居ない、何もない事を確認して吹雪を発動する。

風が吹き荒れ、草は凍り、雪が積もる。

1部分だけ冬になったみたいになった。

こんな感じだけど、どう?って感じでメイルの方に振り向く。

メイルはまた口を開け、固まっていた。

いや、すぐに再起動した。

何か俯いてブツブツ言っている。


「実際に見てないからどんな感じか俺は分からないが、ここだけ冬みたいに雪が積もっている。

もしや、林の異変って………」


「うわぁ、ネムアさん凄いですね!

葉っぱがカチカチに凍ってます!」


クラウドが吹雪を発動した所に行って、草を触ったり、雪を踏んでみたり、どんな感じか確認している。

もうそろそろ獣人になろうかな?

他の人に見られると面倒だし……

獣人の姿に戻る。

戻るとすぐにメイルが


「……なぁ、1つ確認だが、林の方でさっきの姿になって魔物とか倒したりしたか?」


うーん?

僕魔物の姿の方で狩りをしたっけ?

いや、逆に魔物の方でしか狩りしてない?

忘れちゃった。


「うーん、分からないや。

したような気もするし、してないような気もする」


「そうか……

まぁいいか、どうせ直ぐここを離れるし、離れて何も無ければ騒ぎも落ち着くだろ」


メイルは首を振り、


「お~い、クラウド。

今度は俺たちの戦闘をメイルに見せるぞ」


「あ、そうでした。

依頼を早く終わらせないとでしたね」


「ネムア、近くに切り裂きホッパーは居るか?」


うーん、どうだろう?

気配察知で探してみる。

結構遠いなぁ。


「さっきより随分遠くには居るみたいだけど……」


「遠いのか…

仕方ないな。

案内してくれるか?」


僕は頷き、メイルたちを切り裂きホッパーの方に案内する。

暫く歩いてようやく近くまで来た。


「このまま真っすぐ行けば切り裂きホッパーが居るよ」


「よし、じゃぁ、ここからは俺が先頭で行くか。

クラウドはいつも通りでよろしくな」


「分かりました。

クプレよろしくね」


メイルが先頭に立ち、クラウドの横にクプレが並ぶ。

そのまま進み、切り裂きホッパーが見える位置まで来た。


「よし、行くぞ!」


その声とともにメイルが走り出す。

切り裂きホッパーが此方に気付いた瞬間に、地面から茨が生えてきた。

そのまま切り裂きホッパーを捕まえる。

動きを止めた切り裂きホッパーに走っていたメイルがたどり着き、斬撃を浴びせる。


『経験値を158得ました』


無事に倒せたみたいだ。

凄く動きがスムーズでいつもこんな感じで倒していってるんだろうな。


「よし、どうやら逃げ出される前に倒せたみたいだな」


「そうですね。

メイルさんの攻撃力がどんどん上がってきてますね」


「いや、クラウドの獣魔のおかげだ」


メイルが此方に向き、


「今見てもらった通り、クプレが敵を抑え、俺が斬る。

茨から逃げたらサファイアとクラウドが魔法で攻撃する。

後、見ただけでは分からないと思うが、サファイアの支援があってこそなんだ」


支援?

さっきもなにかしてたのかな?


「サファイアにはさっきの戦闘では、俺に攻撃力アップを敵には防御力低下をかけて貰ったんだ」


へぇー、そんな事が出来るんだ。


「取り敢えず、簡単にだがお互いどんなものか分かったと思う。

これから戦闘を繰り返して、いい感じに連携できるといいな。

ネムアはあんまり変化しないようにするから、俺と一緒に前衛な。

あと、レイは………遠近どっちが得意なんだ?」


「レイは遠近どちらでも攻撃出来るよね?」


『そうね。

特にどちらがって言うのはないわね』


「どっちでも大丈夫みたい」


「それなら遊撃って感じで、時と場合によって切り替える感じで行くか。

それと、切り裂きホッパーの討伐依頼は後3匹だから2手に分かれて、気配が分かるネムア達に2匹倒してもらい、倒し終わったら俺達を探してくれ」


「分かった」


「よし、この調子なら明日には王都に向けて出発できそうだな。

それじゃ、まずは依頼を達成させるぞ!」


僕達は2手に分かれて切り裂きホッパーを倒しに向かった。

2匹倒し終わり、クラウド達の元に向かうとまだ見つけていなかった。

意外に数が少なく、中々遭遇しにくいみたいだ。

僕がまた切り裂きホッパーを見つけて、依頼は完了した。

その後、夕方まで各々旅の準備をすることになった。

そして皆で夕飯を食べ、他愛無い話をして、英気を養った。

その時リーシアという犬型の獣人を紹介された。

普段は宿とかで勉強をしたり、買い物を頼んだりしているらしい。

獣人には純獣人かどうか、すぐに見分けが付くらしく会って早々敬われることになった。

僕は偉く無いからそんな事しなくていいと、説得が大変だったな………

そして今日、王都に向けて旅立つ。


「よし、何も問題ないな?

行くぞ!」


僕達は歩き出した。


「おーい!

ネムアさん!!」


と思ったら誰かに呼び止められてしまった。

誰だろう?

振り向くと馬車の窓から誰かが手を振っている。

誰だろう?

僕の知り合いは少ないけど………

丸みのある体型………

コルネさん?

馬車が僕たちのそばで止まる。

さっきの人が馬車から降りてきた。


「おやおや、初めましての方もおりますね。

私サーベルキャット商会のコルネと申します。

突然すみません。

これからどちらに行かれるのですか?」


「えっと、王都に向けてまずは近くの村を目指そうかと………」


「それはそれは!

私どもも王都に向けて商品を運んでおりましてね。

宜しければご一緒してもよろしいですか?」


メイルとクラウドの方を見ると、2人も顔を見合わせている。


「あの、それは護衛ということでしょうか?」


「そうですね。

他にも護衛として冒険者を雇ってはいるのですが、生憎メンバーが減ってしまいましてね。

食事などは提供させて頂きますよ。

如何でしょうか?」


「どうします?

僕はどちらでも良いですが………」


「俺もどっちでもいいな。

ただ、獣人とか獣魔とか他の人は気にしないのかよ?」


「大丈夫だとは思いますが、護衛の方と会ってみますか?

ちょっと護衛の方を呼んできてもらえますか?」


コルネさんは近くにいた人に指示を出し、指示を受けた人は後ろの馬車に走っていった。

少しして、灰色の髪をした二人組みが此方に来た。


「今回護衛をお願いした、ニルくんとミルさんです」


「私はミル。

弓術士、よろしく」


「はいは~い!

僕がニルだよ!

回避盾をしてるよ!

ねぇねぇ獣人が2人も居るね?

僕とお話しようよ!」


あまり話をしない水色の目の人がミルさんで、テンションが高い金色の目の人がニルさん。

リーシアはクラウドの後ろに隠れてしまったので、ニルさんが僕の方にやって来る。


「ねぇ、あっちの子と君、同じ種族?

それとも家族なのかな?

でも毛の色が違うね?」


「僕は狼であの子は犬だよ。

家族ではないね」


「そうなんだ!

だから狼の魔物を連れてるの?

名前は何?

同種だったら言葉がわかるって本当?」


「えっと……」


「ニルさんちょっと質問攻めは止めてください。

この人達を護衛に追加しようと思うんですが良いですか?」


「僕はいいよ!

大歓迎!」


「私も特にない」


これで僕達はコルネさんの護衛として、王都を目指すことになった。


「それでそれで、君の名前は?」


「ネムア」


「ネムアさん!

旅の途中話しようね!」


随分賑やかな旅になりそうだな…………




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