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9* 俺の方が馬鹿みたいだ

PCが諸事情によりこのサイトで使えないため、復活までPSP&3DSで執筆する事にしました。

変換ミスや改行など読みにくいかもしれません。

先に謝っておきます、申し訳ありません。

 笑えない。

 俺のもやし腕がいつの間にこんな剛腕になったんだ。

 やっぱりあの白い部屋は何かの研究室だったとかか、改造されたのか俺は?


 …いや、落ち着こう。てか落ち着け。

 聖書(笑)日記に書いてあった事からすると、あの持田が同じ立場なのは間違いない。

 コイツ等は二人、俺達も二人。きっと何か関係性もある。


 俺はそこまで考えて、自分の後ろに立っているだろう夜坂の方を振り返ろうとして、躊躇う。

 …例えあの馬鹿でも、さすがにこの力は引くんじゃないか?

 振り替えればこの日記(笑)の持田の様に、恐怖と拒絶を受けるんじゃないか?




 それは……



 …それは……









 厄介払い成功じゃないか!

 罰ゲームみたいな昼食もなければ、逃げ回る事もしなくて良い!

 通訳がいなくなるのは問題だが些細な事だろう。

 なにせあれだけ望んだ「一人」の実現だ!


 俺はニヤけそうになる口を押さえながら、ゆっくりと振り返った。

 そしてそこには当然…


「うわぁっすごーい! ね、遠君もう一回見せて! どかーんって!」


 …目を輝かせた夜坂がいた。


 畜生ッ! コレだから馬鹿は!

 俺は期待した分だけ肩を落とし、どうしてもがっかりした…残念な物を見る目で夜坂を見るしかなかった。


「シェンラガーシャルファア、モスグィキヌシアッ!」


 …と、青年Aの事をすっかり忘れていた。

 青年Aはキモ語で何か叫びながら座り込み、初めて見た時と同じ、俺に向かって考える人似のポーズをとっている。

 生憎だが、夜坂が通訳しないので俺には何を言っているかさっぱりだ。


「おい夜坂…」

「もう一回やってくれるの!?」

「良いから通訳しろよ」

「通訳したらやってね!」

「…わかったから」


 このデカイ子供には何言っても無駄だ。いや俺達まだ子供だけど。

 俺から言質を取った夜坂はご機嫌で、ため息をつく俺から視線を外し青年Aへと振り返った。

 そのまま一言。


「さっきなんて言ったの?」


 ……そうだな、どう見ても聞いてた様には見えないしな…。

 突っ込んだら負けだ。


『やはり貴方はルファー様だ、私は貴方に忠誠を誓います!』


 青年Aは丁寧にも言い直してくれた。

 ふむ、なるほどなるほど、…って何でだ!?


「はァ!?」

『恥ずかしながら、今まで力も見せず、言葉や魔気のみで…いやそれもとてつもない物でしたが…人々に命令していた貴方様の事を、その、少々疑っておりました』

「魔気? 何だそr」

『しかし貴方はその力を聖書を読むことで手に入れた! 伝承の通りです』

「いやコレ読んだからじゃな…」

『線が細くていらっしゃるのも、きっと貴方様が歴代で一番お優しいからです』

「いやいや、どんな曲解?」

『どうぞ私を召使として、使って下さい!』

「どこをどうしたらその結論に!?」


 駄目だ話が通じない。

 俺の言葉を夜坂が通訳する前に、青年Aは勘違いしたまま突き進む。

 おかしい…ココは俺を気味悪がって引く所だろう。こいつドMか。

 て言うか魔気って何だ。そもそもルファーって何だ。

 召使なんて一人が遠ざかる物いらないから、色々説明を求めたい。


 そうだ、説明してもらえるって話でここまで来たのに…渡されたのは日記。

 それで今分かったのは俺が尋常じゃない馬鹿力ってだけ。

 詐欺だと言っても誰も責めないはずだ。


 だから俺はその苛立ちを、二つに割れた大理石に蹴りを入れる事で発散しようと足を振り上げた。

 まぁ八つ当たりだ。


   ドゴッ!


 再びの凄まじい轟音、二つに割れていたそれはお互いを巻き込んで、ひび割た四つの塊へと姿を変えた。

 勿論、俺はぴんぴんしている。

 ……壁に蹴りを入れて床で悶えた俺のもやし足よ、今はどこへ。

 なんと言うか、コレが暑ムサ苦しい筋肉達磨がやったなら「すげぇ」ですむが、見た目にひょろい俺の足だと気持ち悪いだけだ。


 その辺後ろでおおはしゃぎしている夜坂はどういう神経をしてるのか。

 青年Aが動じなくなったのも気味が悪い。

 おかしいのは、俺か。


 途方にくれると言うのはこういう事を言うのか?

 …誰も頼りに出来ない。


 発散するつもりがさらに膨れ上がった苛立ちに、俺は夜坂達から目を背け、拳を握りしめた。

 そして、その手に走る痛みに驚いて手を開く。


 思えば訳も分からず手に入った力が簡単に制御出来るはずが無い。

 握っていた拳は酷く痛み、手のひらにはくっきり残った爪の跡、そして制服の袖に染み込む血の赤。

 …俺の馬鹿力が、俺自身を傷付けていた。

 痛いと思うよりも、迂闊に手も握れないのかと愕然として小さく呟く。


「こんなの……俺の方が、馬鹿みたいじゃないか」


 手のひらから床へ、赤い雫がぼたりと落ちた。

安定のアホの子。


思ったより執筆に時間がかかるので、更新は週二回ぐらいだと思います。

感想・評価・指摘お待ちしてます。

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