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「はぁ...。」
正直、疲れている。
別段、体力はないほうじゃない。
だが、道とも言い難い道を1時間歩くのは
何度来ようともしんどいのだ。
これが山道じゃなかっただけよしとしようか...
「着いた...。」
森の中にひっそりと佇むこの家は
外観は屋根が赤い普通の住居だ。
多分、丁寧に掃除しているのだろう。
ツルが家に巻きついている、という所が
一切見当たらない。
「こほんっ...すみません。」
『キィ...』
「お邪魔します。」
『バタンッ』
この自動ドアはどうなっているのだろう。
軽くホラー映像である。
「...いらっしゃい。」
ここの家は12歳の少年一人である。
故に彼は、この家の主であり、
俺にとって大切なご客人なのだ。
「いつもお世話になっております。」
「うん。今日は何。」
「新しいゲームが開発されまして、
それをまず始めに体験していただきたく...」
「わかった。」
そう、俺はゲーム開発の仕事をしている。
ただ、普通のゲームではない。
寧ろ一般人がやったら確実にあの世行きだ。
(勿論俺も例外ではない)
「では、やり方のご説明を...」
「いい。いらない。」
ちっ、可愛げのない子供だこと。
あぁ、そう。このゲーム、
ゲームと俺らの世界をリンクさせて遊ぶ
ゲームなんだが...
「...終わった。」
「はい!?もうですか!?」
「うん。」
神か、こいつ...。
「神じゃない。」
「分かってます。例えですよ。」