105話目
ちょっとした謎解きをやっとここで答えが出せます。
随分長くかかってしまいました。
それに、投稿も長いこと期間を空けてしまい、誰か読んでくれるのかと少し心配です笑
サファイアが喚べるようになった。
それまでは、朝から町の人達に話を聞いて回った。
昼過ぎにはメイルさんと一度会い、聞いてきた情報を話あった。
その結果、やはり誰もブラン、サファイア、ヴィオラを見た人はいなかった。
ただ、気になる話はあった。
それはテイムした魔物が拐われるという事件が発生していること...
この都市だけでなく、他の街でも起こっているらしい。
それにおかしいのは、テイムした魔物だけでなく極少数だが召喚獣も拐われているということ......
普通召喚獣は僕みたいに常には出していないし、召喚の契約は強いから普通に拐われるだけでは帰れるはずなのに......
何か特殊な物を使っているのかもしれないね。
メイルさんはこの話を聞いた後に門の人に話を聞きに行ったらしい。
もしも拐われたのであれば何処かに運ばれたかもしれないと思ったらしい。
その予想は当たっていて、昨日の夜大きな荷物を乗せた荷馬車が北に向かって走っていったらしい。
今年は百年に一度のポトナフィーラが開催されるロート都市で行商をするために大荷物であると言っていたそうだ。
僕はポトナフィーラと言うものを知らない。
メイルさんに教えてもらった話ではポトナフィーラは凄く人気のお祭りなのだとか。
ロート都市から船で小島に行くらしい。
そこは凄く大きな木が真ん中に生えていて、その木から百年に一度葉が落ちるらしい。
それだけ?と僕は思ったけれどそんな事はなく、なんと落ち葉が動物に変わるらしい。
それはもう様々な動物に変わるのだとか...
更にそれだけではなく、その葉っぱの動物たちは経験値が良いらしい。
攻撃を一撃でも当てればすぐに殺られる。
それに向こうからは攻撃してこず、ただ逃げるだけらしい。
逃げるのだとしても、型どった動物によるけれど逃げる速さはそんなに速くないらしい。
だからこの祭りがある時は、様々な国から多くの人が来る。
凄く有名なお祭りらしい。
僕は全く知らなかったけど......
話を戻して、とにかくその大荷物の行商人が怪しいとメイルさんは思ったようだ。
確かにもしブランが捕まっていたら大きな荷物になるだろう。
ブラン大きいもんね。
それで、メイルさんはロート都市に行くことにしたらしい。
僕にも一緒に行くか聞いてくれたけど、僕は返事をしてない。
それはこれから、サファイアに会って話を聞いてから決めるつもりだから。
もしブランが捕まったのでないのだとしたら、まだこの都市に居るかもしれない。
.........もうその可能性は薄いけど、でも、少しでもその可能性があるのならメイルさんに着いていくことはできない。
ブランを置いていくことになるからね。
どうか、無事にいてくれますように......
そう願いながらサファイアを喚んだ。
魔方陣からサファイアが現れる。
僕はサファイアの無事な姿を見て、少し安心した。
強制的に帰ってるから無事というわけではないけれど、でも、こうして姿を見ることができて良かったと心から思った。
サファイアはじっと僕の顔を見ている。
僕はサファイアがこうして居ることで、ブランも無事なんじゃないかとさえ思えてきた。
そう、だってブランは凄い子だから...
だから僕はサファイアにこう聞いた。
いや、聞こうとした。
けれど、口を開こうとした瞬間......
『主人、落ち着いて聞いて欲しい。
ブランとヴィオラが捕まった。
俺達と一緒にでかい魔物を退治した奴が悪い奴だったんだ。
そいつがブランを気絶させ、首に何かを付けていた。
俺はブランが気絶させられたときに背中から転げ落ち、そのまま違う奴に捕まった。
そして俺も何かを付けられそうだったが、何か嫌な感じがしたから強制帰還を使って逃げたんだ。』
大きい魔物?
......まさか、ワイバーンのことを言ってる?
だとしたら......もしかして...
『ギルベルトさんの事を言ってるの?』
『そうだ。
その名前の奴だ。
俺は人間の言葉は分からないが、ブランは分かるからな。
あいつが気絶仕掛ける前にそう言っていた。
だから頭を使えと言ったのにと、ギルベルトという奴が最後に言っていたらしい。』
頭を使え?
そういえば、次のスレンス村に行くときの話に頭を使えと念を押してたね。
あの時は、純粋に考えて行動しろという意味かと思ってたけど、違う?
それに、ヴィオラが拐われる前にメイルさんにその話をすると少しずつ変だったっけ......
防寒具じゃなく食べ物を温めるものだったり、道に沿って歩いていけば会わない魔物の特徴を話してくれたり......
...もしかして、何かギルベルトさんは伝えたかったのかな?
だって、僕はギルベルトさんのことを根っからの悪っては思えない。
もう一度、あの時の話を思い出してみよう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ふむ...
では、これから言うことを良く覚えて、頭を使えよ?」
「はい。」
「スレンス村は北にあるからすごく寒くなっている。
グリールを持っていくことを忘れないようにすることだな。
西には森が広がっている。
ここには氷系の魔物が多く居るんだ。
ノワームという毛むくじゃらの魔物がいるんだが、こいつが厄介でな。
とにかく剣が通らない。
しかも、炎系の魔法でないと、ダメージが余り与えられないんだ。
体を使った突進をしてくるから上手いこと避けるように...
ラオイスという魔物も危険だ。
人間を見れば直ぐに襲い掛かってくる。
原生の森、西にある森の名前なんだがその森の奥にしか居ないから余り遭遇はしないと思うが...
ろ...ろ道気をつけて冒険しろよ。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あれ?
魔物は奥に行かないと遭遇しないって言ってくれてるじゃないか。
...僕が忘れてただけか......
いや、でもグリールは違う。
それに最後のはなんか、無理やり付け足した感じだし......
...うーん、でも何かさっぱり分からないなぁ。
頭を使えって言うのも......
...あっ!
もしかして!
うん、そうだよそうにきまってる!
うんうんと頷いていたからだろうか、少し心配した声で、
『主人?
さっきから一人で何を考えているんだ?』
『あっ、ごめんね。
心配しちゃったかな?
僕は大丈夫だよ。』
『しっ、心配などしてない。
で、何を考えていたんだ?』
サファイアはフンッとそっぽを向いて僕にそう言う。
『僕ね、ギルベルトさんはやっぱり悪くないんじゃないかなと思うんだ。』
『...なに?
ブランを気絶させて捕まえたのにか?』
サファイアは少し声を低くして言う。
ブランのこと結構心配してくれてるんだね。
素っ気ない感じだけど、やっぱり僕たちのことを気にかけてくれてる。
召喚した時はあんなに警戒心剥き出しだったのに...
僕はそっと手をサファイアに近づける。
ピクッと体を震わせるが、それだけでなにもしない。
頭に手を置き、優しく撫でつつ言う。
『勿論、その事は許しがたいことだよ。
でもね僕、分かったんだ。
ギルベルトさんが本当に伝えたかったこと...』
『...なんだそれは...』
少し不満げな声で聞いてくる。
撫でられるのは嫌なのかな?
でも逃げないし、制止の言葉もないから良いよね?
『それはね、僕たちに早くこの都市から逃げるようにって伝えたかったんだよ。』
『...は?』
『多分ギルベルトさんにも何か事情があるんじゃないかな。
それで、直接僕らにその事を伝えることが出来なかった。
だからあんなに回りくどい形で伝えたんだと思うよ。』
『...お前、何をいっ...!?』
『僕、馬鹿だからその事に全然気づかなかった。
早く気づいていれば、ブランも捕まらずにすんだのにね...』
『......いや...』
『ん?
どうしたの、サファイア?』
『...どういう話からギルベルトがそんな事を伝えたかったと言う話になるのかは、俺には全く分からないが...
......その、だな。
あまり自分ばかり攻めない方がいいぞ。』
そう言って、翼で僕の頬を撫でる。
僕は暫くサファイアを撫でながら、サファイアに頬を撫でられていた。
答えは出てますけど、細かく言いますとギルベルトの言葉の1文の頭文字を取っていくと...
「すぐにこのとしからにげろ」
「直ぐにこの都市から逃げろ」
となります。
あんな短時間で良くこんな暗号を考えれますね。
まぁ、無理やり当てはめた感じがしてますが笑
???「それは余計なお世話だ!」
おっと、怒られてしまいました。
それではまた
続きで会いましょう。