115話目
声がしている方へ急いで駆けるのである。
するとアイスウルフ達が先程よりも、果敢に向かってくるのである。
まるで先には行かせたくないかのようである。
これはボスであるスノウウルフがこの先にいる可能性が高い気がするのである。
「ガルルルッ!」
「ピキュ」
我がアイスウルフ達の相手をしていると、また声が聞こえたのである。
早く行かなければまたスノウウルフに逃げられるかもしれないのである。
だからそこを退くのである!
「ギャッ!」
我に噛みつこうとしていたアイスウルフを跳んで避け、そいつを足場にして更に跳ぶのである。
アイスウルフ達は急いで氷を飛ばしてくるであるが、サンダーアローで相殺していくのである。
間に合わないものはかすっているであるが、重傷になりそうにないのでまぁ良しとするのである。
地面に降り、アイスウルフ達をかわしながら駆け、包囲を抜けるのである。
前方にアイスウルフらしき影が2つ見えるのである。
何かを探しているように下向きにキョロキョロしているのである。
あ、1匹が我に気づいたようである。
「ガァウ!」
もう1匹に吠え、吠えられた方は我に向かってくるのである。
吠えた方は逃げようとしているであるな。
あっちがスノウウルフかもしれないである。
吠えられた方よりも大きいであるし、命令をしているようでもあるしな。
我に向かってきているのは無視をして、逃げている方を追いかけるのである。
緩く右に逸れて、群れと合流しようとしているようである。
だが、我の方が先に追い付けそうである。
どんどんと近づき、姿がはっきり見えるようになってきたのである。
毛皮の色は白に薄く青が入っているのである!?
こやつ、スノウウルフじゃないのである!
スノウウルフは真っ白だったのである。
では、もう1匹の方......
ガキンッ
という音と共に、我は吹っ飛ばされたのである。
ぐぅ、一体何処から現れたのである?
飛ばされた衝撃で視界が暗いのである。
ガリガリガリ
な、何の音であるか?
というか首が押さえつけられているのである。
瞬きをして、視界が回復すると白い足が見えるのである。
先程のように薄い青が入っているのではなく、真っ白なのである。
ぬぅ、スノウウルフであるか。
首を押さえたところで、そのような弱い噛みつきでは、我に牙も刺さっていないのである。
吹っ飛ばされたのは失態であったが、やっと見つけたのである!
我は後ろ足で奴の体を蹴飛ばすのである。
寸での所で首を離し逃げたようであるが、前足の付け根に引っ掻き傷ができたのである。
「グルルルルッ!!」
スノウウルフは牙を剥き出し、鼻の上に皺を作って唸っているのである。
どうやら傷をつけられて怒っているようである。
「ガルルッガアァァッ!」
先程撒いたアイスウルフ達が周りに集まり始め、我とスノウウルフを綺麗に円になるように囲んだのである。
ぬ?
なんである?
「グルルルゥ...
グルゥアアァァ!」
スノウウルフが吠えると、両脇に2個づつ雪の塊が出来始めたのである。
次第に雪の塊はスノウウルフと同じような姿になっていくのである。
「ガァウ!」
4個の雪で出来た狼はスノウウルフの吠え声と共に動きだし、此方に襲いかかってきたのである。
これはさっきまでと変わらないのではないであるか?
結局はアイスウルフにさせていたことを、この作り出した狼でやり始めただけなのである。
一体何がしたいのである?
1匹が真っ正面から突っ込んで来たのである。
何もない、ただの突進なのである。
我はそいつを右前足で殴り付けるのである。
ぶわっと雪が舞い、視界が真っ白になる。
......なるほど、攻撃すると視界を奪われるのであるか。
ズキリと左後ろ足に刺すような痛みを感じたのである。
急いで見れば、雪の狼が噛みついているのである。
離すのである!
体を捻り、頭を叩き潰すのである。
またぶわりと雪が舞い、今度は首と右前足に噛みつかれたのである。
首にはやはり牙が刺さらなかったのであるが、ギリギリと硬いもの同士が擦れる音がするのである。
何故......あ、首輪であるか?
痛くて、嫌な首輪が今は我を少しは助けるであるか.........
複雑である。
「グルゥアァ!」
横目でチラリと見れば、またスノウウルフが雪の狼を作っているのである。
今度も4匹であるか。
まだ作られている途中であるが、今の我の状態のまま増えると厄介なのである。
急いで右前足に噛みついている狼を潰し、首のものは体を振るって外し、これも叩き潰す。
これで新しく作られた4匹だけであるな。
振り出しに戻ったようなものである。
ただ、この雪の狼視界を潰すだけかと思っていたであるが、生きていないからか気配がなく、見えていないと対処が遅れるのである。
この雪の狼を作り出す技がどれほど使えるか分からないであるが、このままでは良くないのである。
今は何故か、アイスウルフ達が攻撃に参加していないからいいであるが、スノウウルフの気が変わって攻撃に参加させると流石に我も限界なのである。
技はもう殆ど使えないであるし、血を流しすぎているのである。
出来れば早くスノウウルフを倒してしまいたいのである。
いや出来ればではなく、やらなければいけないのである。
我は放電を使い、一気にスノウウルフ目掛けて駆けるのである。
雪で出来た狼が我を止めようと、我の肩に噛みつく。
「ガアァァッ!」
それでも気にせず我は駆け、スノウウルフの背中に噛みついたのである。
「ギャアァ!?」
スノウウルフは我から逃れようと必死に暴れ、雪で出来た狼は首、肩、腹、左後ろ足に噛みついたのである。
しかし、我は雪で出来た狼のことは無視をし、ただひたすらにスノウウルフの背に牙を食い込ませていくのである。
ギリギリ...
「ギャウゥワァァ!!」
スノウウルフは首を振り、我に噛みつこうとするが届かず、爪で引っ掻こうとしても我が上から覆い被さるようにして、背に噛みついているため足は満足に動かせないのである。
首であればもっと早く倒せたのであるが、かわしやすいであるし、実際背でないと捕まえ損ねていそうであるしな。
「グウゥゥッガアァゥ!!」
とうとう、自分ではどうにも出来ないと思ったのか、周りのアイスウルフ達に吠え始めたのである。
やばいであるな。
掻くなる上は、スノウウルフを盾にし近づけないようにするである。
我はスノウウルフを咥えたまま、雪の狼達に噛みつかれながらもなんとか立ち上がり、周りに睨みを効かせるのである。
「グルルルルッ!!」
アイスウルフ達はびくりと震えたであるが、そのままの場所で此方を見ているだけである。
...ぬ?
何故、助けようとする素振りすら見せないである?
スノウウルフは助けを求めたのでは........
「グウウゥゥッ!!」
ブチブチッと千切れる音と共に腹が熱くなったのである。
なんとかスノウウルフを離さずに済んだであるが、燃えるような痛みは広がり、そして急速に力が溢れ落ちていくような感じに襲われるのである。
これはまずいのである。
まさか、腹を裂かれるとは思わなかったのである。
我の腹を裂いた雪の狼は、口を赤く染めながら再度我に食らい付こうと向かってきたのである。
我は首を振り、スノウウルフを雪の狼にぶつける。
ピシッ
腹を裂いた雪の狼は雪に戻り、ついでに首に噛みついていた雪の狼も首から離すことに成功したのである。
「ガフッ......グル...ルル」
よろりと立ち上がろうとするスノウウルフであるが、後ろ足に力が入りにくいのか立ち上がることが出来ないのである。
我はこの内に肩と足に噛みついている狼を雪に戻し、再びスノウウルフの方へと向かうのである。
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