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人生...いや、狼生は楽じゃないね!  作者: ゴンピ~
第4章:それぞれの道
123/131

123話目



あの後、もう1羽鳥を……ホンワケインコだっけ?を狩って荷物がいっぱいになったので、レイを呼んだ。

レイもホンワケインコを2羽狩っていた。

依頼までは後1羽なんだけど、もう狼の姿だと持てないので、獣人の姿になり僕がレイの分も持つことにした。

此処からはレイと一緒に鳥を探し、後1羽狩ったら取り敢えず都市に帰ることにする。


『どう?

近くにいそう?』


「うーん………

鳥の気配で近そうなのは………

あっちかな?」


林の奥に入っていく。

前は奥に入っていくとアルマジロみたいなのが出てきたけれど、今回は近くにいなさそう。

目の前の枝に手をかける。

体を屈めて下をくぐる。

獣人の姿だと背があるから、目の前に枝があ!?

急いで左に転がる。

少し右腕に掠った。


『えっ!?

なに!?』


レイが慌てて辺りを見回している。

僕はさっき居た木の辺りを見てみる。

触った木の枝が茶色から黒に変色していき、木の幹の辺りも黒に変わった部分がある。


「シャーッ!!」


四つ足で爪を幹に食い込ませ、張り付いているようだ。

僕が攻撃を躱したから、怒っている。

木の枝だと思っていたのは細長い尻尾だったみたい。

体にぐっと力を入れ、僕に飛びかかってきた。


『させない!

アイスニードル!』


レイが敵の横から氷の針を飛ばす。

敵は空中で身をひねり、尾で近くの木を掴み逃れた。


「グルルルッ」


敵は攻撃してきたレイを睨み、


「ガァァッ!」


吠えると同時に敵の体から黒い霧が出た。

すぐに僕達を黒い霧が覆い隠す。

これは、敵が見えない!

何処!?


「ギャンッ!」


レイの方だ!


「ごめん!

ちょっと寒いかもだけど、吹雪!」


辺りが黒だったのが白に染まる。

レイの背中が少し赤い。

その奥に黒い獣が地面に立っている。


「レイ、大丈夫!?」


『えぇ、ちょっと背中に乗られただけだから大丈夫』


うーん、これは狼の姿に戻ったほうがいいのかな?

でもMPが減ってスキルが使えなくなっちゃうし……

今どれくらいなんだろう。

カードをみる余裕もないし……


「ガァァッ!」


黒い獣がまた黒い霧を出した。

何度やっても吹雪で霧散させる!

僕達にまで広がる前に、霧を散らした。

けど、さっきの黒い獣が見当たらない。

逃げた?


『っう!?』


レイが急に倒れた。


「どうしたの!?」


『か、体……が…し…び……れ』


レイをよく見てみると、体がピクピクと痙攣している。

さっきの攻撃に麻痺が付与されてたってこと!?

どうしよう。

すぐには回復できない。

敵も何処に行ったのか分からっ!?


慌てて体をひねるけれど、レイの様子を見るためしゃがんで居たから上手く躱せなかった。

ぐぅっ!

右側の背中を爪で引っ掻かれた。

すぐにナイフで反撃に出たけど、敵は跳んで逃げた。

幸い、傷はそこまで深くない。

敵は追撃をするでもなく、ただ此方を伺っている。

………

?なんで襲ってこないんだろう?

レイは痺れて動けない。

僕も浅いけど傷を負ってる。

けど、此方の様子を見てるだけで、何もしてこない。

何か、待ってる?

……もしかして、僕への攻撃も麻痺が付与されてたのかな。

それで、痺れるまで待ってるとか?

でも僕は麻痺耐性を持ってるから、痺れなかった?

痺れた振りをして誘ってみようか?


「ううっ……」


僕は持っていた物を落とし、膝をついた。

チラッと見てみても、敵はまだ動かない。

手も地面について、そのままうつ伏せに倒れてみる。

見えないので、気配で敵の動きを探ってみる。

少しの間、警戒していたのか動かなかったけど、ジリジリ近づいてきている。

まだ遠い。

土を踏みしめる音が微かにする。

もう少し……もう少し………

獣の息遣いがすぐそこに聞こえる。

………ここ!

僕はばっと右腕を振るう。


「ギャーッ!?」


敵の胸元あたりを大きく切り裂けた。

僕は飛び起き、距離を詰めるために踏み込む。

その勢いのまま今度は左腕を振るう。

敵の首元から血が噴き出した。


「グゥッ……グル……」


敵はヨロヨロと後退をし、倒れた。


『経験値を452得ました。』

『ネムアのレベルが1上がりました。』

『吹雪Lv2になりました。』


よし、なんとか倒せたみたいだ。

僕は自分の両手を見る。

人の手の形に毛がびっしり生え、指の先には鋭利な爪が付いている。

人と狼を足したみたいな感じ。

ゼロが腕だけ変化させれば、攻撃手段になるって言ってたのを実戦で使ってみた。

人の手ほど器用には動かせないけど、狼の時よりは動かせるし、物も握る事が出来る。

…そうだ、レイは大丈夫かな?

レイの方に近づいて様子を見てみる。


「レイ、大丈夫?」


『だ、大丈……ぶ……

大分……ましに……なって…きた…から……』


レイの痺れが取れるのを待つついでに、僕は今まで狩った獲物の解体をすることにした。

鳥は丸々いるらしいから、頭を落として血を抜くだけ。

後は猿?とさっき狩った獲物……猫?いや豹?に似た獣。

でも、この2匹も何処をどう解体したらいいのか分からない。

血抜きだけにしておこうか。

うーん、することがなくなっちゃった。

そうだ!

使ってないスキルを見ておかないと!

まずは氷装かな。

今の狼の腕に氷装を使ってみる。

爪を氷が覆い、より鋭利に大きくなった。

後は、ギンさんにもらったナイフも試してみようかな。

ちょっと今は爪が大きくて持てないから、地面に置いたままだけど出来るかな?

氷が刃を覆う。

ナイフが短剣みたいになった。

おぉ、持ってなくても出来るんだ。

後は昔から持ってたスキルだね。

どんな感じかな?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


レイの痺れが取れたみたい。

僕もスキルの効果を把握できた。

攻撃スキルではないけれど、大事そうなのは鑑定っていうスキル。

物や生物、スキルとかも説明してくれる。

レベルも高いから昔の僕もよく使ってたんだと思う。

それと、1つ気になるのは知性Lv_っていうスキル。

何か封って書いてあるけれど、なんだろうと思って、鑑定をかけてみた。

すると、


『知性Lv_(封):特異的な知識を持つものに与えられる。

が、現在はその知識が無いため封じられている』


記憶がなくなってるから、封じられたってことなのかな?

前の僕はどんな特異的な知識を持っていたんだろうね?


『ごめんなさい。

私役に立たなかったわ』


レイが尾をダラリと垂らし、俯きがちに言う。


「大丈夫だよ。

これからレイに役に立ってもらうから。

僕荷物持ってるから、後1羽狩るのをレイに任せたいんだ」


レイは耳をピンとさせ


『分かったわ!

任せて!』


僕は気配を探ってみる。

一番近いのは左斜め後ろかな。

僕たちは気配を殺して、獲物に近づいていく。

………いた!

緑色の鳥!

鑑定をかけてみよう。


。。。。。。。。。。。。。。。

[]

種族:ホンワケインコ

Lv5/30 状態:健康

HP202 MP25

力15

防御6

魔力87

俊敏103

ランクD−


[通常スキル]

つつくLv2 声真似Lv7

フェザーアローLv2


。。。。。。。。。。。。。。。


特殊スキルも称号も無かった。


『ホンワケインコ:体色が緑色の鳥。

攻撃性は低いが、人間の声を真似、森や林に誘い込む。

他の魔物に倒してもらい、死体を漁る』


こんな感じなんだ。

僕が鑑定の結果をみていると、レイがアイスニードルを放った。

隠れていたからホンワケインコは気づかず、頭を撃たれて落ちてきた。


『経験値を150得ました』


あ、倒せたみたい。


「よし、これで依頼は終わり!

まだ明るいけど一旦都市に帰ろっか。

荷物いっぱいだし、入れ物が欲しいんだよね」


『これで終わりなのね。

依頼って簡単なのね』


僕たちは荷物を抱え、都市に帰った。

また門番の人に嫌な顔をされてしまった。

けど、次はちゃんと入れ物にいれるから大丈夫!

まずはこの荷物をギルドで売らないと…

僕たちは都市の人たちにチラチラ見られながら、ギルドに向かった。




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