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人生...いや、狼生は楽じゃないね!  作者: ゴンピ~
第4章:それぞれの道
113/131

113話目



「グルルルッ」


周りを囲んでいるアイスウルフ達が唸り始めたのである。

もうそろそろリーダーが狩りを始める事を察知したのであるか?

こうなれば、仕方ないのである。

少しヴィオラ嬢に我慢をしてもらうしかないのである。


『ヴィオラ嬢、我アイスウルフの群れに囲まれてしまったのである。

ここから逃げるため放電を使うのである。

これを使えば足は速くなるであるし、雷を纏うため奴等も迂闊に近づけないのである。

ただ、ヴィオラ嬢はくっついているであるから、結構痺れると思うのである。

だから、それを覚悟しといてほしいのである。』


『囲まれたのは見てたわ。

あの大きいのと話をしてたみたいだけど、何か決裂したのね。

どうにか堪えるけれど、私あなたよりも随分と弱いのよ。』


『放電は攻撃よりも、我の行動を補助する役割のものであるから大丈夫だと思うのである。

それと、痺れるのはダメージよりも行動がしにくいという方なのである。

もしそれでも危なそうであれば、何時ものように尻尾で合図して欲しいのである。』


『分かったわ。』


アイスウルフ達を警戒しながらそんな事を話していたのであるが、なかなか襲ってこないのである。

どうしたのである?


張り詰めた空気の中、スノウウルフだけは首を傾げているのである。

何なのである?

もしやまだ何か言うことでもあったのであるか?

一応繋いでみるである。


『ふむ、もう会話は出来なくなったか?』


やはり此方に何か言ってたようである。

まだ何か用があったのであるか?

どちらにしても、もうこれ以上状況が悪くなるわけではないであるし、話を聞いてみるであるか?


『どうしたのである?

まだ何か言うことがあったのであるか?』


『......ん?

話ができるようになったか。

そう言えばもうひとつ聞きたいことがあってな。

この場所にお前らのような余所者が多く来ているだろ。

あれはどう言うことだと思ってな。』


『それは、我にも詳しくは分からないのである。

しかし人間という者のせいなのである。』


『人間?』


『そうなのである。

我らはお互いの事を知らないし、気にしないのである。

ただ、人間に利用されているだけなのである。』


『ふむ?

だがお前達は異なった種で群れているでないか。

それはどう言うことだ。

気にしないのではないのか。』


『それはブラン殿が友好的で、我の事も助けてくれたからである。』


『お前のような者が助けられるだと?

私はこれでも群れのリーダーだ。

相手との力量を測ることも大事だ。

だから少し敏感に察知することができる。

それで比べたところ、ここらではお前に敵うものなど殆ど居ないであろう。』


これは、軽く喧嘩を売られているのであるか?

話の感じだと力量を測り、我に勝てると思っているから、こうなっているのであるよな?

まぁ確かにこの数相手では我も敵わぬであるが......

何か腹が立つのである。


『まぁ、それはどうでも良いか。

結局は私よりも更に弱いということだ。

少し感覚が鈍っているかな?』


我がお主よりも弱いであると!?

我はその内、あの広い雷の降る地の主になるものであるぞ!

そうであるのに、このような者に嘗められて良いのであるか?

否、断じて否である!

こうなれば、この者ら全て蹴散らしてやるのである。

多少の怪我は致し方ないである。

ここで逃げるのよりはマシなのである。

果敢に敵に立ち向かってこそ主なのである!


我は重心を下に落とし、即座に反応できるようにしておくのである。

むしろ、此方から仕掛けてしまうであるか?


『それでは、そろそろ話を終わるか。

急に様々な種が団結して、私の縄張りを荒らしに来たのかと思ったが、それも違うようだし......

それの首謀者があの私等の同種で、追い出した妹と手を結んだのかと思ったがそれも違うようだし......

ただの私達の餌が増えただけとは......な!』


なにやら色々と考えていたようであるな。

しかし、とうとう......来るである!


「ウオオォォォン!」


スノウウルフの遠吠えと同時に、周りのアイスウルフ達が此方に飛びかかってきたのである。

まずはこの包囲を崩さなくてはいけないであるな。

後方に跳躍しつつ、我が元居たところにドナゾイルを放つ。


「「「ギャウンッ!?」」」


群れの中でも速かったものが数匹くらったようであるな。

それに周りの者も目がやられているようである。

地に付くと同時にまたもや跳躍。

今度はあまり纏まっていないであるから、サンダーアローで1匹1匹、狙うのである。

ぬ?降りる所にアイスウルフがいるのである。

我の事が見えているであるな。

体の周りに氷の針が作られていっているのである。

あれを空中の我に放つつもりであるな?

だが、我の雷の方が速いのである。

痺れているがいいのである。

サンダーアローを放ち痺れさせ、アイスウルフに着地すると同時に引っ掻きつつも再度跳ぶのである。


よし、これで包囲を抜けたのである。

放電を使うまでもなかったのである。


「ガルルルッ!」


む、スノウウルフが何か吠えているのである。

すると、3方向から一斉にアイスウルフが飛びかかってきたのである。

しかし遅いのである。

左にはサンダーアローを放ち、右前足で1匹を引っ掻き、そのまま足を前に持っていき体を沈めるのである。

そして正面から来ていた噛みつきを避け、下から相手の顎に頭突きを喰らわすのである。

喉元ががら空きになったところで噛みつき、次に襲いに来ていたアイスウルフに叩きつけるのである。


そこで少しアイスウルフ達の動きが止まったのである。

まだ我に傷1つ負わせていないであるのに、仲間が何匹か殺られているであるからな。

迷いが出てきたのであろう。


「グッ!ガアァァァッ!!」


またスノウウルフが吠えているのである。

あのようなことを言っていたであるのに、動こうとしていないのである。

それでよく我の方が弱いとか言ってくれたであるな。

必ずお主は逃がさぬであ......

ぬ?

何か降ってきたである?

白い物がフワフワと我の目の前を落ちていったのである。

それを皮切りに、段々と増え視界が悪くなってきたのである。


......これは、ブラン殿がいつか教えてくれた雪というものである。

何故急に降ってきたのであるか?


ズキリと左後ろ足に痛みが走ったのである。

振り向けばアイスウルフが噛みついているのである。

この、離すのである!

相手の腹を噛み、痛みで口を離したところで放り投げるのである。

ザシュッと今度は右の肩辺りを何かが切っていったのである。

ぬぅ、この雪に紛れて攻撃されているのである。

我は見えないが、向こうは見えているようである。


ぐっ、また足をやられたのである。

最初の1匹を投げてから、アイスウルフは我に近づこうとしないみたいである。

その代わり、氷の刃を飛ばしてきているようである。

これはここでじっとしているとマズイのである。

それに、これ以上足をやられると動きに支障が出るのである。

視界が悪いので移動するのに少し不安があるが、仕方ないのである。


取りあえず前に走るのである。

ヒュッという音がしたであるが、多分氷の刃であるな。

それからも多くの風切り音を聞いたが、何とか当たることはなかったのである。

もし、もう少し行動するのが遅ければ切り刻まれていたであるな。

そして、そのまま走り.........


視界が真っ白になり、体全体に凄い衝撃がきたのである。




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