124話目
僕たちは依頼が終わった事と、他の魔物を買い取って欲しいことをギルドに伝えた。
そして依頼達成と魔物の買取で銀貨3枚と銅貨60枚を貰った。
猿と豹が同じで、合わせて銀貨3枚になった。
猿のほうが弱かったのに何故豹と同じなのか不思議だった。
さて、このお金で入れ物買えるかな?
ギルドをでて、お店を探す。
ギルドから門の間は食べ物のお店が多い。
ギルドからでて左は住宅街って言ってたっけ?
右の方が冒険者としての物を色々扱ってる店が多いんだっけ?
右の方に歩いていく。
剣とか盾とかの絵が書いてある看板の店が多い。
その次は葉っぱの絵。
後は店の外からでも、商品が見えるように並べている店もある。
いろんな物が売ってあるなぁ。
これなんかどうだろう?
僕は大きな布を広げて見てみる。
これに包めば、運べないかな?
「いらっしゃい。
そのマントは暑さ軽減の効果がついてるよ。
お兄さんにぴったりだと思うね」
店主らしき人が声をかけてきた。
僕にぴったりなの?
「こんにちは。
これ、結構荷物運べますか?」
店主は笑顔のまま固まった。
「聞き間違いですかね。
それはマントなんですが、荷物を運べるかって聞かれた気がするんですけど?」
「いえ、そう言いました」
「冷やかしなら帰ってくれますかね?」
店主は僕から布を取り、店の敷地から追い出した。
うーん、ダメだったみたい。
僕はいろんな店に入って入れ物を探したけれど、怒られたり、追い出されたりした。
何がダメなんだろうね?
最後の店の人は少し優しくて、追い出されたけどカバンを売ってる場所を教えてくれた。
両手で持つところがあって、硬いものでできてたから盛り上げて入れれば良いかなって思ったんだけどな。
スープ鍋だからそういうものでは無いって、追い出されちゃったんだよね。
まぁ、両手が塞がっちゃうからどうしてもではなかったけど。
……ここがカバンを売ってる場所か。
今の手持ちだけで買えるかな?
お店の中に入る。
『うっ、私無理かも…』
レイが鼻の上にシワを作りつつ言う。
「大丈夫?
何かあった?」
『ここ、匂いがきつすぎる!
気持ち悪くなってきたわ………』
レイが伏せてしまった。
僕は慌てて店のドアを開ける。
「レイ、外で待ってて。
外ならマシだと思うから」
レイはヨロヨロ外に出ていった。
「もう、話しかけても良いかね?」
僕がドアを閉めて振り向いたとき、そう声が聞こえた。
辺りを見回してみると、カウンターの向こうで椅子に座っている人を見つけた。
髪は白色で顔も手もしわしわ。
大分歳を取っているようだ。
「ここは犬系の獣魔には辛かろう。
お主も獣人のようじゃが、平気そうじゃの?」
「僕は少しの間なら大丈夫そうです。
カバンが欲しいのですが……」
「ほう。
どれくらいの大きさが良いかね?」
「僕は冒険者なので、狩った獲物を入れていきたいんです」
「ふむ。
冒険者なら、あまり大きい物だと邪魔になるのう。
この辺の空間拡張がついているものが良いかもしれんが、いくら位が予算なのかね?」
「持ってるのは銀貨3枚と銅貨60枚です」
「うーむ。
それではちと足らんなぁ。
そうじゃ、それならジェフロワを狩って持ってきてくれんか。
そうすれば簡単な空間拡張を持った鞄が出来るぞ」
「ジェフロワ?」
「うむ。
ここら辺に居る長い尾を2本持つ、袋のある猿じゃ。
ジェフロワの袋に空間拡張の能力があってな。
それを使って鞄を作れば、簡単なものじゃが空間拡張付きの鞄が作れるのじゃ」
長い尾が2本の袋のある猿?
うーん……
あ、さっきギルドで売った猿がそんな見た目だった気がする。
置いておけば良かったかな。
まぁ、まだ明るいから今から狩りに行けばなんとかなるかな?
「ジェフロワって言う猿を狩ってくれば鞄を作ってもらえるんですか?」
「うむ。
ジェフロワを持ってきてくれれば、鞄の値段は銀貨3枚で良いぞぃ」
「分かりました。
これから行ってきます」
「おぉー、そうじゃ。
お主冒険者と言っておったが、まだまだひよっこじゃろ?
ポトナフィーラに来たのかね?」
「はいそうですが、よく分かりますね」
「フォッフォッ。
長年見ておれば、分かるようになってくる。
それでじゃな、ポトナフィーラに行くための船の予約が今日昼から始まるぞぃ。
取っておかねば人気じゃからな。
すぐに1杯になっていけなくなってしまうぞぃ」
船の予約があるの!?
それは取っておかないと
「教えてくれてありがとうございます。
全然知りませんでした。
失礼します!」
僕は慌てて店を出る。
レイは店の外で潰れている。
「レイ大丈夫?
ちょっと急いで行かなきゃいけないとこがあるんだけど……」
『うぅ~。
なんとか………』
レイはフラフラ起き上がり、僕についてきた。
僕はレイの様子を伺いながら、少し早足で歩いた。
僕は昨日ギンさんに聞いた、ポトナフィーラに行くための船の場所に行った。
まだ予約は始まってないみたいだけど、人が並んでいる。
どれくらいの人が行けるのか分からないけれど、予約が始まってないのにこんなに並んでいるのを見ていると、教えてくれなければ絶対行けなくなっていた。
少し並んでいると、予約の受付が始まった。
少しずつ列が動く。
並んでいる間にレイの体調も戻ったみたい。
「なんで、俺がこんなのに並ばないといけないんだよ!」
後ろの方で大きな声が聞こえた。
「ですが、予約には身分証明が必要で……」
「そんなのお前が俺のカード持っていけばいいだろ!」
「本人でないといけない決まりでして……」
「俺は勇者だぞ!
そんな些細なことどうにかしろ!」
何やら揉めているみたいだ。
僕の順番が来た。
「身分が証明出来るようなものはお持ちですか?」
僕はギルドカードを受付の人に渡す。
「…ネムアさんですね。
今なら2日前、1日前、当日、次の日と何処でも空いてます」
当日は混みそうだよね?
1日前の方が良いかな?
ゆっくりする方が良いから、2日前でもいっか。
「2日前でお願いします」
「2日前ですね。
………それでは此方が船に乗るためのチケットです。
出発予定より早めの搭乗をお願いします」
僕は紙を受け取り、列から離れる。
騒いでいる人が視界に入った。
紫色の髪のまだまだ若そうな男の子。
その横に騎士?のような人が男の子を必死に宥めている。
その間もどんどん人は並び予約を取っていく。
ここまで来てるなら並んでしまえばいいのに……
そんなことを思いながら、僕は門の方に歩いて行った。
早く、ジェフロワを狩ってお爺さんにカバンを作ってもらわないと!