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人生...いや、狼生は楽じゃないね!  作者: ゴンピ~
第3章:平穏の終わり
102/132

102話目

今回は少しだけ長めです。



アイスウルフは起き上がる様子を見せない。

俺はフラフラするし...

コクオマリのHP後どれくらい残っているんだろうか?


。。。。。。。。。。。。。。。

[]

種族:コクオマリ

Lv11/130 状態:流血(大)・朦朧(小)

HP 1085(2404) MP 13(33)


。。。。。。。。。。。。。。。


うわ、まだ1000もあるのか。

しかし半分は切ってるんだな。

後、流血(大)のお陰で今もHPが減っていっている。

首の傷が主だろうが、カマイタチで全身薄くとも切り傷だらけだからな。

このまま出血死を待つのが安全だろうか。

しかし時間が掛かりすぎるし、もしかしたら死ぬ前に血が止まるかもしれないよな。

いや、止まるだろうな。

今コクオマリは動かずじっとしているためか、血が流れる量が減ってる気がする。

このままでは血が固まり、塞がってしまうだろう。

出来れば血が流れてる首元をもう一度斬るなり、噛みつくなりして更に流血量を増やしたい。


......さて、どうするか?

カマイタチをコクオマリの方へ放る。

しかし、氷の鎧で防がれる。

うーむ何かないか?

と言うか、遠距離攻撃はカマイタチしかないんだよな。

後は近距離。

最初の時と同じく、暗闇を使うか。

暗闇をかける。

コクオマリは2回目だからか慌てることはなく、その場を移動せずに腕を振るい弱点となるところを隠そうとしている。

...うん、まぁそうなるよな。

だけど俺はコクオマリに向けて駆ける。

そしてコクオマリに近づき...


...何もせず横を駆け抜けた。

逃げたっとか言うなよ?

これでもちゃんと考えがあるんだ。


そのまま走り、コクオマリが最初に作り出した氷の柱を駆け登る。

頂上に達したときコクオマリがいる方に向けて跳ぶ。

そして俺自身に追い風と重圧をかけ、普通ではあり得ない速度でコクオマリに向けて落下する。

コクオマリはまだ暗闇で動けず、首元を守ろうと少し丸まった体勢でいる。

俺は両前足でコクオマリの背中を引っ掻いた。


「ガッアアアァァァァァ!?」


...ビシッ........ミシミシミシッ


コクオマリの氷の鎧は砕け、少しばかり体にも傷を付けることができた。

それに丸まっていたという事は前傾姿勢であった為、コクオマリはばったりと倒れている。

今の内に重圧を掛け、更に起きづらくしてからかカマイタチを放る。

噛みついたり、引っ掻いたりと直接攻撃する方が大ダメージを与えることはできるだろう。

しかし、今の俺は動くことができない。

さっきの反動で両前足の感覚がないのだ。

よほど酷い状況にあるのか全く痛くない。

まぁ、今はその方が違う行動をすることができるからいいんだが、これ治るだろうか?


いや、その前にコクオマリを早く倒さなければ...

起き上がって来られるとこっちが死ぬ。

こういうときにアイスウルフが起きていれば良かったんだが、まだ起きていなさそうだ。


.........ピシピシピシッ.........


そんな事を思いつつもカマイタチを大量に、それこそMPが無くなる勢いで放る。

しかし、氷の鎧が無くても防御が高いからか薄くしか切れていない。

もっと細かくカマイタチを移動させて一番切れている所...

先程氷の鎧を叩き割ったところの爪痕に被せれば、より内部まで風の刃が通るというのに......

俺の技術が足りないのか、カマイタチのレベルが低いから精密な操作ができないのか。

どちらでもいいが、何とかならないものか。

一応、その周辺には当たっているんだけどね...


「...ぐっ......ぐあっ...」


凄い勢いで叩きつけた為、意識が少しの間飛んでいたようだったが気がついてしまったらしい。

足の裏を1本づつ地面につけ、起き上がろうとしている。

...くっそ、ダメだ。

重圧が負けている。

もうじきに起き上がってしまうだろう。

何とか削りきれないのか!?

今のHPは......



。。。。。。。。。。。。。。。

[]

種族:コクオマリ

Lv11/130 状態:流血(特大)・朦朧(中)

HP 339(2404) MP13(33)


。。。。。。。。。。。。。。。



あぁ、大分減ってるがダメだ。

カマイタチでは削りきれない。

前足が動けばいいんだが......


。。。。。。。。。。。。。。。

ブラン

種族:ゲイルウルフ

Lv29/30 状態:両前足骨折(中)

HP 382(750) MP 212(412)


。。。。。。。。。。。。。。。


骨折か......

無理だな。

どちらか片方だけなら、なんとかなったんだがな。

鎧を割るのは悪手だったか。

もう少し考えて行動するべきだった。

動けなければ、攻撃を避けることができない。

もっとゆっくり長期戦にするべき......いや、あまり長いことかけてると他の魔物が来てアイスウルフに危害が来るか。

それとも焦れてコクオマリがアイスウルフを攻撃しようとするか?

そんな事をすれば俺はアイスウルフを庇いに行かなければならない。

そこを狙って攻撃されたら結局は終わりか。

やはり、こいつとは戦ってはいけなかった。

もうどうしようもない。

ただ、少しの望みとしてカマイタチを放り続けているだけ。


...ミシミシッ......バキッ...


コクオマリは完全に立ち上がり、血を滴らせながら此方を凄い形相で睨んでいる。

コクオマリが後ろ足だけで立ち、此方に歩いてくる。

わざわざ近づかなくてもアイスマニュピレイトで終わらせればいいのに、相当怒っているらしい。

直接叩かなければ気がすまないようだ。


...パシッ...パシッ...パキンッ.........


この間もカマイタチを放っているので、俺的には時間がかかっている方が嬉しい。

まぁ、コクオマリと俺の距離などすぐ近くだからものの数秒で俺の前に立てるけどな。


俺の前に立ち、右前足を振り上げる。

目は怒りに燃えているが、口元はつり上がっている。

あぁ、俺の狼性はここで終わりか。

こんなところで......

クラウドにもう一度会いたかったな。

ずっと一緒にいると約束したんだけどなぁ。


......バキンッ!!


急に地面の感覚が無くなった。

なんだ?

風が下から上に流れている。

......いや、違う!

これ俺が落ちてるんだ。

回りを見れば氷の破片がガラガラと落ち、コクオマリは俺よりも下に落ちていっている。

この氷の下、水じゃなく空洞があったんだな。

それも結構深い。

コクオマリに殺される事はなかったが、これ、落下で死ぬのでは?

折角、生きられるかもしれない可能性がでたんだ。

俺は抗うぞ。

何とか空中で体の向きを変えようとしてみる。

取り敢えず背中を下にすることは出来た。

ここで追い風を使う。

まだMPがあって良かった。

背中をを押すような風がふく。

うーむ、少しは落下する速度がましになったか?


『経験値を1322得ました。』

『知性Lv._により経験値を1102得ました。』

『ブランのレベルが1上がりました。』

『進化可能になりました。』

『重圧Lv4になりました。』

『カマイタチLv5になりました。』

『打撃耐性Lv1になりました。』


ん?

これはコクオマリが地面について死んだか?

経験値が一匹で凄い量だな。

しかし、あの防御力でもやっぱり死ぬんだな。

俺、同じぐらいのHPしかないのに防御力めっちゃ低いんだが?

これ生きられるのだろうか?

取り敢えず、もうそろそろ地面が近そうであるから足が下に来るような体制に変える。

追い風は切って、下を見てみる。

あの赤いのコクオマリの背中だな。

もう3階ぐらいの高さしかない。

カマイタチを下に放って、少しでも落ちるのを緩やかにさせる。


...けど、無理だよなぁ。


「グアァッ!!」


いってぇ!

...けど、生きてるぞ!

コクオマリの死体に当たってバウンドし、地面に叩きつけられたけど生きてる!

動けないけど......

取り敢えず、辺りを見回してみる。

大分広い空間のようだ。

落ちてきた穴から光が入ってきているが、それだけでは壁さえも見えない。

ただ、地面は氷になっているらしく冷たい。

所々つららを反対にした物みたいなのが地面から生えている。

良くこれに刺さらなかったよな?

いや、危なかったのか?

よくよく見ればコクオマリの死体から血が溢れてきている。

もしかすると死因は落下死ではなく、氷の刺が刺さったからでは?

俺はコクオマリが先に刺さってくれたおかげで串刺しにならずにすんだのか。


......それよりも、俺これからどうしよう?

動けないからどうしようもないのだが...


カチャリ...


ん?

なんの音だ?

固いものがぶつかるような音がしたぞ?

音のした方を見ていれば、何か大きな者が此方に近づいてきているようだ。


...いや、それでもさぁ、この距離で今見えてる大きさだと、実際どんな大きさになるんですかね?

俺動けないのに、どうしよう?

折角助かったと思ったのに......


徐々に近づいてくるにつれて、その生き物がどんな奴なのか見えてきた。

顔はコクオマリでさえもひと飲みしてしまうほど大きいようだ。

首は長く、すらりとしている。

足は大きな体を支えるために大きく、それに比例して爪も鋭く俺なんか真っ二つにいとも簡単にできそうだ。

体全体は基本濃い青色で、透き通っている。

宝石のように美しい体色は光の加減によって様々な青に変わっている。

背中には大きな翼が一対あるように見えた。

...うん、ドラゴンですね。

前に見たワイバーンなんか、月とすっぽんだね......

格が違いすぎる。


どうか、俺には気づきませんように......


そんな願いも虚しく、ドラゴンは俺の方を見た。

特に何も感情がないような目であるのに、見られると体全体が竦み上がり、息をすることもできない。

ものの数秒そこら辺に転がってる石を見るかのように俺を見ていたドラゴンは、次の瞬間驚愕、恐れ、怒りと次々に感情を変えた。




そして、俺が最後に見たのは視界の大部分が赤くあり、上下に鋭い白い物であった。




これでこの物語は終わり

...と言うことはなく、まだまだ続きます。

次の章はクラウド達の話になります。

ブランが拐われてからどうしたのか、と言うところから始まりますので、どうぞこれからもよろしくお願いします。

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