12話目
目が覚めた。
丸まっていた体を伸ばしていく。
うーん、よく寝た!
疲れがとれた気がする。
土の上で寝ていても体が痛くならないのはいいな。
友達とキャンプに行ったときなんか
身体中痛くて大変だった。
まぁ、それはそれで楽しかったけれど...
さて、お腹が空いているので
取り合えずは、昨日食べれそうと思い
持ってきてあるものを食べるとするか。
リンゴくらいのサイズで丸く
黄色やオレンジ色をしている。
鑑定ではリモネという果物らしい。
どことなくみかんに似ているし
甘くて美味しいらしいので数個持ってきてある。
まずひとつ目にかぶりつく。
...甘い。
だが、甘過ぎるというわけでもない。
密リンゴのような甘味に少し酸味があって
後味はスッキリとしている。
見た目はみかんに似ていたがこれは密リンゴだなぁ
味に満足しながら1つ目を食べ終わりもう1つ食べる。
...すっぱ!?
え?なにこれ同じ物だよね。
何でこんなに味が違うの!?
これは舌を刺すような酸っぱさがある。
スッキリとはするが酸っぱすぎる!
レモンにかぶりつくのよりも酸っぱい。
友達とふざけあってクエン酸を大量に口の中に放り込んだ時のような刺激がある。
...眠気覚ましとかにはうってつけだろう。
舌がピリピリと麻痺してしまった...
『麻痺耐性Lv1を得ました』
あっ、なんか得た。
というか、それほど酷いものだったのね...
何で同じ物なのにこんなに違うんだ?
何が違うのだろう?
.........
...色か?
最初食べたのはオレンジ色をしていた。
今食べたのは黄色だ。
熟れたか熟れてないかとか
そういう違いだろうか?
これだけ味に違いがあるのなら
鑑定で書いてくれていても良いじゃないか...
それともあれか?
これもレベルが足りないからなのか?
...うーん。
これは気を付けていかないと...
取り合えず持ってきた実のオレンジ色のだけ食べた。
黄色のものは穴の隅に置いておこう。
そのうち熟れて食べられるようになるはずだ。
さて、お腹もそれなりにいっぱいになったので
森の散策と昼食を探しに行くとしますか。
巣から出て南の方に歩いていく。
本能なのか方角がすぐに分かる。
同じような景色なので、これはいいことだ。
迷子にならなくてすむ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
鑑定しながら何か獲物がいないかと
キョロキョロしながら進んでいた。
気配察知にも何も引っ掛からない。
おかしいな~
なぜ何もいないんだ?
森に何もいないっておかしすぎないか?
『気配察知Lv3になりました』
おっ!レベルが上がった。
レベルが上がると同時に辺りに気配を押し殺して
隠れている気配が僅かに感じられた。
めっちゃいるじゃん!
なるほど、これもレベルが低かったせいか...
一番近く気配を感じるのは
右前方3メートルといったところかな?
逃げないようそっと近づいていく。
目ではどこにいるか見えないが
気配察知では落ち葉の下に隠れているようだ。
...よし、射程圏内に入ったぞ。
ばっ!と飛び掛かった。
そして、両前足でしっかりと押さえにかかる。
爪も突き立て逃げられないようにする。
足の下ではチューチュー言っている。
ネズミのようだ。
暴れるので落ち葉がとれ、姿が見えた。
一応鑑定をしておく。
。。。。。。。。。。。。。。。
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種族:野ネズミ
Lv1/3
HP 1(3)MP1
力 1
防御 1
魔力 1
俊敏 2
。。。。。。。。。。。。。。。
...弱い。
いや、まぁ、こんなものなのか?
『経験値を1得ました』
『知性Lv._により経験値を1得ました』
そんなことを思っている間にネズミは死んでしまった。
...なんと言うか...あっけないな......
まぁ、せっかく仕留めた獲物だ。
ちゃんと頂こう。
ネズミ1匹ではお腹が一杯にならなかった。
それに、さっきの音で周囲に獲物は居なくなったようだ。
まだまだお腹は空いているし
また獲物を見つけなくては...
そして、気配察知を使いながら
獲物を求めて森の中を歩いて行った。