111話目
流石に遅すぎるのである。
......眠りこけていた我も悪いであるが......
これは一度氷の場所を見に行く必要があるのである。
『ヴィオラ嬢、我ブラン殿を探しに行こうと思うのである。
ヴィオラ嬢はどうするである?』
『私も付いていくわ。』
そう言って、背中に乗ったのである。
さて、氷の場所に向かうのである。
そう思い一歩踏み出したとき、首元が何処かに引っ張られるのである。
ぬ?
これは何であるか?
邪魔なのである。
我はブラン殿を探さないといけないのである。
すると、首元がピリピリと痛み始めたである!?
そうである。
忘れていたのである......
首輪の言うとおりにしないと痛くなるのである。
うーむ、まずはこの首輪が引っ張っている方に行かないといけないである......
...と言うことは、ブラン殿にも会えるのではないであるか?
ブラン殿も首輪に引っ張られて来るのである。
そうすれば宛もなく探す意味もないのである!
うむ、首輪痛いのが嫌であるが良いタイミングである。
我は素直に首輪が引っ張っていく方に歩いていくのである。
途中、昨日のアイスウルフと同じかは分からぬであるが、またアイスウルフが遠巻きに付いてきていたのである。
そして、いつの間にか居なくなっているのである。
何か用事なのであれば、意思疏通を繋ぐであるのに......
だが、遠すぎるのである。
せめて、もう少し近寄ってくれれば良かったのである...
そんな事がありつつも、目的地に着いたようである。
前と同じように、様々な奴らが来ていたのである。
今は前居たときの4割くらいであるか?
我が着いてからも続々とここに来ているようである。
......まだブラン殿は来ていないようであるな。
まぁ、氷の場所に行っているのであれば、我らよりも遅くなるのは仕方ないのである。
住みかを挟んで、氷の場所はここと反対側とまでは言わないであるが、氷の場所はちょっと離れているのである。
もう少し待っていれば来ると思うのである。
・・・・・・・・・・・・・・・
この前ここに来たときに集まった奴らの大半が集まってきたのである。
大体9割くらいである。
それでも、ブラン殿は現れないのである。
一体どうしたのであるか......
ガタガタッ
と急に音がしたのである。
音のした方を見れば、白く大きい四角いものから人間が出てきたのである。
その人間は茶色の小さい四角の物を持っているのである。
何をするのであるか?
前はこの首輪に着いている丸い物が入っていたであるが.........
「st,nrndnrnd.
mskwatmry.」
うーむ?
何か言っているのである。
それと同時に首輪が我を引っ張り始めたのである。
首輪が引っ張るのに任せて歩くと、他の奴等も動き始めたのである。
...うーむ、何をする気である?
ブラン殿が居ればどういうことか分かるであるのに......
意思疏通を繋いでみるであるか?
向こうは敵意は無さそうであるし、声をあげて此方に何かを伝えようとしているという事で、聞こえないであるかな?
「e,t、wndurfhdknirnkn.
bkhsrmatdktndkd.」
『えっと、......ウルフは......かな。
僕...目当て......だ...。』
うむ、ぼんやり聞こえるのである。
慣れれば大丈夫そうである。
「ma、sknmskwatmtsmukn.
susrbsgsnktmsnutaeryn.」
『...、先に........しまうかな。
そうすれば...なくても....会えるよね。』
むむむ、何に会うのである?
分からないのである...
その後人間は、1列に並んだ我らの首輪に何かをし始めたのである。
そして、我の番が来たのである。
痛いことは嫌なのである......
「n?
a、kmttgkw,trgrーpdkudustrkttdn?
dm、i,pktrninー」
『ん?
あ、君達が変わってるグループで行動してる子達だね?
でも、1匹足りないなー』
おぉ!
我らに話しかけようとしているからか、全部分かるである!
これならば、意思疏通の方にだけ集中しても大丈夫であるな。
『僕が目当てにしていたウィンドウルフはこのグループと一緒に居たはずなんだけど、見当たらないとなると死んじゃったかな?
あーあ、折角魔物に襲われずに触れるからこんなとこまで来て雑用みたいなこともしてるって言うのに...
こんなことなら、やらなければ良かったなー
でも、この虎はライガーって言う魔物だったっけ?
確かBランク位だよね。
普通なら僕には絶対に触れない魔物だよね。
この子で我慢するかなー』
.........
...な、何を言っているのである?
ウィンドウルフというのは、ブラン殿の事であるか?
ブラン殿が死んだ?
そんなはずはないのである。
ただ、まだ此処に着いていないだけなのである。
ブラン殿が死ぬはずはないのである。
ブラン殿は我と同じくらいに強いのである。
このような所の魔物達など、とるに足らないのである。
それに、我よりも賢いのである。
そんなブラン殿が......
『んー、短毛だけど柔らかいね。
たまにパチパチと静電気みたいなのを感じるけど、痛くないし、これは逆に気持ちいいかなー
やっぱり普通の動物とは違った感触がして面白いよねー』
そんな事を考えていると、人間が我の体を撫でているのである。
いつの間にって感じである。
あまり触られたくはないのである。
電気を流してやるのである。
そう思った瞬間に人間は手を離したのである。
惜しかったのである。
もう少し長ければ、感電死させてやる所だったのである。
『うん、堪能した。
じゃ、終わったから次の子来てね。』
ぬ?
他の者の首輪にしているみたいな事はしないのであるか?
少し疑問に思いつつも列を離れるのである。
列を離れて寝そべって解散の合図を待つのである。
すると背中をパシパシとされるのである。
『ヴィオラ嬢どうしたのである?』
『さっきぼぉっとしてたから、どうしたのかと思ってね。』
『あぁ、人間がブラン殿は死んだと言ったから驚いただけである。
そんな事はないであるよな、ヴィオラ嬢?』
『いいえ、こんなに帰ってこないし、首輪の強制力によって此処にも来ていないなら、死んでる可能性が高いでしょうね。』
『そんな事をヴィオラ嬢も言うのであるか!?
我は付き合いは短いであるが、ブラン殿を信じているのである。
ブラン殿は簡単にはくたばったりしないと思うのである。』
『ええ、そうでしょうね。』
『ぬ?
それではヴィオラ嬢もブラン殿は死んでないと思ってるのである?』
『そうよ。
こんなところで死ぬわけが無いわ。
あいつには帰る所があるのよ。
主を置いて死ぬなんて、配下の資格がないわ。』
『むむ?
我にはよく分からないのである。
ヴィオラ嬢は死んでると言ったり、死んでないと言ったり、どっちなのである?』
『だから、死んでる可能性が高いけど、あいつが簡単に死ぬとは思えないと言ってるのよ。』
『ふむ、ではやはりブラン殿は生きているのであるな。
しかし何故この場所にこないのである?
来なければ痛くなるのである。』
『もしかしたら、首輪を外す方法が分かったのかもしれないわ。
そうすれば痛くならないから、此処に来なければいけない事を知らないのよ。』
『なるほどなのである!』
『まずは住みかに帰って、あいつが帰ってなかったら今度こそ氷の所に行った方がいいわね。』
『何故である?』
『あいつが最後に行ったのは氷の場所なのよ。
そこで首輪を外す方法が見つかった可能性が高いわ。
もし入れ違いで会えなくても、先に首輪をどうにかしてしまった方が行動しやすいでしょ?』
『おぉ!
確かにそうであるな。
でわ、早く住みかに帰るのである!』
ばっと立ち上がり、住みかの方に駆けていこうとしたときである。
「mddy.」
びりっとした痛みが体に走り、動きが止まってしまったのである。
.......そうであった。
まだ終わってなかったのであるな。
我は大人しく座り、人間のしていることが終わるのをまだかまだかと待ち続けるのである。