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人生...いや、狼生は楽じゃないね!  作者: ゴンピ~
第5章:王都スタンベルク
128/131

128話目



さて、まずは切り裂きホッパーを見つけないと!

気配察知で周囲の魔物を探す。

切り裂きホッパーはまだ見たことないから、気配は分からない。

うーん、1番近い所にいるのはこの前狩ったホーンラビットだね。

あちこちにポツポツと居るみたい。

僕の知らない気配で1番近い所にいるのは………


「よし、まずは全員で切り裂きホッパーを探すぞ。

いつもより間隔をあけて………」


「こっちの方に知らない気配があるよ」


メイルが何か指示を出してたみたいだけど、先に気配があることを知らせておく。


「狼の獣人だから、気配を読むのが得意なのか?

取り敢えずそっちに行ってみるか」


僕が気配を読んでいるから、一番先頭で皆を引き連れて歩いていく。

近くをホーンラビットが跳ねていく。

本当にこんなに近くにいるのに全然襲ってこないね。

さて、知らない気配はこの辺に居るはずだけど、まだ見えないかな?

……何処だろ?

………あ、いた!

トノサマバッタみたいな見た目だ。

周りの草の色と同化するように体も羽根も緑色。

後ろ足が大きく、跳躍力がありそうだ。

前足は前腕の部分が弧を描くように少し曲がっている。

その弧の外側がギラリと鈍く光を反射している。

体長は40センチ位。

まだこちらには気づいてないみたい。

そうだ、鑑定もしておこうか?

魔物を見つけたら鑑定をする癖を付けておかないと………


。。。。。。。。。。。。。。。

[]

種族:切り裂きホッパー

Lv9/34 状態:健康

HP 120 MP 69

力 237

防御 26

魔力 18

俊敏 293

ランクD


[通常スキル]

跳躍Lv3 切り裂きLv3

体当たりLv1 辻斬りLv2

気配消去Lv1 


[特殊スキル]


。。。。。。。。。。。。。。。


うーん、力と俊敏が高い感じかな。

けど、防御も体力も低いみたいだし、攻撃を当てれば倒せそうだね。


「切り裂きホッパーが居たけど、もう攻撃をしても良い?」


「おぅ、素早い動きで斬りつけてくるから気をつけろよ」


メイルから許可も出たし、サクッと倒してみよう。

近接にするか、遠距離にするか………

ポトナフィーラで遠距離攻撃ばかりしてたから、今回は近接攻撃にしてみようか?

腕を狼のものに変化させる。


「お、おい!

お前………」


駆け出したところで、何か聞こえた気がする。

後でなんて言ったか聞き直そう。

後少しで手が届くといったところで、切り裂きホッパーが此方に気付いた。

でも、もう遅いよ!

右手を振り下ろす。

スパッと切り裂けた。


『経験値を161得ました』


うーん、簡単すぎる。

レベルが上がって強くなったから?

けど、ゼロには今の僕でも歯がたたないだろう。

何も世界最強までいかなくてもいい気がする。

もう力ばかりを求めなくてもいい気がする。

いいよね?

昔の僕。

何が原因でそう思ってたのか分からないけど……

まず、自分自身のことも思い出さないといけないしね。


「おい、ネムア!

お前純獣人だったのか!?」


ん?

メイルが何か焦っている?

それと純獣人って何?


「なに?

純獣人って?」


「おまっ………いや、そうか。

記憶喪失なんだっけ。

自分がどういう存在かも分かんねぇのか………」


メイルが、驚愕!って顔をした後頭を抱えている。


「ネムアさん。

純獣人って言うのは、魔物の力を持った獣人の事を言うんですよ」


魔物の力を持った獣人?

僕が首を傾げていると、クラウドが説明をしだした。


「諸説あるんですが、獣人の元は魔物っていう説があるんです。

まぁ、獣人の方にそんな事を言うと凄く怒られるんですけど………

昔は魔物の力を持った獣人の方しか居なかったみたいなんです。

それが普人族と交配して、魔物の力が薄まったみたいで、現在の獣人って呼ばれる人たちは、動物の耳と尾を持つ少し身体能力の高い人なんです。

で、極稀に隔世遺伝なのか魔物の力を持って生まれる獣人の人が居て、その人達のことを純獣人って呼ぶようになってます」


へぇー。

純獣人と獣人と区別があるんだ。

でも、僕ただ切り裂いただけなのに魔物の力があるって思われたのはなんでだろう?


「純獣人の方達は大元となった魔物に変化することが出来るんです。

だからネムアさんが腕を変化させたことで純獣人だって分かったんです」


あれ?

ゼロは獣人の説明の時腕を変化させたりして攻撃するって言ってたような?

もしかして、随分昔のことだったのかな?


「じゃー、あまり変化させない方がいい?」


「まぁ、変化しない方が変な揉め事には巻き込まれなくていいな」


「ネムアさんはなんの魔物か分からないんでしょうか?」


「え、細かく魔物の種類があるの?」


「はい、過去から現在まで居る魔物、全て可能性はあるみたいですよ?

まぁ、親から引き継ぎなので急に変な魔物が元になることはないらしいですけど……」


「そうなんだ」


「あ、それでも隔世遺伝で違うのが出たりすることもあるみたいですけどね。

大元になってる魔物によって、強さや使えるスキルが違うらしいですよ?

でも人の身で魔物のスキルを使うと、反動が凄いって言ってました。

魔物に変化してから使えばどうってことないって言ってましたけど………」


「魔物にも変化出来るんだ……」


「最初の方は本能に引きづられるって言ってました」


「クラウドやけに純獣人に詳しいな?」


「僕の幼馴染が純獣人で、他の人に隠れて獣化と人化の練習をしてたんです」


メイルとクラウドが話をしている。

僕は魔物だから本能に引きづられはしない。

今のままだ。

でもこれで、僕が魔物に戻った姿を急に誰かに見られても、純獣人だって言えばバレないってことだよね?

良いことを聞いたなぁ。

でも言ったら悪いけど、魔物との違いってなんだろうね?

純獣人が魔物になったのか、魔物が獣人化したのか分からないよね?


「ねぇ、純獣人と魔物の違いって何?」


「おいおい、お前がそれを言うなよ。

純獣人に言ったら殺されるからな?」


「純獣人の方が知性があるとか、野蛮じゃないとか、色々言われてますけど、1番の違いは人間の姿で居ることですね」


ん?


「魔物が人間になったら?」


メイルとクラウドがお互いに目を合わせて、


「魔物が人になったって聞いたことないよな?」


「そうですね」


まさか、今まで人化した魔物が居ることバレてないの!?

力の強い魔物しか人化出来ないし、そうしようって考えがあるって事はそれなりに思考出来てるし、人化までして人と関わろうとするから人を害する気もないってことなのかな?

だからバレなかった?

って事は獣人は本当に元が魔物なのかもしれない?

人化した魔物が人の住む場所に居着いて、人と子孫を残しちゃったのかな。

で、魔物の力を受け継いだのが純獣人って呼ばれるようになって、そのまま血が薄まって獣の要素が残っちゃったのが獣人ってこと?


「で、話がそれてしまったんですけど、ネムアさんはどんな魔物何でしょう?

今なら周りに人も居なさそうですし、少し獣化してみませんか?」


クラウドがワクワクしたような顔で言う。


「そんなに見てみたいの?」


「そうですね。

何か急に変化することがあって、本能に引きづられると大変だと思いますし………

僕この子達と居るようになって、魔物に興味が湧くようになったんですよね。

もし、僕の親友を見つけたら、今度は色んな魔物を見る旅に出ようと思うくらいには………」


うーん、じゃ、戻ってみようか?

今なら心の準備が出来てそうだから、パニックにはならないだろうし。

魔物の姿を見せて置くのも良いかもしれない?

獣人化を解く。

視線はそのままに四つ足になり、体から毛が生える。

感覚が鋭敏化し、色んな音や匂いがする。

どうだろう?

驚いたかな?

メイルとクラウドを見てみる。

メイルは目と口をあんぐりと開け、固まっている。

クラウドは目はまん丸になっているものの、直ぐに元に戻り


「ネムアさん、本能に引っ張られたりしてますか?」


首を横に振る。

あんまり驚かないんだ?

クラウドからしたら随分大きいと思うんだけど………


「あの、触ってみてもいいですか?」


頷く。

クラウドは僕の左肩辺りの毛を撫でた。


「凄い!

サラサラでフワフワですね。

真っ白かと思ったんですけど、透明の毛なんですね!

ほんのり冷たい」


クラウドは撫でながら少しずつ僕に近づいてくる。

そしてそのまま、抱きついてきた。

僕が大きいから腕は周っていない。

首元にくっついているだけ。

でも、なんだか凄く嬉しい。

尻尾が自然に揺れた。




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