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人生...いや、狼生は楽じゃないね!  作者: ゴンピ~
第4章:それぞれの道
110/132

110話目

遅くなりました、すみません。



ブラン殿が氷の場所に行くといって、随分と時間が経ったのである。

何時もであれば、何か獲物を咥えて帰ってくる頃であるはずなのだが......

まぁ、少し遅れることもあるであろう。

しかし、我お腹が空いてきたのである。

ブラン殿が帰ってくるのを待つか、少し狩りに行ってくるか......


うーむ、悩ましいのである。

意識しだしてから余計にお腹が減ってきたのである。

しかし、ブラン殿が帰ってこないとヴィオラ嬢が寒くなるのである。

けど何か食べたいのである......


......うむ、ヴィオラ嬢に許可を取るのである。

我限界なのである。


『ヴィオラ嬢、我お腹が空いたので少しの間狩りに行っても良いであるか?

直ぐに帰ってくるので......』


『ダメよ。』


うぅ、許可が下りなかったのである......

我慢するしかないであるか。

耳も尻尾も力なく、ダランとなってるのである。


ぬ?

何か背中をペシペシされてるのである。

背中にはヴィオラ嬢が居るであるから、何か用事があるのであろうか?


『どうしたのである?』


『私の話を最後まで聞かずに切らないでよ。

私も狩りに連れていって。』


ぬ?

と言うことは......

何か食べられるということであるか!

我はばっと起き上がり、


『分かったのである!

お安いご用なのである!』


『ちょっと、急に動かないでよ。』


我はルンルンで穴から出る。

辺りを見回しても何も居るように見えないのである。

...ブラン殿まだ帰ってきそうにないであるな。

獲物も近くに居ないようであるし、少しだけ遠くに行ってみるのである。



・・・・・・・・・・・・・・・



暫く歩いて......

もうそろそろ帰らないとブラン殿が帰って来ているかもしれないである。

何も居なかったのである。

と落ち込みかけた時、白い景色に空のような色の物が右斜め前方に見えたのである。

最後にあれを確認してから帰るであるか。

どうか、食べられるものであって欲しいのである。


『ヴィオラ嬢、やっと何か見つけたのである。

このままひっそりと近づいて、獲物なら捕らえてしまってもいいであるか?』


『...ん?

あ、あの空色のやつね。

良いわ。

私も手伝えそうなら手伝う。』


『じゃ、近づいていくのである。』


身を屈め、出来るだけ静かに近づいていくのである。

視界を遮るものが殆どないこの場所は、とても狩りがしにくいのである。

それでも地面の起伏があるので、それを利用するのである。


徐々に近づいていけば、どうやらあれは食べられそうである。

二足で立ち、腹側が先ほど見えていた空色で、背中側は真っ白なのである。

もし地面に腹ばいであったなら、なかなか見つけられなさそうである。

尖った固そうな口を上に向け、空を見て何か探しているようである。

探し物に夢中でまだ我らには気づいていないであるな。



......ふむ、この辺にしておくのである。

これ以上近づくと流石に気づかれそうなのである。


『ヴィオラ嬢、我がここから攻撃して獲物が生きていたら直ぐに抑えに動くのである。

振り落とさないように気を付けるであるが、しがみついておいて欲しいのである。』


『分かったわ。

生きてたら、動かないように牽制しておく。』


牽制であるか?

我の背中の上から何をするのであるか?


気になるであるが、我は狩りに集中するのである。

では、我らの十八番であるドナゾイルをお見舞いするのである!


魔力を高め、獲物の上にドナゾイルを放つのである。

空気中でバチバチと音が鳴っているのである。

獲物は見ていた空に異常が現れたため、動こうとしているようであるがもう遅いのである。

ピカリと視界が真っ白になると同時に、


ドーン!!!


と言う音が響いたのである。

...目を瞑っておくのを忘れていたのである。

視界が白いまま、まだ直らないのである......

背中の上がぺしぺしされているのである。

ヴィオラ嬢も視界をやられたのであるな。

これは怒られそうな予感がするのである.........


目をしばしばさせ、何とか視界が直って来た頃、獲物は空を見たまま固まっているのである。

そして、グラリと体が傾きどさりと倒れたのである。

でもまだ倒してはいないようであるな。

飛び掛かろうとした時、背中の上から何か細長いものが数本飛んで獲物に刺さったのである。


『経験値を458得ました。』


あ、今ので止めをさせたようである。

というか、あれがヴィオラ嬢の言っていた牽制であるか。

あれは何であるか?


取りあえず仕留めた獲物の近くに寄っていくのである。

うーむ、香ばしいいい匂いがするのである。

我のお腹は匂いにやられて、限界なのである。

丸々していて、食べごたえありそうなのである。

では、頂くのである!



・・・・・・・・・・・・・・・



うむ、我は満足なのである!

手を舐め顔を擦り、顔の周りについた汚れを落とすのである。

なかなかに量があり満腹とまではいかないであるが、それなりに空腹を満たせたのである。


でも、ヴィオラ嬢......

顔の周りの汚れを落とすために、我の背中ですりすりしないで欲しいのである......

やはりドナゾイルで視界が潰れた事で怒られてしまったのである...

こうなるのなら、先に言ってくれと...

でも、我も忘れていたのである。

そんな言い訳をすると自分の技なのに、忘れるってどういうことと更に怒られてしまったのである。

確かに、我も自分の技の事を忘れるのはどうかと思ったので、ちゃんと説教は受けたのである。

けど、まだ怒りが収まらぬようである.........


『ヴィオラ嬢、すまぬのである。

...それで、もうそろそろ帰らないとブラン殿が帰って来ていて、心配するかもしれないである。』


『いいわ、帰りましょう。』


ヴィオラ嬢はスリスリするのを止め、普通に背に乗ってくれたのである。

......拭いていたところとは違う場所であるが......


我は立ち上がり住みかの方角に向けて歩き始めたのである。

すると、左側に何かいるのである。

見ればブラン殿と良く似た姿の者である。

そう言えば、アイスウルフという魔物が群れにいれて欲しいと言ってきた、とブラン殿が言っていたであるな。

アイスウルフはブラン殿と姿は似ていると.........

あやつであるか?

ちょっと近づいてみるのである。

左に向き直り、アイスウルフとやらに近づいていく。

しかし、肝心の者は我が近づいた分だけ離れていくのである。

これでは距離は縮まらぬし、話も出来ぬである。


むむむ、これは一旦諦めた方が良さそうなのである。

我はアイスウルフを追うのを止め、住みかの方へ真っ直ぐ進むのである。

少しの間だけアイスウルフは付いてきていたが、いつの間にか居なくなっていたのである。

一体なんだったのであろうか?


住みかに入り、中を見回すがまだブラン殿は帰ってきていないようである。

うーむ、遅いのである。

一体どうしたのであろうか?


いや、もう少ししたら帰ってくるかもしれないである。

我は前足を交差させ、その上に顔を置き目を瞑るのである。

我が少し寝ている間にブラン殿は帰ってくるであろう。

そうすれば、いつも通りなのである。




我は少しだけ眠るつもりが、半日ほどの時間、深く眠ってしまっており、目が覚めて住みかの中を見ても、ブラン殿が帰ってきた様子はなかったのである。





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