122話目
食事が終わって凄く満たされた気持ちになった。
こんなにも美味しいものがあったとは……
後、ご飯て熱いものが多いんだね。
食べるもの食べるもの熱くて、何度も口の中を火傷してしまった。
レイにも大きな焼いた肉をくれて、レイも満足気だ。
「……ふぅ、食った食った。
そう言えばお前、名前聞いてなかった気がするが、名前はわかるのか?
俺は前に言ったがギンで、こっちは俺のキャシーだ。」
ギンさんが食器を片付けている女の人を指して言う。
ご飯をくれた人はキャシーさん。
で、この男の人はギンさんであってたみたい。
「僕はネムアです。
前の名前は分からないけど、そう名付けて貰いました。
で、この狼はレイって言います」
「ほぅ?
あれか、記憶がなくなった後に知り合ったっていう奴につけてもらったのか?」
「そうです。
その後にここでポトナフィーラがあるって教えてもらって、途中まで連れてきてもらったんです」
ギンさんは椅子の背もたれにもたれ掛かり、
「ま、本登録は出来たんだから、これからは依頼受けて金を貯めるんだな。
まずは宿に泊まれるようにならなきゃな。
で、その後武器なり防具なりを買うんだ。
お金は全部使い果たすんじゃねぇぞ?
ちゃんと何かあった時のために貯めておくんだ。
後、回復薬も何種類か買っておいたほうがいい。
まずは普通の回復薬だろ?
その次に…………」
ギンさんは細かくこれからどうやっていけばいいのかを教えてくれた。
僕は覚えておこうと話を集中して聞いていた。
「これは高額になるから優先度は低いが、拡張付きのカバンは持っておいたほうが便利だ。
これにも色々と種類があってだな………」
うぅーん?
宿、武器、防具、回復薬、状態回復薬、バフ薬、デバフ薬…鞄……
「ここは港町だからな、草原や林にも勿論魔物は居るが、海にも魔物は居る。
まぁまずは草原の魔物か………
最初に狩ったホーンラビットだろ?
あいつらは…………」
……魔物……
「そう言えば、お前は自分を思い出すために旅をするんだろ?
他の街には迷宮とか言う物もあってだな……」
………迷宮?…………
頭がグルグルしてきた……
「あんた、一気に話しすぎだよ!
そんなにいっぺんに覚えられないから!」
キャシーさんが帰ってきて、ギンさんの頭をはたいた。
「イテッ……
何も叩かなくても良いじゃねぇかよ」
「これくらい叩いたってそんなに痛くないだろ。
もう遅いんだから、疲れもあるだろうし寝させてやりな」
「おぅ、そうだな。
すまねぇな、ネムア。
どうも話し始めると止まらなくてよ。
疲れただろ。
キャシーが寝る所の準備をしてくれたから、そこで休んでくれ」
「…あ、ありがとうございます」
僕はフラフラしながらキャシーさんに案内された。
「ちょっと狭いけど、すまないね」
「いえ、ありがたいです」
案内されたところは、ベットが1つと椅子と机が1つづつ置いてある部屋だった。
レイは眠たいらしく、ベットと壁の間に行くと丸まって寝始めた。
僕も寝てしまいたいところだけど、最後に1つだけしておかないといけないことがある。
ここに来た目的の1つ、ステータスを見ること。
これでスキルが使えるはず………
カードを取り出し、ステータスを出現させる。
。。。。。。。。。。。。。。。
ネムア
種族 : ブリザードウルフ
Lv4/135 状態 : 獣人化
HP 441(883) MP 103(207)
力 179(358)
防御 96(192)
魔力 104(209)
俊敏 211(422)
ランクB+
[通常スキル]
噛みつくLv5 引っ掻くLv4
食い千切るLv2 暗闇Lv2
重圧Lv4 気配察知Lv5
気配消去Lv3 穴掘りLv3
なぎ払いLv1 カマイタチLv5
追い風Lv1 吹雪Lv1
氷槍Lv1 氷装Lv1
[特殊スキル]
知性Lv_(封) 鑑定Lv8
飢餓耐性Lv1 麻痺耐性Lv2
斬撃耐性Lv2 刺突耐性Lv1
打撃耐性Lv1 寒さ耐性Lv1
ウィンダー言語Lv3 回避Lv5
疾駆Lv2 九死に一生Lv_
[称号]
救助者Lv1 下剋上
。。。。。。。。。。。。。。。
これが、僕のステータス……
スキルがいっぱいだ。
これで僕もちゃんと戦うことが出来る。
明日、色々と試してみよう。
そしていつか、今日の固い敵を倒せたらいいな。
僕はベットに横になって目を瞑る。
ひとまず、体を休めないとね。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
朝になった。
レイはまだ寝てる。
「レイ起きて、朝だよ」
レイは目をパチパチさせて、伸びをしている。
『……おはよう。
早起きなのね』
「ちょっとスキルが分かって試してみたくて……
早く起きちゃった」
『あ、そうだったわね。
スキル名が分かったのね。
どう?
使えそう?』
「どうだろう。
今のところ、何も変化はないんだよね。
だから確かめてみようと思って」
レイが頷き、僕達は部屋を出る。
昨日ご飯を食べたところに行くと、ギンさんが座って何かを飲んでいた。
「おぅ、早いな。
これから依頼でも取りに行くのか?」
あ、そうかお金稼がないと何も出来ないんだった。
スキルのことで頭いっぱいだったや……
「…そ、そうですね。
依頼取ってこようと思います」
ギンさんは少し呆れたように
「まぁ、いい。
気をつけて行ってこいよ」
僕とレイはギルドに歩いていった。
中に入ってどんな依頼があるのか見てみる。
僕はFランクだから、1つ上のEランクまで受けれるんだっけ?
うーん………
あ、昨日狩ったホンワケインコだっけ?の討伐依頼がある。
ランクもEだし、これにしようかな。
ふむふむ、全部で5羽狩ってくればいいのか。
紙を取って受付に持っていく。
「おはようございます。
依頼を受けられるのですね。
ホンワケインコ5羽の討伐依頼で、お間違い無いですか?」
「はい」
「……はい。
受け付けました。
気をつけてくださいね」
僕達は都市の外に出る。
昨日は林に居たよね。
林で探してみようか。
『これから何をするの?』
「まずは、林で鳥を5羽狩ろうかなって思う。
お金がいるからね。
大変だよね」
『ふーん。
どんな鳥?』
「えっとね、昨日僕が狩った緑色の鳥覚えてる?
あれだよ」
『緑色の鳥……
うーん、なんとなくしか覚えてないわ
今日もバラバラで探すの?』
「そうだね。
強くなかったし、簡単に狩れるから別々で狩りをしようか。
僕はスキルも試しつつ、狩りをしてみるよ。
何かあったら呼んで」
『分かったわ』
僕は狼の姿に戻り、林の中に入る。
どうだろう、居るかな?
チラチラと小さな気配は幾つかある。
うーん、1番近いのは……こっちかな?
僕は気配を殺しながら、感じ取れた気配に近付いていく。
………ここら辺だよね。
何から試してみようかな?
ブリザードウルフになって得たであろうスキルから使ってみようか?
まだ獲物の姿が見えないから、気配のある方に……
吹雪!!
僕の目の見える範囲で、白い雪と強い風が吹き荒れた。
『経験値を153得ました。』
『ネムアのレベルが1上がりました。』
あ、何か緑色の物が木に叩き付けられ、落ちてきた。
歩いて近づいてみると、昨日のインコが倒れている。
触ってみると体が冷たく固まっている。
なるほど、吹雪は強い風で何かに叩きつけたり、寒さで凍らせたり、凍らなくても体の動きを鈍くできそうだね。
獲物もインコだったし、良かった。
次、行ってみよう。
「キキャー!!」
次に近い気配に向けて移動すると、木にぶら下がっている……猿?に威嚇された。
体は茶色で、長い尻尾を2本持っている。
っ!
何か丸いものを投げつけられた。
慌てて、横に飛んで躱す。
ドスッと音を立てて落ちたのは、人間の頭ほどの木の実?
「キギー!」
猿はお腹の辺りを触ったと思うと、今度は小さい物を纏めて投げてきた。
これは全部は躱せない。
さっきの吹雪で押し返す!!
「キィー!?」
猿は飛ばされないように、尻尾も手も足も使って木にしがみついた。
今のうちに今度は氷槍!
僕の頭上でパキパキと音を立てながら、氷の槍が出来上がった。
いけ!
木にしがみついたままの猿にめがけて、槍を飛ばす。
頭に突き刺さり、貫通。
力が抜けた体は、何度か木に当たりながら落ちてきた。
『経験値を201得ました。』
おぉー、氷槍は結構威力があるんだね。
けど、猿だから依頼のとは違うなー
でも持って帰れば買取はしてくれるかな?
猿を背中に乗せ、鳥は口で咥える。
うーん、先に何か入れ物が欲しいなぁ。
ギンさんが言ってた空間拡張の鞄だっけ?
それがあればいっぱい運べるのに……
動きにくくなるから、出来るだけ早く手に入れたいなぁ。