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人生...いや、狼生は楽じゃないね!  作者: ゴンピ~
第4章:それぞれの道
121/131

121話目



日が落ちかけてきた。

もうそろそろ待ち合わせ場所に行かないと!

新たに狩ったウサギ4羽を何とか咥えつつ、鳥を吊るした所に行く。

気にしてたけど、何も寄ってこなかった。

近くには肉食の生き物は居なかったのかも。

あ……これどうやって持っていこう。

ウサギもギリギリなのに鳥3羽とウサギの毛皮は咥えられない。

そういえば、今咥えているウサギは捌いてない。

レイが狩ってくるであろうウサギも……

これから捌くとなると真っ暗になってしまう。

もう少し早くにすれば良かった。

このままでも大丈夫かな?

駄目だったら僕達のご飯にしてしまおう。

お腹空いてきたしね。

ウサギを置いて鳥を取ろうとする。

が、固く固定しすぎたのか取れない。

んー、また獣人にならないとなのか……

あんまり頻繁に変化すると精神力が無くなって、いざという時変化出来なくなるってゼロが言ってたんだよね。

都市に戻る時は、獣人でないといけないから……

レイにここに来てもらおう。

僕は大きく息を吸い


「ウオオオォォォォン!!」


声が聴こえないほど遠くは無いはずだから、これで来てくれるかな。

その間に獣人になって、鳥を下ろしておこう。

獣人の姿になり、ナイフを使ってツタを切る。

レイが来る前にウサギの血抜きをしようか?

でも、来るまでに抜けきらないよね。

やっぱりこのままで良いかな。

ウサギと鳥を抱える。

人の腕だと沢山の物を持てるね。

辺りを見ていると、レイが駆けてきているのがぼんやり見える。

狼の時より遠くの物がよく見えるんだね。

暗くなると見えにくいけど…


『どうしたの?

何かあった?』


「いや、持っていくものがいっぱいで、咥えていけなかったからさ。

獣人になろうと思ったんだけど、この姿だとレイの所に行くのに時間がかかっちゃうし、その後門まで行くのも余計に時間がかかるでしょ?

だから、レイに来てもらおうと思って……

最初から待ち合わせをここにしておけばよかったね。」


『そういうことなのね。

私もウサギ3羽で限界だったから、少し早いめに待ち合わせの場所にいたのよね』


レイの足元にウサギが3羽落ちている。

これでウサギと鳥を合わせて11羽。

なんとかなるかな?


「じゃ、とりあえず帰ろっか。

暗くなると僕見えなくなっちゃうし」


レイの狩ってきたウサギも抱えあげる。

これだけ近いと、流石に獣と血の臭いがする。


門に着いた。

門の人にカードを見せて入るんだったっけ?


「次の人ー

……うわ、そのまま持ってくるなよ。

何かに入れとけよな……」


荷物を置いてカードを渡す。

凄く嫌そうな顔をして受け取り、確認をしているようだ。


「……ほらよ。

通っていいぞ。」


カードを受け取って、荷物を持つ。

確かに、何か入れる物があった方が良いかもしれない。

ギルドまで歩いていき、カウンターの人に話しかける。


「あの、すみません。

買取をお願いしたいんですけど……」


「はい、買取ですね。

今持ってるのが全てですか?」


ギルドに初めて来た時に話しかけた人とは、違うみたい。


「そうです」


「分かりました。

解体されているのが1つとホーンラビット7羽。

ホンワケインコが3羽ですね。

そのままですので、解体の手数料を引いた値段になりますが、よろしいですか?」


解体の手数料とかあるんだ。

仕方ないので頷いておく。


「では、銀貨1枚と銅貨4枚になります。

確認してください。」


銀色の丸が1枚と銅色の丸が4枚渡される。

これがお金……

あ、銀貨1枚で本登録出来るんだっけ?


「あの、これで本登録ってできますか?」


カードと銀色の丸…銀貨を渡して聞いてみる。


「はい、大丈夫ですよ。

それでは此方のカードに血を1滴垂らして下さい」


灰色のカードと針を渡してくる。

針で指を差し、カードに血を落とす。

一瞬カードが光った。


「はい、それで貴方のステータスが見れるようになったと思います。

細かなスキルや数値は自分自身にしか見えませんので、安心してください」


これで、スキルが使えるようになる!


「ランクはFですので、1つ上のEランクまで受けられますが、あまり失敗されますと受けることが出来なくなったり、ランクが下げられたりしますので注意してください。

他に何かありますか?」


「いえ、今のところは大丈夫です」


銅貨ポケットに入れ、カウンターから離れる。

早く何処か落ち着くところでカードを見てみたい。


「おい。

犬っころ」


肩をポンポンと叩かれた。

振り向いてみると、男の人が立っていた。

えっと……?


「お前、本登録出来たんだな。

だが、宿とかとってあるのか?」


宿?

首を傾げていると


「はぁー、お前そんな事も分かんねぇのかよ。

今日これから何処で寝るつもりなんだよ」


「……その辺?」


「お前なぁ、ちゃんと寝ねぇと疲れも取れねぇんだぞ!?

今いくら持ってる」


「銅貨4枚」


男の人は頭を抱え、天を仰いだ。

どうしたんだろう?


「さっき帰ってきたとこだろ!?

晩飯も食わねぇといけねぇ、宿も取らねぇといけねぇ、なのに銅貨4枚!?」


男の人は頭を戻し、グワッと此方に近づいてそう言った。

そんな事言われても、晩御飯はまた外で狩ってきてもいいし、寝る所もそこら辺で穴を掘っちゃいけないのかな?


「関わっちまったもんは仕方ねぇ。

ついて来い」


男の人は少し落ち着くと、そう言って歩き出した。

でも、知らない人に付いていくのはダメだよね?

レイにこれからどうしようか、と相談しようとした時


「お前、何度言ったら分かるんだよ!

ついて来いと言ったら、すぐ来い!!」


男の人が怒りながら腕を掴んで引っ張っていく。

今回はレイが静かだけど、どうしたんだろう?


「レイ静かだけど、どうしたの?」


『?

貴方がいい人だって言ってたから、様子見しておこうかと思って……』


いい人?

会ったことあったっけ?


『草原で色々教えて貰ったんでしょ?

だけど、この状況だとダメだったかしら?

威嚇しておく?』


「威嚇はしなくても大丈夫だよ」


レイにそのままでいてもらうよう言ってから考える。

草原で教えて貰った人は、ギンって言う人だったよね。

ガタイの良い、怖そうな見た目の人。

今回の人もガタイが良い。

顔は今は見えないや。

後何か特徴あったっけ。

そういえば、ギンさんは頭に毛がなかった。

この人も毛がない。

じゃぁ、この人はギンさんってこと?

匂いが分からないから、判別が難しい。


「おう、ついたぞ。

…今帰った。

ちょっと連れがいるんだが……」


考えていると、目的の場所に着いたみたいだ。

扉を開け、誰かと話をしている。


「ほら、さっさと入れ。

その犬も入っていいから」


男の人に急かされ中に入る。


『凄くいい匂いがするわ!』


レイが尻尾をブンブン振って興奮している。

僕にもいい匂いを感じ取れる。

凄く美味しそうな匂い。

匂いでお腹が空いてきた。


「あんた、また人を連れてきたのかい?

急に連れてくるのは辞めてと言ってるだろう?

……さぁさぁ、とりあえず座っておくれ」


髪を1つに編み編みにくくった女の人が、大きな鍋を混ぜている。


「仕方ねぇじゃねぇか。

こいつ、何も分からねぇし、飯も宿もねぇんだぞ」


「はいはい、あんたはいっつもそうなんだから。

とりあえずこれでも食べてな」



大きな器にゴロゴロと肉や野菜が入ったスープが盛られている。


「おう、早く座れ。

折角の飯が冷めちまう」


そう言われたので、1番近くの席に座る。

男の人が、スプーンで肉を掬って食べ始めた。

同じ様に、スプーンで掬って口に入れる。


「熱っ!」


舌がヒリヒリする。


「出来立てだからな、気をつけて食べろよ」


男は少し呆れたように言う。

そういうのは早く言ってほしかった………




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